ヘタレ勇者が妄想する古代都市クエスト その10
「まず、この都市が最初から空を飛ぶために計画されていたかどうかで、答えは変わってくる。いくら古代魔法が偉大でも限度というものがある。なにしろ、そのキーとなるものがこんな小さいものだからな」
そう言って俺が掲げたのが、拳ほどの石である。
「もうひとつ重要な情報は、言い伝えだ」
「ふんふん」
「みんなも知ってのとおり、この魔法都市は自由に移動していたという話がある。隠さずに言えば、俺はその話を信じていなかった。おそらく魔術師たちがこの都市内の移動に魔法で動く乗り物に乗っていた話が大きくなったと思っていた。だが、実際はこれだ。まちがいなくこの魔法都市は自由に移動していた」
そう、現在俺たちは空を移動する魔法都市に乗っているのだから言い伝えは間違いない。
「そうなると、魔法の暴走に起こった惨事によって機能停止する直前までこの都市は空を飛んでいたことになる。ということで、俺は最初から空を飛ぶようにデザインされていたかはわからないものの、最終形態というか今の形は、空を飛ぶために整えられた形をしていると思う」
「私も恭平とピッタリ同じ意見だよ」
「当たりまえです。私たちは二番ですから。ということでひとりだけ一番の意見であると主張する先生は何か言うことがありますか?」
「うぐっ……」
間違いなく、陰湿なイジメである。
「先生、さっき言ったのは俺の意見であって、ハズレの可能性だって大いにある。当たったら、先生の一人勝ちになりますよ」
恵理子先生のあまりの落胆ぶりに思わず、まったく思ってもいないことを口にしてしまったのだが、その効果は抜群だった。
「……そうか。そうだよね。そうなれば、私はみんなから好きな物をもらえるわけだよね」
元気になった恵理子先生だったが、それも長くは続かない。
「でも、先生、負けた場合はひとり負け。おかずは全部なくなるからね」
「そうだ。先生からおかずを奪い取る順番を決めておかないといけないよね」
「そうですね。誰から先生のおかずを奪い取りますか?ついでに、先生から奪い取るおかずも決めておきませんか」
「……私のおかずが」
あっというまに意気消沈する元教師であった。
これは「小野寺麻里奈は全校男子の敵である」の番外編「小野寺麻里奈が異世界にやってきた」のさらにスピンオフ作品になります。
キャラクターの性格や立ち位置等は本編や番外編に準じていますが、主人公はタイトルどおり麻里奈から恭平となっています。




