08
パーティーを組むならまずやるべきこと。
お互いの能力・戦力の把握。
『結構飛べるよ!』
うん、それは見れば分かるよね。
それで、今のカミコさんって、こっちの世界の知識はどのくらいあります?
『ほどほど?』
……カミコさんって一応神様っぽいポジションだし、
やはり凄くお強いんでしょ。
『このアバターは、ハンパ無くヨワヨワ!』
……えーと、魔法が超得意とか、めっちゃスッゴいスキル持ちだとか。
『今の魔力量だと、飛ぶだけで精一杯!』
つまりは、食っちゃ寝キャラ……
『だから可愛さ全振り!』
うん、心底了解。
とりあえず今のカミコさんに望むのは、
見つかって追っかけ回されないよう大人しくしていてねってことだけですね。
『心得た!』
……本当どうすんの、これ。
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妖精カミコさんによれば、
現在位置はリヴァイス大陸の中央部。
魔族領と呼ばれている、大規模結界によって周辺諸国から隔絶している地域の、
ほぼド真ん中。
で、魔族領について。
大昔、リヴァイス全土を巻き込んだハンパ無い規模の争いごとがあって、
魔族さんたちは大陸中央部に大規模結界を張って引きこもったそうです。
時が経っても大結界は維持継続中だけど、
今は外にいる人族たちともそれなりに交流していますよ、と。
ってか、なんでこんなところに俺を『転移』させたんです?
『ノリ!』
……もしかしてカミコさんって、このはっちゃけ状態が素なのかも。
ところで、俺ってばっちり人族なんですけど、
魔族領の結界の中に無断侵入しても大丈夫なのですか?
『魔族もいろいろだから、見つかったら問答無用で即アウトな可能性もアリ寄りのアリ!』
はい、思い切りの良いお返事、ありがとうございます。
えーと、今やるべきは『転移』魔法を即行で習得して、
すぐに結界の外に逃げるべし、かな。
『割と手遅れ!』