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中二病を極めた私、異世界魔法を凌駕する  作者: 氷高悠
第2章 第4話「夜のお泊まりを満喫する私、謎の男と出会う」
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02 合宿の夜はガールズトーク!

 そんなこんなで、夕食やら温泉やらを満喫した私たちは。

 寝室のベッドにそれぞれ陣取って、ゆったりとした時間を過ごしていた。


「さて、そろそろ寝ましょうか。皆さん」


 そう言ってベッドから腰を上げ、電気のスイッチのそばまで歩いていくのは、チェリル。

 それぞれのベッドでは、私・リーリカ・ユピ・ミルミーがくつろいでいる。


 そう。

 二つのパーティで一室ということだったから、『フレンドライン』は『チェリミル』と同室で過ごすことになったのだ。


 パチンと、チェリルが部屋の電気を落とす。

 電気スタンドの淡い光だけが、暗い室内を照らし出している。


「さて、それでは皆さん、お休みなさいま――」

「ちょっと待ちなって、チェリル」


 自分のベッドに戻って、布団に潜り込もうとするチェリルを、リーリカが制する。


「なんですの、リーリカさん」

「せっかくの合宿だっていうのに、こんなに早く眠っちゃうのは、もったいないでしょ」

「ですけど、そろそろ消灯時刻ですし……」

「真面目だなぁ、チェリルは。大丈夫だって、消灯はしてるんだから」


 強引な説得をしてくるリーリカに嘆息して、チェリルはごろんと掛け布団の上でうつぶせの姿勢となった。


「はぁ……それで? 一体、何をするっていうんですの?」

「決まってるでしょ。合宿の夜といえば……ガールズトーク!!」


 ガールズトーク!

 合宿の定番っていうか、修学旅行とかだと欠かせないイベントのひとつだね!!


 まぁ今までの人生では、欠かしてばっかりだったんだけど……それは置いといて。


「なんだかアリス、楽しそうなの」


 棺桶の中からひょこっと顔を出して、ユピが言う。


「え、そ、そう? で、でも……うん。リーリカの言うとおり、寝るにはまだ早いっていうか。もっとみんなで盛り上がりたいなって」

「まぁ、皆さんがそうおっしゃるのなら……」


 そして――ユピが棺桶から出てきたところで。

 私たちは五人でベッドにうつぶせて、顔を寄せ合った。


「わー。なんか楽しみだねーチェリル?」

「べ、別にわたくしは、そんなに楽しみではありませんけどね!」


「チェリルとミルミーってすごく仲良しだよね」

「そうだねー。チェリルとボクは、ルミーユ学園に入る前からの付き合いだから」

「あ、そうだったの?」

「ミルミーのお父様と、わたくしのお父様は、昔からの友人でしたの。だからわたくしたちも、幼少期からお互いを知っておりましたわ」

「へぇ。幼なじみってやつなの」


 幼なじみ!

 いいなぁ、そういう関係。

 小さい頃からお互いの良いところも悪いところも知っていて、それでもずっとそばにいられる……そんな関係。


 私はなんだか羨ましくなって、思わず聞いてしまう。


「じゃあミルミーって、チェリルと小さい頃から、一緒に遊んでたんだ?」

「そうだねー。お医者さんごっことか結婚式ごっことか、色々したよねー」

「ま、まぁ、そうですわね」


「一緒にお風呂に入ったりとかも?」

「したしたー。洗いっことか、よくしてたよねー」

「ち、小さい頃の話ですからね!」


「もっと過激なことも?」

「ああ。それならチェリルが初めて――」

「ミルミぃぃぃぃぃぃ!!」


 チェリルが悲鳴のような声を上げて、ミルミーの頭を布団に押しつけた。

 リーリカが眉をつり上げて、「しー」と口元に指を当てる。


「ちょっとチェリル。騒いだら先生が来ちゃうでしょ?」

「だ、だって!? アリスさんが変なことを聞くからですわ!」

「あ、うん、ごめん……つい、調子に乗っちゃって」

「じゃあさー。今度は初恋の話とかしない? ボク、アリスちゃんの初恋とか聞いてみたいなー」


 ガバッと布団から顔を上げて、ミルミーがニコニコしながら言う。


 え、私?

 私は思わず頬を引きつらせる。


「あー。それ、あたしも聞きたい!」

「アリスほどの美少女なら、モテモテだったはずなの。どんなことがあったの?」


 リーリカとユピも、目をキラキラさせてこちらの顔を覗き込んでくる。

 あ。うーんと。期待満々で見られてるところ、悪いんだけど……。


「ごめん。私まだ、そういうの、ないんだ……」


 嘘じゃない。

 私はこれまでの人生で、恋なんてしたことがない。


 恋に憧れる気持ちはあるんだけど……オルタナギアに来る前は、ほら、見た目もアレだったし? そういうことをする資格が、なかったっていうか。

 私なんかに目を向けてくれる相手がいるなんて、考えたことがなかったんだ。


「うっそだー。絶対あるよー。アリスちゃんほどの美少女が恋愛経験ないなんて、もったいないなー」

「嘘じゃないって。昔の私は、本当に大したことない子だったんだから」


「じゃあ、これから恋する予定はあるの?」

「んー、どうだろうね? でも私、あんまりクラスの男子と話す機会ないし。よく分かんないや」


「確かに。アリスってば、あたしたちとばっかり一緒にいるもんね。男子とか、縁遠いってレベルじゃないよね」

「それはリーリカも一緒でしょ。っていうか、リーリカこそ、好きな人とかいないの?」

「アリス」


 即答だった。


「じゃなくって。恋愛的な意味でだって」

「…………まぁ。それは、ご想像に任せるわ」

「何その、含みのある言い方? 誰か気になる相手とかいるわけ?」

「いる……って言ったら、どうする?」


 そう言って、リーリカは少し上目遣いに、私のことを覗き込んでくる。

 なんでそんな目で、私のこと見てくるの?


「どうって言われても、それは――」


 そのときだった。

 ガタガタと、窓ガラスが音を立てはじめた。


 私たちはびっくりして、一番隅のベッドの方へと移動する。


「な、なんですのお化け!?」

「お、落ち着いてチェリル!? ボ、ボクの首が絞まっ――」

「お、お化けじゃないよ。多分」


 そう。

 これは合宿や修学旅行にありがちな、あのイベントに違いない。



 ――気になる女子の部屋に、男子が忍び込んでくる的な、アレだ!

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