ヘタレ勇者が妄想する古代都市クエスト その5
「ねえ、恭平。そんな簡単なことなら私にもやらせてよ」
「まりんの次は私だよ。一回転とかやってみたい。あとは急降下とか」
「わかったから、順番にやってみろ。ただし回転はダメだ」
「では、いくよ。まずは上昇しろ……あれ、おかしいな。もう一回やってみるよ。上昇しろ。しかたがないね、東へ転進……全然動かないのですけど」
麻里奈が何度やっても高度も方角もまったく変わらない。
「変わらないです。まりんさん」
「壊れているよ、コレ」
壊れているのはお前の頭だという俺の心の言葉を、俺の代わりに口に出したのが春香だった。
「全然変わらないよ。まりんは日頃のおこないが悪いからこうなる。お嬢様であるこの私がお手本をみせてあげる。では上昇しなさい」
またも変化なし。
「動きません」
「お嬢様である私の命令に従わないとは、生意気な石ころだね」
「ということは、春香も日頃のおこないが悪いということかな」
「まりんと一緒にしないでよ」
「春香に言われたくないよ」
結局、俺から教えられた制御方法を次々に試してみるが、誰がやってもなぜか浮遊都市の軌道は変わらなかった。
「なんでできないのだろうね」
「さあ……相性とかでしょうか。魔力不足ということも考えられますけれど、剣士である恭平君のほうが魔法使いである私よりも魔力があるとは思えないですし不思議ですね」
ポンコツ魔法使いのその言葉には賛成しかねるが、とりあえず無用な騒動にならないように批判は心に留め、別の可能性を示唆した。
「おそらく、石を合わせた者が所有者として認識されたのだろう。それ以外の者の言葉には反応しないのではないか」
「なるほど」
「きっとそうだね」
俺のそれらしい説明に全員が納得したのだが、それが正しいかどうかはわからない。
だが、とりあえずは、俺の意思によってこの都市は制御できることはわかったところで、一安心となり、俺たちはこの都市の探検を開始することにした。
これは「小野寺麻里奈は全校男子の敵である」の番外編「小野寺麻里奈が異世界にやってきた」のさらにスピンオフ作品になります。
キャラクターの性格や立ち位置等は本編や番外編に準じていますが、主人公はタイトルどおり麻里奈から恭平となっています。




