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世間知らずのお嬢様  作者: 世間知らずのお嬢様
3/3

ベーゴマ

2017/4/13/木曜日。

今日も燦々と輝く太陽の日差しと、吸いたくもない古臭い木の匂いに晒されて目を覚ます。

俺の両親は朝が早い。

だから俺はもっと早く起きて身支度を整えて、さっさと家を出るのだ。

今日も今日とて、玄関を開け、爽快な息を吸うと共に、1つ忘れていたことを思い出した。

何故なら、玄関前に立つお嬢様を見つけたからである。

「お、やっと来ましたわね。もっと早起きした方がいいですわよ」

「いや、充分早いだろ」

学校がすぐ近くなのにも関わらず、朝6時に家を出る学生を俺は知らない。

「ま、いいですわ。それより」

ぽんと地面で両足を鳴らし、そこでソフィアが何かに座っていたことに気がつく。

「これ、今日遊ぶ道具ですわ」

ソフィアが座っていたのは謎の酒樽? で、上に持ち上げてひっくり返すと、俺も見たことのあるおもちゃが登場した。

「これ、ベイブレード?」

「えぇ、でも本命はそっちじゃありませんわ」

言うと、ソフィアはポケットから黒い布と長めの紐をを取りだして手早く準備を始めた。

数秒後、ソフィアの影から現れたのは、漫画でしか見た事のないものだった。

「ベーゴマのフィールドか」

「えぇ、そうですわ。よくわかりましたわね」

「へ~、今日も楽しくなりそうだな」

ソフィアはあほ毛を揺らしながら俺を見上げる。

「えぇ、そうなるとよろしいのですが……で、悠様。お願いがあるのですが」

「嫌です」

お願いの内容を察した俺は、通学路を進み始める。

するとその直後、俺の制服が後ろにグッと引っ張られた。

「ちょ、お待ちください! これ持っていくの恥ずかしいんですわよ!!」

「俺も恥ずかしいから嫌だ!!」

「あれだけ廊下に立たされてるのに今更恥なんてないでしょう!? それに通い慣れた通学路で学校までも近いんですからいいではありませんの! 私は自分の家から悠様の家まで持って来ましたのよ!?」

「知らん! それに通い慣れて近いつっても、国道通るんだぞ! 絶対に嫌だ! てか、なんで廊下に立たされてること知ってるんだよ!!」

ソフィアの力だったら引きずってでも行けそうだったが、俺はその途中で気がつくことができた。

そっちの方が十分に恥ずかしいと。


それから結局全部酒樽に突っ込んで通学し、隠れつつ部室へと運び込んだ。

俺達はそこで別れ、いつも通り廊下に立ち、今日も無事終了し放課後を迎えた。

そして部室に入ると、そこではやはり桜良が既に居て、絵を描いていた。

「お疲れ様」

「お疲れ」

目も合わせずにいつも通りのやり取りを終わらせて、俺は今朝運び込んだ酒樽をひっくり返した。

「今日はベーゴマらしいけど、やり方知ってる?」

「ん? さぁ、ソフィアちゃんが分かるんじゃない?」

「そっか、確かに」

俺は朝にソフィアが要していたようにフィールドを準備し、袋に入っていたコマを取り出して見つめる。

漫画で読んだ知識だと、確か紐で回すはずだが……。

と紐を探していると、部室の奥の扉がガタンと力強く引っ張られる音がした。

昨日机を引っ掛けておいて正解だった。

俺は窓から顔を出し必死に開けようとするソフィアに「こっちだぞ」と声をかける。

すると、ソフィアはだるまみたいに顔を赤らめ、俯きながらトボトボと、部室に入ってきた。

俺はそれを見届けて窓を閉めて振り返る。

すると、いつの間にか桜良とソフィアは酒樽を囲ってコマを持っていた。

「さぁ桜良様遊びますわよ!」

「おー」

俺もそう意気込んでいる2人の前に立ってコマと紐を手に取る。

だがさっき話したように遊び方が分からない俺と桜良は、ソフィアを見つめる。

しかし、ソフィアはキョトンとして困り顔を浮かべた。

「ど、どうなさいましたの?」

「いや、遊び方……」

「えぇ!? 分からないんですの!? 桜良様は!?」

「私も知らないよ」

「えぇ!? 何故ですの!? 日本人なら遊んだことくらいあんるんじゃないんですの!?」

ソフィアは仰け反って驚いている。

「ベーゴマって2世代くらい前の遊びだろ……そっちのベイブレードなら分かるけど」

ソフィアは「グヌヌ」と唸っている。

「そんなにベーゴマやりたいの?」

桜良が酒樽とにらめっこするソフィアに質問した。

するとソフィアは「だって」と涙目で桜良に返した。

「これは駄菓子屋のおばあちゃんの、亡くなられた旦那さんが昔遊んでいたものを譲り受けたんですの……」

そのあまりにも重い話に、俺たちは声が出ず、同じく「ぐぬぬ」と唸った。

しばらく無言が続いたが、俺にいい案が浮かんできた。

「分かった、俺に任せろ」

「何かいい案でもあるんですの?」

桜良と涙目のソフィアが俺を見上げた。

「あぁ、こち亀を読む。確か90巻とかその辺にベーゴマのやり方が載ってた筈だから」

その提案に、2人は明らかに訝しむような顔を浮かべた。

「ホントなの? それ」

「読んだの去年だから……多分としか」

「……結構時間、掛かりそうですわね」

ソフィアは顎に手を当てて考え始めた。

「何なら明日でも良いんじゃないか?」

というか、今気が付いたが、何で俺ら携帯持ってないの?

