第7話 「冒険者アオト」
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天気は、父さんと初めて冒険した時と同じ、快晴。
マメだらけの手、引き締まった体の俺は、あの日押し開けた扉をスッと開けた。
十歳になった俺は、今日から冒険者として生きて行くのだ。
「よく頑張ったな、アオト」
「気をつけて頑張ってくださいね」
後ろから、養成所の教官や、受付のミラさん、同じ生徒の仲間たちが声をかけてくれる。
思えば、厳しく辛い訓練だった。
初めの方こそ俺は何もできない劣等生扱いだったが、諦めずに努力した。
巣立って行った者もいるが、同期はかなり多くが途中で辞退していった。
正直、俺も中身が十八歳の俺じゃなければ厳しかっただろう。
努力の成果として、今の俺は
超界剣士、超界魔術師の称号を手に入れている。
超界級としてはおそらく史上最年少らしい。
それもこれも、全ては両親と教官たちのおかげだ。
俺は最後に、養成所の人たちにお礼を言った。
「教官、ミラさん、ありがとうございました!
そしてみんな、またどこかで会おう!」
「おう、もちろんだ!」
「死ぬなよアオト!」
教官とミラさんは優しく微笑んで、みんなは手を振っている。
いい仲間に出会えてよかった。
またいつか会おう、みんな。
俺は扉が閉まるのを見て、父さんと母さんの待つ家へ向かった。
背が伸びたからだろうか、だいぶ早く家に着いた。
「ただいま!」
「おお、おかえりアオト!
ずっと待っていたぞ!」
「お帰りなさい、アオト。
本当によく頑張ったわね!」
俺は待っていた両親とギュッとハグした。
なんだかとても安心する。
「それで、アオトはどこまでの称号をもらえたんだ?」
父さんが興味深々な様子で聞いてくる。
「剣術と魔術の両方で超界級までだよ」
もったいぶらずに教えてあげた。
「超界級?すごいなアオト!
やはりお前には才能があったのだな」
「まあ、すごいわアオト!
もう立派な冒険者ね!」
二人はとても嬉しそうだ。
「父さん、母さん、俺は今日から冒険者として旅に出たいんだ。
だめかな……?」
流石にまだ早いと言われそうで、少し言葉に詰まった。
「もちろんいいぞ、アオト。
それがお前の夢なんだから、止めはしないさ」
「ええ、これからはあまり会えないのが寂しいめど、応援してるわ」
なんと、許可が出た。
じゃあ、今日からは夢に見た冒険者になれるのか!
「本当に?
ありがとう父さん、母さん!」
「ああ、そういうと思って、もう荷物は用意してあるよ
必要なものは元冒険者の俺なりに入れておいた」
父さんは随分と用意がいいな。
「私も、数日分の食料は入れておいたわ。
あれだけあれば次の街まで大丈夫なはずよ」
ああ、食糧もあるのか、本当にありがたい。
「ありがとう父さん、母さん」
「それと、お前には俺の剣をあげよう」
そう言って、美しい剣を持ってきた。
鞘から抜かれた剣からは、神々しい何かを感じ取れる。
もらっていいのかこれは。
「この剣の名は、蒼鬼だ。
俺が昔もらったが、使わずに残していたんだ。
最大の特徴は、とても軽いことと、敵の血を被るたびに性能が上がることだ」
性能が上がる?
ほぼチート武器じゃないか。
「そんなにすごいもの、もらっていいの?」
恐る恐る聞いてみたが、
「ああ、俺は愛剣がある。
お前なら上手く使えるだろうからな」
なるほど。
でも、正直興味しかないからもらっていこう。
「わかった、ありがとう父さん」
「アオト、このネックレスもつけて行きなさい」
母さんが、虹色に輝く宝石のついたネックレスをくれた。
首につけてみると、魔力が溢れる感覚がする。
「これは……?」
思わず口に出ていたが、
「これは、虹泉のネックレスと言ってね、魔力を常に回復
し続けてくれるお守りよ。
少しずつだけどね?」
母はクスッと笑って説明してくれた。
なんだかすごい装備だが、ありがたい。
服は、動きやすい皮の鎧で行こう。
「今までありがとう父さん、母さん。
たまに手紙書いたり、立ち寄ったりするよ」
「ああ、ぜひそうしてくれ」
「また会えるのを楽しみにしているわ」
2人は俺の頭を撫でてくれた。
もうこの二人は俺の両親のような存在だ。
二人のためにも、必ず生きて帰ってこよう。
そう決意した。
三人で、村の入り口までやってきた。
「じゃあ、行ってきます!!
絶対にすごい冒険者になって帰ってくるよ!」
「行ってこいアオト!
お前なら世界一にでもなれるさ」
「ええ、自由に冒険しなさい、アオト。
ちゃんと夢を叶えるのよ!」
二人は涙目になりながら、励ましてくれた。
最後に手を振って、俺は最初の目的地まで歩き出した。
最初の目的地は、ここから東に少し行った先にある、ローツタウンだ。
母さんは食料を持たせてくれたが、そんなに要らなかったかもな。
そこでまずは、冒険者ギルドに登録をする。
それにしても、俺が冒険をするときは決まって快晴なのが嬉しいな。
そんなことを考えながら東へ向かって歩いていると、森が見えてきた。
父さんと行ったものとは別の森だ。
ここを抜けた先にローツタウンがあるらしい。
この世界には虫的なものがいないらしいので、草をかき分けて進んでいく。
俺は虫が苦手なので嬉しいな。
どれくらい進んだか、少し疲れたので、ここで昼飯にしよう。
そうして、食料を取り出そうとした時、
「グルル……」
なんだ?
何かの声がする。
「グルァア!!」
なんと木の影から、あの森で見た狼が飛び出してきたのだ。
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