ヘタレ勇者が妄想する古代都市クエスト その15
「ところで、麻里奈」
「何?」
「このような狭いダンジョン内での移動に便利な乗り物があっただろう。アレを出したらどうなのだ。みんなへばっているみたいだぞ」
もちろん勇者である俺はこの程度のことでへばるはずはないのだが、まみや恵理子先生はかなり疲れているようだ。
「そうだった。こういうときのためのチビタンだよね」
俺はみんなと言ったのだが、当然麻里奈や博子はそこに含まれていない。
含まれていないということは、他人が疲れていても気がつかない。
この辺が気配り名人の俺との違いである。
ついでに言えば、麻里奈の言うチビタンというのは、以前別のダンジョンを探索中に俺が捕獲し、現在は麻里奈がペットとしている小さなドラゴンのことである。
もちろん小さいと言っても、十分なサイズはあり、人間が六人ほど乗っても動物愛護団体からクレームが来ることはない。
「出でよ、チビタン」
さすがに「チビタン、君に決めた」ではなかったが、ダハシュールのマジックアイテムショップが売られている某アニメに登場するような手のひらサイズの球体を投げると、煙とともに現れたのが、それだった。
「恭平、何か用があるの?」
「ああ、このダンジョンは広そうなので、しばらくの間背中に乗せてくれ」
「恭平に頼まれては断れないよ。いいよ」
ということで、俺が先頭、続いて麻里奈がドラゴンに乗り……だが、どうもおかしい。
「ん?」
奇妙な違和感がある。
当然このドラゴンを捕らえ、従わせた俺は何度もこのドラゴンに乗っているはずなのに、初めて乗るような感覚なのだ。
「どうしての?恭平」
「いや、なんでもない」
気のせいであるとその妙な感覚を振り払い、俺たちはドラゴンの背中に乗ってダンジョン探索を続けることにした。
これは「小野寺麻里奈は全校男子の敵である」の番外編「小野寺麻里奈が異世界にやってきた」のさらにスピンオフ作品になります。
キャラクターの性格や立ち位置等は本編や番外編に準じていますが、主人公はタイトルどおり麻里奈から恭平となっています。