俺は家の事情で持ってないだけなんだが。

「いえ……明日はやりたい事が決まっているんですの」

ソフィアはしばらく考え込むが、答えが出たのか口を開いた。

「待ちますわ」

「そうか、あれだったらベイブレードやっててもいいんだぞ?」

「いえ、3人でやらないと意味が無いので」

「どうして?」

桜良が聞き返したが、少しだけ傷付いたよ。

「だって部活動ですもの」

きょとんと答えるソフィアに「違うだろ」と言いかかったが、普段から漫画読んだり絵を描いている以上何も言えなかった。


それから俺は90巻から読み始め、楽しくなって読み進めると、94巻で出てきた。

巻き方の種類やルールも載っていて凄く分かりやすかった。

俺は顔を上げ2人を見る。

ソフィアは足を伸ばして男塾を読んでいて面白かったし、桜良はそれを見ながら絵を描いていて面白かった。

しばらくそれを見ていたのだが、ソフィアが気がついたようで、男塾から顔を上げた。

「ありましたの?」

「あぁ、あったぞ」

俺は酒樽に近づき、それに合わせて2人も来たので、早速手に取り回してみることにした。


それから何時間経っただろうか。

陽は傾き、野球部の声も疲れを増し、朱色の光が部室を照らし、必死で糸を巻いているソフィアは更に真っ赤になっていた。

因みにだが、俺と桜良は巻く以前の女巻きなるものが出来ずにいた。

巻く段階に行っている時点で、ソフィアは凄いのだ。

俺と桜良は手を止め、今投げんとしているソフィアを見守る。

場に緊張が走る。

固唾を呑んで見守る。

ソフィアは息を吸い、目つきが変わると、一気に糸を引っ張った。

同時に少しコマを前に飛ばす。

しかし飛びすぎたのか、黒い布に少し沈み酒樽の角にぶつかって跳ね返る。

「あぁ!」

ベーゴマは宙を舞い、フィールドの外に出るかと思われたが、回転からか宙で軌道を変えて、酒樽の縁に乗ると、そのままの勢いでフィールドに戻って来た。

「やりましたわぁああぁぁあぁ!!!!!」

「やったなソフィア!!!」

「スゴ!」

俺たちは我を忘れて喜び、発狂し、抱き合った。


遂に野球部や他の運動部の話し声、自転車の音が聞こえ始め、日も完全に沈んだ頃。

俺達は我に返り、何をしているんだ……と肩を落とした。

「……最後にベイブレードでもする?」

「そうですわね」

「うん……」

俺はベイブレードのフィールドを置き、エリア外に出ないよう透明なカバーを固定した。

袋からベイブレードを取りだし、説明をしながら用意を完了した。

俺は知らなかった。

最近のベイブレードは金属じゃないらしい。

3-2-1、ゴーシュートと俺は冷静に言い、その合図で3人のベイブレードはフィールドに落下した。

攻撃型の俺のベイブレードはフィールドの端をクルクル周り、ディフェンスタイプの桜良とソフィアのベイブレードは中央でぶつかり合う。

「な、何て楽なんですの……」

「ホントだよな」

「ね」

俺達は手が痛すぎてあまり元気がない。

しかも、それに追い打ちをかけるように衝撃の出来事が起こる。

桜良とソフィアのベイブレードが衝突した瞬間。

パァンとベイブレードが弾けたのだ。

状況が飲み込めない俺達は目を見開いてきょとんとした。

「お、おばあちゃんから貰ったものですのに! こんなにもろいんですの!?」

「いや……流石にないだろ……緩かったのか?」

「なんかバーストするとか何とか、聞いた事があるような無いような気がするけど……」

桜良の衝撃の発言に、俺は驚いた。

「そんなことになってんのかよ、スゲェな」

「うん……けど、直し方は……」

「分かるわけないよな……」

「そうですのよね……」

俺のベイブレードだけは残ってクルクルと回り続ける。

俺達は無言でそれを見守った。

それも、次の瞬間散らばる部品に引っかかって場外に飛び出て、バーストした事で終わりを迎えた。

「……帰ろうか」

「そうですわね……おばあちゃんに教えを乞うて来ますわ」

「……片付けして帰るから、先に帰ってもいいよ」

「いや、俺も手伝う」

「私も手伝いますわ」


それから俺達は、それらの道具を本棚の横に置いて部室を出た。

「じゃぁ鍵返してくるね。それじゃ、お疲れ様」

「帰り道、1人で大丈夫か?」

「うん、大丈夫」

「そうか」

「桜良様お疲れ様ですわ!」

「うん、お疲れ様」

言い終わって桜良は廊下を歩いて消えていった。

「帰るか」

俺がソフィアを見て言うと、何故か手をキュッと握ってきた。

子供みたいで、凄く可愛かった。

「……家まで来てもらうことは……」

「怖いのか?」

「いえ、怖いです」

