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てな感じで、無事にエルシニア王都に到着。
ふむ、行き交う人たちもそこはかとなくおしゃれな感じ、流石は文化の都。
『食は文化!』
はい、異論ナシ。
それじゃ、挨拶代わりに屋台巡りでも。
……おや。
大きな広場の周囲にずらりと並んだ屋台の中に、
明らかに異質なのが1台。
昭和もびっくりなクラシカルスタイルの屋台ですよ。
店主のおじさんも、イケおじながら明らかに日本人顔。
あれってもしかして……
「いらっしゃい、うどん、いかがっすかぁ」
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藪雨 銘寺 (ヤブサメ メイジ)さん。
エルサニア王国が隣国クルゼス王国と戦争していた頃、
即戦力とするための勇者候補として召喚された召喚者さん。
いろいろあって、今はうどん屋台の店主さん。
最近『転送』機能が実装されたトンデモ屋台で、
この異世界を飛び回って出張うどん屋台しているそうです。
「ひょっとしたら、シジマさんも召喚者さん?」
……やっぱりバレちゃいます?
「だって、そんなに美味しそうに俺のうどんをズルズルしてくれるしさ」
出来れば、他の召喚者さんたちには内密に願います。
訳あって、身元を隠してのぶらり旅なんです。
「うん、了解」
「いろいろあるもんね、こっちにお呼ばれされると」
「奥さんが綺麗なメイドさんだったり、可愛い妖精さんと知り合えたりしてさ」
その辺で勘弁してください……
「ごめんね、不躾で」
「今日は嫁さん連れてきてないから、ちょっとノーブレーキなの」
奥さまはどちらに?
「俺たちのホームグラウンドはエルサニア王都なんだけど、なんか王都商店街婦人会の大事な会合があるらしくて、今日は独身気分ってわけ」
「いや、浮気なんて絶対にしないけどさ、こういう時ってあるよね、解放感」
「でもさ、商売では絶対に手を抜かないから」
「羽を伸ばしても、うどんは伸ばすなってね」
「しっかり稼いで、嫁さんにエルシニアみやげ買ってかなきゃ」
お仕事、頑張ってください。
奥さまにもよろしくです。
「エルサニア王都に寄ったら、遊びに来てね」
「王都噴水前広場で嫁さんと一緒にアツアツうどん屋台してるから」
ダブルでごちそうさまでした。
「まいどどーも」
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ふぃー、冷や汗かいちゃったよ。
まさか身元が即バレしちゃうとは。
俺って、そんなに召喚者顔なんですかね、ツェリアさん。
「……」
どうかしました?
「奥さん……」
……お嫌でしたか。
「……」
……
『もうくっついちゃったほうが良いよね!』




