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第一章 出会いは森の中で突然に
俺は自分のことが嫌いだーー。
もこもこした体毛に覆われていて、不潔と罵られたから嫌いだ。
誰かと繋ぎたいこの手に鋭い爪があるから、私達を傷つけると謗られたから嫌いだ。
左右の目の色が違うから、不吉な目と蔑まれたから嫌いだ。
そしてなにより、人を怖がらせるこの顔が嫌いだ。
それでも彼女は怖がらず俺に手を差し伸べた。
明るい言葉をかけてくれた。
それだけで自然と気持ちは舞い上がり、視界に広がる世界の彩をより映えさせた。
彼女という存在を言葉で表すと、北風のように他人を振り回し、太陽のように他人を明るく暖かい気持ちにさせてくれる人ーー。
だから俺は思ったんだ。
この綺麗な存在をせめて近くで眺めていたいってーー。