サイコロ
私の名前は、「松田ももの」
私は、会社員を数ヶ月前まで、やっていたのだが、日に日に増える残業や目まぐるしく流れる日々に、疲れてしまった。
そこで、会社を辞め、田舎に家を借りた。
「やっとついたー。」
「ここかぁー。」
すると、隣の家からおばあさんがでてきた。
「こんにちは。」
「こんにちは。」
「あんた見ない顔だねぇ。」
「今日からここに引越てきた。」
「松田もものです。」
「よろしくお願いします。」
「よろしく。もものちゃん」
「ところでこの家住むのかい?」
「はい、そうです。」
「もものちゃんも、かわってるわね。」
そういっておばあさんは去っていった。
「そう、私の借りた家は、ツタに覆われた。」
「古い一階建ての一軒家だった。」
「さあ家に入るか。」
ガラガラと、玄関の戸を開けると・・・
「わぁぁ蜘蛛の巣、ほこりもすごいなぁ。」
「ゴホゴホ、まずは掃除しますか~」
「ガタン」と音をさせて、力いっぱい窓をスライドして、換気をした。
それから何時間と掃除を続け、気がつくと夕方になっていた。
「家具は、ネットショッピングにしよう。」
「やっと綺麗になった。」
「あぁ疲れた」
「あ、冷蔵庫に食品入れないと。」
しばらくの間ぼーぉと畳に寝転がった。
目が覚めると、朝になっていた。
「私そのまま寝ちゃった。」
ボサボサの髪を手でかきながら、キッチン
へ行き、冷蔵庫を開けた。
「賞味期限ギリギリの菓子パンがあるはず。」
「これでいいや。」
「いただきます。」
モグモグ
「チョコパンだと思ったのにあんパンやないかい。」
「なんで、この話かた。」
「無意識、怖っ」
「ごちそうさまでした。」
「シャワー浴びてからあいさつ周りいこう。」
シャワーをすませ、でかけた。
「まず隣のお宅から。」
数分歩くと家があった。
「こんにちは」
「もものちゃんいらっしゃい。」
「改めてよろしくお願いします。」
「わしの名前は」
「はい。」
「高田よしえというんじゃ。」
「旦那の秀さんと2人で暮らしとるんじゃ。」
「もものちゃんこれうちでとれた大根もっていって。」
「ありがとうございます。」
「また来てねぇ。」
「はーい。」
私は、高田さんの家をあとにした。
そして、畑仕事をしている家族を見つけた。
私は道路をはさんだ向こう側の畑にいる家族に聞こえるように大きな声で「こんにちは」と叫んだ。
すると、小さな女の子が手招きをしていた。
私は、スニーカーで畑へ入った。
「こんにちは」
「引越てきた。」
「高田もものです。」
「よろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくお願いします。」
「僕は、植山勝次です。」
「妻の春海です。」
「来海ごあいさつは?」
「植山来海 5才。」
私は、来海ちゃんと目線を同じにしてから
「岡田もものです」
「来海ちゃんよろしくね!」
と、あいさつをした。
すると、
「もものちゃんよろしく。」
と、笑顔で言ってくれた。
私は、その笑顔が可愛くて、心がぽかぽかした。
春海さんが手招きをしていた。
「もものさんうちでできた。」
「人参良ければどうぞ。」
「ありがとうございます。」
「立派な人参ですね。」
「もし良ければ明日畑仕事教えてもらえませんか?」
「教えますよ。」
「ありがとうございます。」
「では、明日」
「もものさん明日は、長靴で来たほうがいいですよ。」
「はい、わかりました。」
帰り道
ふと、スニーカーを見てみると、
泥まみれになっていた。
「赤いスニーカーが茶色になってるぅー」
「あぁやってしまった。」
「また、今度洗うかぁ」
私は、1日かけてご近所あいさつ周りをした。
「ただいま。」
泥まみれの靴を脱ぎ、廊下にそのまま寝そべった。
「疲れたー」
しばらくしてから家の灯りをつけた。
「よし、お風呂にはいろう。」
木製の浴槽にお湯を張った。
そして、私は、湯船に入った。
「あぁ疲れた。」
十分に体を温めてから,体を洗った。
