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中二病を極めた私、異世界魔法を凌駕する  作者: 氷高悠
第2章 第6話「魔族の将と相対した私、本気で怒る」
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01 ルミーユ学園の危機

「な、なんだお前は!?」

「どうやってこの、ルミーユ学園の敷地に入ってきた!!」


 異変に気付いたらしい守衛さんたちが、私の後ろから駆け寄ってきた。


 守衛さんたちの眼前に立っているのは――恐ろしいほど冷酷な目をした男。

 見た目は人間のようだけど、まるで異質な存在であるその男。


 それは――魔軍四将の一人・地軍大将ヴェルゴーシュ。


「うるせぇなぁ。俺様は今、アリスと遊ぼうとしてんだよ」

「我が校の生徒に、手を出させるわけにはいかぬ!」

「おとなしくお縄に――」

固まれ(、、、)


 ――――ゴトン。


 先ほどまで息巻いていた守衛さん二人が、硬直した状態で地面に倒れ込んだ。

 まるで、石になったかのように。


 そう――リーリカや門番の人たちと、同じように。


「……ヴェルゴーシュ!」


 私は怯える心に鞭を打ちながら、その化け物の名前を叫んだ。


 アルミラの森では、グランゴーレムを打ち破った。

 臨海合宿のときには、サンドゴーレムを消滅させた。


 オルタナギアに来てからの私は、中二病をこじらせた魔法を使って、どんな魔物にだって無敵の力を振るってきている。


 だから、今回も大丈夫。

 そう、言い聞かせようとするけれど……恐がりな気持ちが、私の脚をすくませる。


「あん? なんだよ、てめぇ……震えてやがんのか?」


 ヴェルゴーシュがわざとらしく、嘆息してみせる。


「がっかりだぜ、アリス。俺様のかわいいグランゴーレムを倒したっていう魔法使いが、こんなにビビりだなんてよぉ!」


 吼えるように言って、ヴェルゴーシュが拳を振り下ろした。

 眼前に迫る、凄まじい勢いの乗った拳。


 けれどそれは……『堕天使の羽根(ドレスコード・ゼロ)』によって弾かれる。


「……ちっ。物理攻撃すら無効化すんのかよ。てめぇ、厄介な魔法を操りやがるなぁ?」

「そうだよ。だからあなたは、私を倒すことができない。おとなしく、みんなを元に戻して!」

「てめぇには確かに、攻撃が通らねぇ。だけどよぉ……他の学園の連中は、どうかな?」


 ヴェルゴーシュがいやらしい笑みを浮かべた。

 そして、その右手を大きく振り上げて。


「てめぇら! 一気に攻め込んで来やがれ!! そしてこの学園の連中を……皆殺しにしてみせろ!!」


 その号令を皮切りに。

 門扉の向こうから、砂嵐を巻き起こしながら。

 無数の魔物たちが……ルミーユ学園へと攻め込んでくる。


 ゴーレムやゴブリン。大小様々な、数えきれないほど多くのモンスターの群れ。


「ど、どうして学園の敷地内に魔物が!?」


 ルミーユ学園や寮には、魔族の侵入を防ぐための防御結界が張られているはず。

 そのおかげで私たちは、魔族から護られた空間で学生生活なんて送ることができているんだ。


 なのに、どうしてその結界が、こんなに簡単に……?


「結界術士なら、あそこで寝てるぜ?」


 くいっと門扉の方を親指で差して、ヴェルゴーシュは下卑た笑みを浮かべる。


「普通の攻撃じゃあ、結界は破れなかっただろうよ。そういう意味では、この学園のセキュリティはよくできていやがったよ。ただなぁ……相手が悪かったな」


 そうか。

 ヴェルゴーシュは結界の外から、結界術士の目を見て――石化させたんだ。

 結界術士が石化してしまえば、学園を覆っている防御結界は消失する。


 つまり――今のルミーユ学園は。

 魔族にとっての、格好の標的ってことだ。


「まずい……っ!」


堕天使の羽根(ドレスコード・ゼロ)』がある限り、私がダメージを受けることはない。


 だけど……ルミーユ学園のみんなは。

 当然だけど、こんな膨大な数の魔物たちに襲われて、無事でいられるはずがない。


 私は震える脚にキュッと力を入れると、ヴェルゴーシュに背を向けて――走り出した。


「おい、てめぇ! どこへ行きやがる!!」


 ヴェルゴーシュが何か叫んでいるけど、知ったことじゃない。

 私は息も絶え絶えに、寮に向かって全力疾走する。


 そして、寮の中に飛び込むと。


「みんな! 魔族が……魔族が攻めてきたよ!!」


 あらん限りの声を振り絞って――私は寮にいるみんなに向かって、警告した。

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