ヘタレ勇者が妄想する古代都市クエスト その16
「それにしても平和だね」
「まったくだよ。モンスターの一匹でも出てくればいいのにね」
「でも、何も起こらない」
「起らないね~実に平和だ」
麻里奈と春香が再び余計なことを言い出す。
……お前たちはお約束とかフラグとかいう言葉を知らないのか。
「やめておけ」
「なんでよ」
「まさか怖いの?」
「いや、そういうわけではないが」
もちろん、俺は勇者だ。
敵が出てくれば容赦はしない。
だが、好戦的だということではない。
何事もなく目的を果たすのが一番なのだ。
だから、そのような危険なものをわざわざ呼び寄せるようなことはすべきではないのだ。
だが、俺の不安をよそにお約束はさらに加速する。
「大丈夫だよ。何か出て来たら、僕の炎で焼き尽くすから」
「うわぁ~楽しみ」
「見たいよね。早く出て来ないかな。モンスター」
「僕にど~んとお任せあれ」
ちびドラゴンまで余計なことを言い出す。
こうなれば、この後に登場してくるのは、このちびドラゴンより巨大なモンスターか、炎が効かない氷雪系モンスターに違いない。
「余計なことを……」
これだけお約束の手順を踏めば、さすがの俺の人徳でも賄いきれるものではない。
そして、当然出てくるわけである。
お約束のものが。
これは「小野寺麻里奈は全校男子の敵である」の番外編「小野寺麻里奈が異世界にやってきた」のさらにスピンオフ作品になります。
キャラクターの性格や立ち位置等は本編や番外編に準じていますが、主人公はタイトルどおり麻里奈から恭平となっています。