「せっけんがない。」
「明日買おう。」
しばらくしてお風呂をでた。
「おなかすいたー」
玄関へもらった大根、人参を取りに行った。
そして、大根、人参を水で洗い、冷蔵庫に
あった味噌と、豚肉を加えて煮込んで味噌汁
を作った。
そして、白ごはんで塩おむすびを作った。
ダンボール箱の上に夕食を置いた。
「いただきます。」
「大根も人参も美味しい。」
私は、夢中で夕食を食べた。
その間静かな部屋に時計の秒針の音が響いていた。
「ごちそうさまでした。」
「洗い物が終わったー」
「あ、荷物の整理そろそろ、しなきゃなぁ。」
「とはいえ荷物そんなにない。」
貴重品に着替え、布団、あと日用品、食品
食器、料理道具、ノートパソコンのみ。
家具はあまり持っていなかったし、持ってくる元気もなかった。
ありがたいことに洗濯機、冷蔵庫は元々ついていた。
大家さんが数年前にリノベーションしたらしい。
ダンボール箱から残りの食器をキッチンの棚に片付け、気がつけば、23時になっていた。
「そろそろ寝よ」。
そして、翌日早起きをして塩おむすびを作って、植山さん家族の畑に向かった。
しばらく歩くと、植山さん家族の畑が見えてきた。
私は、会釈をした。
「もものさんおはようございます。」
「勝次さんおはようございます。」
「勝次さん朝、はやいんですね。」
「日が出ると暑いですから。」
「なるほど。」
「もものさん苗を植えるので手伝ってもらえますか?」
「わかりました。」
数十分にわたり、苗植えを手伝った。
「あの、何の苗ですか?」
「トマトです。」
「あぁなるほど」
しばらくして、春海さんと来海ちゃんがやってきた。
「お父さん来海が水やりする。」
「えー重いんだよ。」
「もものちゃんと一緒にする。」
「来海がするのー」
「来海ちゃん一緒に水やりしよっか。」
「うん、やった。」
「じゃあしっかりホースにぎっててね。」
「うん、わかったよ。」
しばらく水やりを一緒にしていた。
すると
置いてあったバケツに引っかかって来海ちゃんが転んだ。
来海ちゃんを助けようとして私も転んだ。
来海ちゃんが立ち上がり私の顔をみて、
「ハハハ」と笑った。
私は、あわてふためいて顔を手で拭った。
拭った手を見てみると泥がついていた。
「もものちゃんおかおがよごれてるよ。」
「来海ちゃんもね。」
「本当?」
「うん」と言って私は、来海ちゃんのほっぺたを指で、さして教えた。
来海ちゃんは、手で、ほっぺたを触った。
そして、ニコニコと笑った。
私もつられて笑った。
すると、勝次さんと春海さんも笑った。
「ももちゃん楽しいね。」
「そうだね!来海ちゃん」
気がつくと、あたりは、だいぶ暗くなっていた。
「そろそろ終わりましょうか?」
「来海もかえる!」
「そうね帰ろう。」
「もものちゃんバイバイ。」
「みなさんありがとうございました。」
「こちらこそ。」
「もものさん野菜プランターで育てるのもありですよ。」
と春海さんが言った。
「ありがとうございます。」
またいつでも来てください。」
「ありがとうございます」
「失礼します。」
私は、植山さん一家の畑をあとにした。
一旦家に帰り、泥だらけの服を脱ぎ、洗濯機に入れた。
そして、服を着替え、バス停へ向かった。
「バス停ついたー」
「こんなに遠かったっけ?」
数分バス停で町行きのバスをまった。
「きたきた。」
そして、バスに乗り込んだ。
バスにゆられること15分
引越してくるときもこのバスに乗ってやってきた。
その時、スーパーの前で、このバスがとまったことを覚えていた。
買うものをかいたスマホを見ていると、スーパーの前についた。
〈スーパーの前〉とアナウンスがなった。
「おります。」
「はい、ご乗車ありがとうございました。」
私は、運賃を払い、バスを降りた。
スーパーに入った。
「えーと、石鹸と食器用洗剤と、冷凍食品を買おう。」
「どこだろう?」
天井からつられているコーナーの名前の表示を見ながら探した。
