09
はい、とっくに手遅れでした。
完全武装した騎士っぽい面々から、あっという間に取り囲まれて、
連行されたのは大きなお城の地下にある牢屋っぽい部屋。
ってか、牢屋。
俺、鉄格子とか初めて見たよ。
おっと、俺ってほぼ生まれたてだし、どんな体験でも初体験だったね。
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『鉄格子のスキマから出られないんですけど!』
うん、不思議だよね。
妖精カミコさんのサイズなら余裕で通り抜けられそうなのに。
これも結界ってヤツですかね。
『果報は寝て待て!』
ですね、今はジタバタしないで待ち一択。
とりあえず、この機会に質問よろしいですか。
『ウエルカモン!』
えーと、今の妖精カミコさんとあっちにいた頃のカミコさんって、
ずいぶん人柄がアレしちゃってるんですけど、どういうことです?
『アバターの影響、大!』
つまり、カミコさん本来の素がダダ漏れしてるんじゃなくて、
その妖精さんボディの影響が強く出ちゃってるってこと?
『ビンゴ!』
即答ありがとうございます。
今の妖精カミコさんは本体とは別人格で、
あくまでこっちの世界を観光するためのアバターの人格だってことですね。
『いっぱい甘やかすこと推奨!』
了解です。
それじゃ、提案ひとつよろしいですか?
『えっちっち事案以外ならどんとこい!』
……やりませんって。
えーと、こっちの妖精カミコさんに新しい呼び名を付けて、
あっちのオリジナルカミコさんと区別したいのですが。
『可愛さ全振りで!』
ふむ……
では、妖精さんだから、よっちゃん。
『生まれ変わっても呪われるレベルでセンスゼロ!』
……ピクシーっぽいので、ピクりん。
『全妖精が泣いた!』
……食っちゃ寝キャラなので、クッチャネン。
『フィンランド人に謝れ!』
……ちっちゃいカミコさんなので、チミコさん。
『……今日はこのくらいで勘弁してやるぜ!』
これからよろしくね、チミコさん。
『頭脳労働の後は糖分補給必須!』
それじゃ、今のうちにお茶しましょうか。
『カフェイン摂り過ぎは、おトイレが近くなるので要注意!』
はっちゃけ過ぎでしょ……