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結婚するって言ったもんっ!


「そ、それでさっきの光太郎にぃの言ったことって?」

「佐原と結婚の約束なんてしてないってことか? というか佐原か新井かどっちで呼べばいい?」

「新井でいいよ」


 授業も終わり、現在の時刻は17時30分。俺と佐原は話をするべく昔よく遊んでいた空き地で向かい合っていた。


「いやでも光太郎にぃちゃんと私と結婚するって言ったよ? 紙だって渡してくれたし」


 新井の方は余裕があるのかクシャクシャな紙を見せて胸を張る。……まぁ、胸だけは昔から全然変わっていないので揺れたりすることはないわけだが。


「えぇっと、『おれこと伊賀 光太郎は佐原 瑞香に永遠の愛をちかいます』ってこれおままごとの時のだろ!」

「えっ!?」


 俺の答えに新井は固まる。


「いや、だから俺とお前がおままごとで遊ぶ為に俺が書いたものだし、お前の言ってる結婚云々もおままごとの時のセリフだろ?」

「そんなはずは……」


 この紙を見て当時のことを思い出した俺は違和感の正体に気づき納得する。俺が結婚するなんて言ったつもりはないが新井がそう思っている理由。それは……恐らく当時の新井は勘違いしたのだ。ごっこの中でのプロポーズを。


「じゃ、じゃあ私と結婚するというのは」

「今のところないな」

「いや、でも紙に……」

「ごっこ遊びの為に作ったものだ」

「光太郎にぃ」

「そんな上目遣いで見ても無駄だ。というかなんでそんなに結婚を望むんだ? 普通に友達で……」


 というかそもそも俺は新井にそんな風に思われているとは思っていなかったので、今かなり慌てていたりする。


「……もん」

「ん?」

「結婚するって言ったもんっっ!!」


 俺が考えるのを止め、顔を上げるとそこには今までのクールな顔を朱色に染め涙目の新井が立っていた。


「おっ、おい、落ち着け」

「言ったもん、お嫁さんにしてくれるって……光太郎にぃ言ったもんっ」


 若干暴走気味に見える新井を止めようとするが涙目の新井は止まる気配がない。


「私頑張ったのっ! 光太郎にぃと釣りあえる彼女に……お嫁さんになれるように」

「新井……」

「手だって繋ぎたいし、キスだって、それ以上だって……」


 大きな声でそんなことを叫ぶ新井を見て俺はどうしたらいいのか、分からなくなる。

 そこまで俺のことを思っていてくれたのかなという思いと、俺はそんな風に新井を見たことはなかったのでどう答えたらいいのかという気持ち。


「過去のことが勘違いだと言うなら今ここで言います。結婚しましょう。私と付き合ってください、光太郎にぃ」

「ごめん。今の俺にその気持ちはない」


 でも、そんな新井に気持ちがないのに付き合うのは失礼だと思うから……俺は頭を下げて断る。

 久しぶりに会えたというのにもう友達ではいられないのか……悲しい気持ちになりながらも新井の次の言葉を待つ俺であったが新井の反応は違った。


「ならっっ、落とすまでです。光太郎にぃを私に振り向かせます。結婚したいと思わせてみせます。……外堀は既に埋めてますからっ。これからは私を見ていてくださいね?」


 さっきまでの顔はどこへやら普段の表情を取り戻すと俺の元へと近寄りそう囁いた。

 えっ、つーか待って? つまり俺のところに来てアタック仕掛けてくるってこと?

 噂に尾ひれがつくレベルじゃねぇじゃねぇか!?


 むしろ、完全に周りからはカレカノに見られるだろ!


「絶対に落としますから……」

「お、お前なぁ」


 そう言えば新井はこう言う奴であったと俺は思い出しながらため息をつく。諦めない、そして強い精神を持った女の子。


「勿論、2年生の教室にも顔を出しますので」

「本当にやめてくれないかなぁ?」


 つまり、俺が平穏な学校生活を過ごす上で脅威な存在である。……ガチでどうしよう。



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 次回「先輩! いつも通りキスをしましょう。キスを!」


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