「あった。」
「せっけんここだ。」
「2個買おう。」
「次は、食器用洗剤どこだ?」
「あったあった。」
「いつも使う洗剤高い。」
「こっちの洗剤のほうが安い。」
「安いほう買おう。」
「あとは、冷凍食品。」
「沢山あるー」
「なににしようかな?」
「パスタとうどんを2個ずつ。」
買い物すること1時間・・・
「これでもう、いいや。」
「レジに行こ。」
「お願いします。」
「はい、1点、2点、3点・・・」
「15点になります。」
「レジ袋ご利用ですか?」
「いえ、大丈夫です。」
「では、1番の機械でお支払いをお願いします。」
「はい。」
すると、機械が〈お支払いは2000円です。〉と言った。
「2000円」
私は、財布から2000円を取り出し、投入口へ入れた。
〈レシートをお取りください。〉
私は、レシートを財布に入れて、買ったものを台に運んだ。
そして、マイバックに買ったものを入れた。
「帰ろう。」
バス停へ向かった。
バス停でバスが来るのを待った。
スマホでラジオをしばらく聞いていると、バスが来た。
そして、バスに乗り込んだス停へ向かった。
私は、バスの中でウトウトして、いつのまにか寝てしまっていた。
気がつくと最寄りのバス停についていた。
「すいません。」
「おります。」
「はい、ご乗車ありがとうございました。」
運賃を払い、荷物をもっておりた。
〈ドアがしまります。〉とアナウンスがなってバスが発車した。
家まで歩いて帰った。
「ただいま。」
「お風呂、入ろ。」
「せっけんだそう。」
いつもより短めに湯船につかり、あがった。
「何か食べて、寝よう!」
「さっき買ったサラダ食べよー」
「いただきます。」
「このサラダ美味しい。」
「ごちそうさまでした。」
ゴミをゴミ箱に投げ入れた。
「おしい!」
「ハハハ。」
ゴミを入れ直し、歯磨きをした。
「あぁ疲れた。」
私は、体の力が抜けたように横になり寝た。
起き上がってスマホを見てみると、昼すぎていた。
「えー寝過ごした。」
「お腹すいたな。」
「パスタ食べたい。」
「昨日買ったやつ。」
「温めてる間に洗濯干そう。」
「よいしょ。」
「今日よく乾きそう。」
ピーピー
「あ、パスタできた。」
「美味しそう。」
「いただきます。」
「たらこパスタ大好き。」
「ごちそうさまでした。」
「食器洗っちゃおう。」
「ベタベタこの皿」
「洗剤つけすぎた。」
数分後・・・
洗い物やっと終わった。
「あ、プランターってどこで買えるんだろう?」
「春海さんに電話しよう。」
スマホの画面をスクロールして連絡先を探した。
「あった。」
ブーブーブ
「あ、もしもし岡田もものです。」
「もものさんどうしたの?」
「あの、プランターで野菜作ろうと思ったんですけど、ホームセンターってどこにありますか?」
「ホームセンターまでの地図送りますね。」
「ありがとうございます。」
「いえ、またいつでも電話してください。」
「はい、失礼します。」
すると、玄関のチャイムがなった。
頼んでいた家具が届いた。
業者さんが設置してくれた。
「では、失礼します。」
「ありがとうございました。」
「今日家具が届くこと忘れてた。」
「さてと出かけよう。」
スマホで地図を見ながらホームセンターを目指した。
「こっちかな。」
「いや、あっちかな。」
1時間後・・・
「やっとついたー。」
「いらっしゃいませ。」
「涼しい。」
と思わず言った。
すると、周りの視線が一気に私のほうにむいた。
私は急に恥ずかしくなった。
「あの、すいません。」
「何をお探しですか?」
「プランターどこにありますか?」
「あそこの列にあります。」
「わかりました。」
「ありがとうございます。」
「どれがいいかな。」
「この大きいプランターにしよう。」
「あと土も買おう。」
レジへ向かった。
「お願いします。」
「1000円です。」
私は財布から1000円を出した。
「1000円ちょうどお預かりします。」
[1つ質問いいですか?]
