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中二病を極めた私、異世界魔法を凌駕する  作者: 氷高悠
第2章 第4話「夜のお泊まりを満喫する私、謎の男と出会う」
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01 特訓を終えて

 夕方にさしかかった頃、海での特別授業をようやく終えた私たちは、宿へと向かった。


 今日泊まるのは、海沿いにある大型宿泊施設。

 なんでもこの施設も、ルミーユ学園が所有しているのだとか。


 さすがはルミーユ学園。

 魔王グランロッサ討伐のために、オルタナギアの各国が資金を投入してるだけのことはあるよね。


「んー! ねぇアリス、この魚、すっごくおいしいわよ!!」

「リーリカ史上、最高に?」


 食堂でやたら盛り上がっているリーリカに、私は思わず苦笑する。

 その隣でこっくりこっくりと、舟を漕いでいるユピ。


「ユピ、大丈夫?」

「ん……大丈夫なの。ご飯食べてたら、なんだか眠くなっちゃっただけなの」

「まぁ今日の特訓、かなりきつかったもんね」

「結局、一年生で『海を切り裂く』なんて大技が使えたのは、アリスくらいなの」


 リーリカとユピが、なんだか嬉しそうに私の顔を覗き込んでくる。

 それがなんだか、くすぐったくて。


「べ、別に……たまたまだよ。そんな目で見ないでってば」

「そんなに謙遜しなくっていいんじゃないですかぁ、アリスさぁん? もっと得意げに胸を張っていいんですよぉ」

「もぉ、リーリカ。からかわないでっ」


「そうですわ。今日の結果は、たまたまに決まっているのですわ!」


 食事を摂っている私たちの前に立ち。

 海では外していた銀縁眼鏡を、くいと持ち上げて。

 チェリルが、僅かにほっぺたを膨らませながら、言った。


「本来でしたら、アリスさんだけでなく、わたくしも課題をクリアすることができていたはずですの。今日はたまたま! 調子が悪くって、失敗しただけですのよ!!」

「まーた、アリスに突っかかってきちゃって。いい加減、実力差を認めたら?」

「な、なんですのリーリカさん! そのまったく信用していない目は!? わたくしは本当に、自由時間に疲れすぎていてですね……」


「チェリルってば、すっごくはしゃいでたもんねー」

「ミルミーが強引に、わたくしを連れ回しただけでしょう!?」


 そばに立ってニコニコ笑っているミルミーに、目くじらを立てるチェリル。

 このコンビも相変わらずだなぁ。


 それと――チェリルの私に対する絡み方も、相変わらずだよね。


「チェリルさん。気を落とすことはないの。一年生であんな芸当ができるアリスが、特別なだけなの」

「それで励ましてるつもりですの、ユピさん!?」

「事実を言っただけなの」


「くっ……リーリカさんといい、ユピさんといい。『フレンドライン』の皆さんは、ちょっとアリスさんを過大評価しすぎなのではなくって!」

「クラスの総意だと思うけど」


 ねぇ? とリーリカが声を上げると。

 クラスメートたちは途端に下を向いて、黙り込んでしまう。


「くぅ……!! お、覚えておいでなさいアリスさん! 必ずや近い将来、わたくしが貴方を超える魔法使いになってみせますからね!!」

「うん。お互い頑張ろうね」


「……随分と余裕ですわね」

「余裕はないけど。本当に、一緒に頑張りたいと思ってるんだよ」


 チェリルの気迫にやや圧倒されながらも、私は素直な気持ちで、そう応える。


 相変わらず、チェリルは私に対してライバル心剥き出しにしてくるけれど。

 なんとなく、私の方もチェリルの扱い方が分かってきたというか。

 チェリルの本心が、分かってきたっていうか。


 ――チェリルは別に、私のことを嫌ってるわけじゃなくって。

 強くなりたいから、私のことを『ライバル』だと思ってるだけなんだよね。多分。


 ライバルだから、負けたら悔しくって。

 勝って見返したくって。


 それで突っかかってくることもあるけれど……『敵』だと思ってるわけじゃない。


 どちらかというと、仲良くなりたいって思ってくれてるんじゃないかな?

 そんなこと言ったら、チェリルは顔を真っ赤にして怒り出しそうだけど。


「……何を笑ってるんですの、アリスさん」

「あ、ごめん。なんでもないよ」

「なんでもない人が、突然笑い出すわけありませんわ! なんですか、わたくしに言いたいことでもあるんですの!?」


「うーん……そうだね。チェリルって、かわいいなと思って」


「か……かわっ!?」


 あ、しまった。ついポロッと言っちゃった。


 チェリルは案の定、顔を真っ赤に染めると、両腕をぶんぶんと振り回しはじめた。


「な、なにをふざけたことを……っ! わ、わたくしは……」

「うんうん。アリスちゃんの言うとおり。チェリルって、かわいいよねー。チェリルだって本当は、かわいい服を着――」

「ミルミぃぃぃぃぃぃ!!」


 ミルミーの口を高速で塞いだかと思うと、なんだか口をあわあわさせながら、その顔を睨みつけるチェリル。


 あはは。相変わらず仲良いな、チェリルとミルミーは。

 まるで私と、リーリカやユピみたい。


 ね、リーリ……。


「って、いたぁ!?」


 急にお尻の辺りをつねられたもんだから、私は思わず変な声を出しちゃった。


「ど、どうしたのリーリカ?」

「……べっつにー」


 私のお尻をつねった張本人は、なぜだかほっぺたを膨らませて、ぷいとそっぽを向いてしまった。

 そんな私たちのやり取りを、苦笑いしながら見守っているユピ。



 もぉ。なんだっていうのよ……リーリカってば。

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