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ヘタレ勇者は毎日お仕置きされながら明るい未来を妄想する  作者: 田丸 彬禰


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ヘタレ勇者が妄想する古代都市クエスト その19

 さて、そのお仕置きだが、実に恥ずかしいものだった。


「痛いよ」


「当たりまえだ。痛くなければお仕置きの意味がないからな」


「今は、お仕置きは流行っていないよ。体罰反対、お仕置き反対」


「それはどこの世界のものかは知らないが、我々の世界では今も昔もお仕置きは立派な教育だ。とにかくそのような見苦しいことを言うな。お前もドラゴンなら、プライドを持て」


「でも痛いよ」


 フロスト・ドラゴンに押さえつけられたチビドラゴンはお尻を何度叩かれ、その度に悲鳴を上げる。


 実は、俺はその光景を見て非常に居心地が悪かった。


 少なくてもこちらの世界に来てからは勇者である俺は、あのような恥ずかしいお仕置きをされている経験などあるはずがないのだが、どうも毎日のように自分も同じことをされているような感覚があった。


 ……これもすべて、元の世界で春香や麻里奈から陰湿ないじめに似たお仕置きをされた暗い過去が成せるわざなのかもしれない。


「もう許してください。許してください」


 その間もチビドラゴンは情けない言葉を泣きながら吐き続けていた。


 自分のことのようで胸が締め付けられる。


 たまらず、俺が止めにはいる。


「もうその辺で許してやったらどうだ。かなり反省しているようだし」


「本来ならもう少しお仕置きする必要があるのだが、勇者恭平が言うのなら、この辺で勘弁してやることにするか。おい、お前。二度とあのようなことをしないと誓えるか」


「うん、誓える」


「声が小さい。言葉使いも悪い。やり直し」


「誓えます」


「姿勢が悪い。やり直し」


「もう二度とやらないことを誓います」


「声が小さい。心が籠っていない。やり直し」


「もう二度とやらないことを誓います」


「まあ、いいことにするか」


「ふ~」


 その様子は、俺が創作料理研究会に入部することが決まったあの日におこなわれた屈辱の儀式そっくりだった。


「なんか、どこかで見たことがあるよね。恭平」


「さあ俺は知らない」


 あれは勇者である俺にとっての黒歴史なのだ。


 封印せねばならない。


これは「小野寺麻里奈は全校男子の敵である」の番外編「小野寺麻里奈が異世界にやってきた」のさらにスピンオフ作品になります。

キャラクターの性格や立ち位置等は本編や番外編に準じていますが、主人公はタイトルどおり麻里奈から恭平となっています。


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