「はい、いいですよ。」
「野菜の苗とかはどこで売っていますか?」
「店の前の横断歩道を渡って左に曲がったところに花屋さんがあります。」
「そこだったらあるかもしれません。」
「ありがとうございました。」
「お気を付けて。」
私は、花屋に向かって歩いた。
6分後・・・
「あった。」
「ここだ。」
アルバイト募集中の旗が目に飛び込んできた。
仕事なぁ~と考えていると、店の中から女の店員が出てきた。
「いらっしゃいませ。」
と声をかけられた。
私は、会釈した。
「何かお探しですか?」
「野菜の苗を買いに。」
「あります。」
「少しですけど。」
「中へどうぞ。」
中に入ると色とりどりの花が沢山バケツに差してあった。
花の香りがお店全体に広がり、すごく居心地が良かった。
「ここです。」
「ありがとうございます。」
しばらくどの苗にするか考えた。
「うーん。」
「うん、トマト苗にしよう。」
「トマトの苗ですね。」
「お会計させていただきますので、少しお待ちください。」
「はいありがとうございます。」
数分後・・・
「お待たせしました。」
「300円です。」
「はい。」
「私は、財布から300円を出して渡した。」
「ありがとうございます。」
すると、店員が「高梨です。」
と言った。
「さっきアルバイトの旗見られてましたよね。」
「はい。」
「よかったらうちきます?」
「えーと。」
「松田です。」
「本当にいいんですか?」
「はい、ここ私の店ですから。」
「お仕事させてください。」
高梨さんは、ニコッと笑った。
「では、明日契約書を書きに来てください。」
「あの、仕事内容は?」
「あ、主にレジ打ちです。」
「で休みは、水と金です。
「時間は、9時から18時です。」
「時給は900円です。」
「わかりました。」
「では、明日お願いします。」
「お待ちしています。」
私は花屋を出て家まで歩いて帰った。
家の中に入らず、縁側でプランターに買った土を入れて手で平にした。
そして、土に穴を開け苗を植えた。
「うまくできるといいな。」
「水、水えーと」
私は、靴を脱いで、キッチンに行き、空のペットボトルに水を入れて、縁側に持っていった。
「水やりもこれでok」
[手洗おう。]
手を洗い、終わり、ふと、外を見てみると、
空が暗くなっていた。
「あ、洗濯物入れないと。」
私は、急いで縁側に出て洗濯物を取り込んだ。
「ギリギリセーフ。」
洗濯物を畳んで収納ボックスに片付けていると、ピンポンと玄関のチャイムがなった。
「はーい。」
「宅配でーす。」
「こんにちは。」
「こんにちは。」
「松田もものさんですか?」
「はい、そうです。」
「お荷物でーす。」
「サインをお願いします。」
「はい,ありがとうございました。」
「お母さんからだ。」
開けてみると、食品や日用品が入っていた。
「お茶漬けもある。」
「ごはんあるし、お湯は沸かそう。」
お湯を沸かしている間にお母さんにお礼のメールを送った。
ピーー
「お湯が沸いた。」
「久々のお茶漬け。」
「いただきます。」
「熱い。」
「美味しー」
「ごちそうさまでした。」
「お風呂入ろ。」
私は、しばらく温かいお風呂につかった。
「そろそろあがろう。」
私は、部屋着に着替え、洗い物をした。
「やっと終わった。」
私は、布団をひき、ゴロゴロした。
そして、そのまま寝落ちした。
翌日
「あぁよく寝たー」
「10時かぁ。」
私は、起きて着替えた。
「早くごはん食べて出かけよう。」
「いただきます。」
モグモグ
「ごちそうさまでした。」
「洗い物して出かけよう。」
「洗い物終了。」
「行ってきます。」
私は、花屋へ向かった。
「ついたー」
「こんにちは。」
「いらっしゃい。」
「中へどうぞ。」
「はい、ありがとうございます。」
「じゃあ、契約書にサインしますね。」
「詳しいことはこの紙に書いてあります。」
「はい、確認します。」
「サインと、ハンコをここにお願いします。」
「わかりました。」
「では、これで契約出来ました。」
「ありがとうございます。」
「明日からお願いします。」
「松田ももさん」
「こちらこそ。」
「高梨さん」
そして、私は、次の日から仕事と生活を両立する日々が始まった。
気がつけば、引越てきた日から1年が経っていた。
でも、1年前とは違った。
あの残業が続く日々は辛くて辛くて仕方なかった。
私は、思い切って逃げた。
不安なこともあったけど、のんびり自分のペースで過ごす日々が楽しい。
遠回りをするのに、勇気や頑張りは
少し忘れよう。
だってもう頑張ったから。
私は、そう考えるようになった。
これは、フィクションです。