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中二病を極めた私、異世界魔法を凌駕する  作者: 氷高悠
第2章 第5話「友達の誕生日を祝いたい私、準備に奔走する」
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01 過ぎていく季節

 授業中にふと窓の外を眺めると、茶色い葉っぱが風に舞っていた。


 ひらひらと落ちていく葉っぱを眺めていたら、なんだか時の流れの速さを感じて仕方ないなぁ。

 こっちに来たばっかりの頃は、草も葉も、まだまだ緑色だったもんね。


 私がオルタナギアに来てから、早いもので――もうすぐ二ヶ月になる。


 リーリカやユピたちと知り合って、一緒に寮生活を送るようになってから、もう二ヶ月!

 なんだか実感が沸かないなぁ。


 だって本当に、あっという間だったんだもん。

 オルタナギアに来る前は、学校に行くのがひたすら苦痛で、一日が過ぎるのですら永遠のように感じてたのにね。


 冴えないぼっち生活を送っていた私が、ひょんなことから異世界転移を果たしてから……なんとも色んなことがあった。


 最初にオルタナギアに飛ばされてきたときは、いきなりドラゴンと遭遇したんだっけ。


 それを軽々と倒したところをリーリカに見られて。

 ルミーユ学園に連れてきてもらって。


 学園長のところでは、私がとんでもない潜在魔力を持っていることが分かって、入学許可をもらったんだよね。

 そんな私のことが気に入らないチェリルとは、魔法で試合をしたりもしたっけな。


「なんだか、懐かしいな……」


 頬杖をついて空を仰ぎながら、私はぽつりと呟く。


 学園に馴染んできてからも、私の毎日は波乱に満ちていた。


 ゴーレム討伐訓練のときは、魔王グランロッサが直々に送り込んできたグランゴーレムと、決死の死闘を繰り広げた。

 そこで名前が知れ渡ったおかげか、キサラさんに目を付けられて。

 よく分からないうちに、リーリカVSキサラさんで試合をすることにもなった。なぜだか私を巡って。


 最終的にキサラさんは、リーリカのことが気に入っちゃって、今ではリーリカのストーカーもどきみたいになっちゃってるけどね。


 そして忘れもしない、臨海合宿での出来事。


 謎の男――ヴェルゴーシュが召還したサンドゴーレムを止めるべく、私は中二魔法を駆使して戦った。

 どうにか撃破することには成功したけれど……あやうく、学園のみんなに危害が及ぶところだった。



 ――カンナさん! カンナさんも一緒に戦ってください!!

 ――どうして?



 あのとき、そばにいたにもかかわらず、一切手を出そうとしなかったカンナさん。


 カンナさんのことだ。何か思惑があったのかもしれない。

 あったのかもしれないけど……残念ながら私には、カンナさんの深遠な考えを理解することはできずにいる。


 まぁ……そんなこんなで。

 激動の二ヶ月が過ぎ去って、季節はすっかり十一月になった。


 ちなみにオルタナギアの暦は、私が元いた世界のものと一緒。

 分かりやすくていいんだけど、なんだか不思議な感じ。


「……あ」


 そういえば、十一月って。


 私はふっと、『大切な日』が近づいていることを思い出した。


 そうだよ。ボーッとしてる場合じゃないや。

 授業が終わったら、急いで準備をはじめなきゃいけない。


 私は視線を窓の外から、教室へと戻した。

 そして――リーリカのことを、ちらっと見る。


 すると、その視線を感じたのか、リーリカもこちらの方を向いてきた。


「うん? どうかした、アリス?」

「う、ううん! なんでもないよ!!」

「……? そう?」


 怪訝そうな顔をしながら、教卓側に向き直るリーリカ。


 あ、危なかったぁ。

 怪しまれちゃってないよね? 私、ポーカーフェイスを保っていられたよね?

 これからはもっと、気を付けて行動しなくっちゃだね。



 なんてったって、これから準備することは……。

 リーリカには、内緒にしなきゃいけないんだから。

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