いえ、ってなんだよ。

「ま、他に生徒も見えないしな」

俺達は暗闇の中歩き始めた。

コツコツと2つの足音が響き渡った。

【世間知らずのお嬢様】


数字は全角12345678910


近所の駄菓子屋。

ソフィア行きつけ。おばあちゃんと仲良い


S.F.N高校


将棋部:名ばかりのおダラケ部


ソフィア、鈴木、佐藤、部長(男)、副部長(女)の計四人

部長、副部長はほとんど来ない

そもそも将棋部は2年前に部長、副部長が作ったもので、2人きりになるのが目的だったが、鈴木が入部したことで、部活の意味が無くなった。


佐藤は途中入部(キャラ参照)


真ん中に畳二枚とちゃぶ台が置かれて、奥の方にテーブルが乱雑に並べられている。そのため手前の扉しか使えない。入ってすぐ右に本棚があり、正面に畳が離されて敷かれて、将棋盤が置かれているが、埃を被っている。

畳に乗る時は靴を脱ごうね。



主人公の家は古風な平屋道場と庭のついた大きな家。

家の本体は2階建て。

主人公の部屋は2階に上がって左の部屋。右は物置。


主人公:鈴木(すずき) (ゆう)(17)

容姿端麗文武両道ではないThe庶民(`・ω・´)


但し、実家が厳格な剣道の道場で、強要されて育った。

剣道両親めっちゃ嫌い。


身長164cm

62kg

中肉中背

黒髪ツーブロ


真っ当に生きるを目標に生きる。

凄く面白くもないし、つまらなくもない

両親と顔を合わせたくない。

許嫁が居るらしいが、本人は顔を知らない。

学校に来るのは早い。


自分を重ねよう。


秘かな楽しみは将棋部で家では読めない漫画や小説を読んだり、ゲームをしたりする。


家から学校まではそう遠くないが国道を通る。

裏道で行くと公園ある


姫:ソフィア(・アン・キャヴェンディッシュ)(16)


両親は海外。

めっちゃ金持ち。

頭は良い方で日本大好きなため日本語流暢

だが、人混みや知らない人が苦手。

仲間、友達になれそうな人には馴れ馴れしい。



家族で旅行に来た際、お腹を壊して飛行機に間に合わず、そのまま日本で暮らすことを決意。両親も賛成。

両親は割と適当な性格で放任


金髪ウェーブ

髪型特に無し気分によって変える


語尾は適当、本人も無意識。漫画で覚えたのでキャラが写ってしまった。




貴方


落ち着いている時↓

悠様

桜良様


お嬢様っぽい


遊んでいる時↓

大和魂に燃える獅子となる。

めっちゃ弱い。


朝は寝癖でアホ毛が出来る。


身長149cm

エメラルドグリーンの瞳

痩せ型、食っても食っても太らない悩み

40kg

乳なし

わがままで甘えんぼでさみしがり


学校の人が群がってくるので、主人公と通学する。

ソフィアが朝一で家の前に立つ



将棋がやりたくて将棋部に来るが部活をしてないので驚く。

主人公に日本文化を教えるよう強要


桜良(さくら) (さく)


身長157cm

黒髪ミディアム

三つ編みの日やお団子の日、気分次第

49kg

痩せたい!!!

でかちち


鈴木とは中学から知り合い。

全く仲良くないがお疲れ様などの挨拶は交わす。

ソフィアには興味津々。

可愛いし綺麗だし。モデルにして絵を描く。

2次元の絵が描きたいが美術部は違ったので、描けそうな将棋部に入部した




保健室の先生:短パンTシャツに白衣

柄は可愛いくまさんなどの動物たち

でかちち


お前→アンタ


ソフィアちゃん


1.将棋部の鈴木と桜良(2017/4/11/火曜日)

ソフィアが興味津々で将棋部に入ってくる。

中では無言で漫画を読む鈴木と紙に絵を書いている桜良がいる。既に入部届けは出してしまっている。

ソフィアは愕然とする。膝から崩れ落ちる。

3人の出会いである。



2.めんこ(2017/4/12/水曜日)

主人公の許嫁。

両親と顔を合わせたくない。

主人公とソフィアが一緒に通学するようになる。


奥の扉、開けれないように机と椅子引っ掛けと


主人公:金太郎

桜良:桃太郎

ソフィア:ドラゴン


3.ベーゴマ→ベイブレード(2017/4/13/木曜日)


朝一緒に登校

駄菓子屋のおばあちゃんに貰った1式、酒樽、黒い頑丈な布、ベーゴマ、細い紐。

そしてベイブレード。フィールド、袋に入ったランチャーとベイブレード。(レイヤー、ギア、ディスク、ドライバーがバラバラ)



桜良が日本の遊びについて勉強してくる



新入生テスト1週間後くらい

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