ヘタレ勇者が妄想する古代都市クエスト その17
「出たね」
「ああ、出たな」
「出ましたね」
口には出さないものの、それを見た俺たちの感想は様々である。
「チビタン、とりあえずやっちゃってよ」
「わかった」
「おい、ちょっと待て」
物事をよく考えない麻里奈にそう言われたちびドラゴンは、俺の制止を無視して自信満々にそれに炎を浴びせた。
だが、それは、面倒くさそうに炎を払っただけだった。
「おい、効いていないようだぞ」
「間違いなく効いていないな」
「うん。僕もそう思う。どうしよう?」
俺たちの目の前に現れたそれは、俺たちを乗せたチビドラゴンより一回り大きいが、それよりも目立つ特徴は青白い鱗に覆われていることだった。
「あれはフロスト・ドラゴンということでいいのか?」
俺はドラゴンについて詳しくはないが、頭の片隅にあった知識からその名前を口にした。
「そう。氷だの雪を吐く邪道のドラゴンだよ」
「チビタン、この状況でそういう説明はまずいよ」
「そうそう。倒してから言うものだよ。そういうことは」
「まったくだ。お前は少し反省していろ。だが、こうなったら仕方がない」
俺はドラゴンから降り、目の前にいるもう一匹のドラゴンに近づいた。
もちろん、もしもの事態に備えて剣には手を掛けている。
「まずは、俺が飼っているドラゴンの無礼を詫びる。まだ幼いので許してもらえれば幸いだ」
「……」
「俺の名前は橘恭平。この都市を探索している勇者だ。お前の名前を知りたい」
「セレジャ」
どうやらこのフロスト・ドラゴンの名前はセレジャというらしいところまではわかったのだが、今回のドラゴンは非常に口数が少ない。
飼い主の麻里奈並みによく喋るチビドラゴンは特別にしても、これまで出会ったドラゴンは皆雄弁だった。
……これはやりにくいな。
俺は心の中でそう思った。
話をしない相手との交渉ほど難しいものはない。
「さて、どうするか」
最悪、即戦闘になることを覚悟したのだが、事態はここから予想外の方向に進むことになる。
まず15件目のブックマークをしていただいた方、ありがとうございます。
これは「小野寺麻里奈は全校男子の敵である」の番外編「小野寺麻里奈が異世界にやってきた」のさらにスピンオフ作品になります。
キャラクターの性格や立ち位置等は本編や番外編に準じていますが、主人公はタイトルどおり麻里奈から恭平となっています。




