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中二病を極めた私、異世界魔法を凌駕する  作者: 氷高悠
第2章 第3話「臨海合宿に出掛けた私、青春を謳歌する」
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04 水着で大はしゃぎ!

 鏡に映った私は――相変わらず絶世の美少女だった。


 肩にかかる長さの、ゆるふわパーマの金髪。

 まつ毛のびっしり生えた、大きな宝石みたいな瞳。

 はっきりとした目鼻立ちに、弾力のある大きな胸。


 そんな私が着替えたのは……白いビキニタイプの水着だった。


 肌の白さも相まって、なんだか透明感がある。

 本当に、私はオルタナギアに来て生まれ変わったんだなぁ……。

 昔の私だったら、水着なんて着ても、もっさりした印象しかなかったのに。


 感慨に耽りつつ、私は更衣室を出て、砂浜に素足をつける。


「ア、アリス……すごい! あたし史上、最高だわ!!」


 砂浜で私を見つけるなり、目をキラキラさせて近づいてくるリーリカ。

 頬を赤く染めて、なんだか大興奮な様子。


「きれいって言葉じゃ足りないくらいの、その美しさ……これを見て平静を保っていられるわけがないわ! 絶対に男子の近くにいかないこと! あいつらにこんな姿見せたら、いやらしい目で見られるに決まってるんだから!!」

「ありがと、リーリカ。だけど、それはリーリカも同じだよ」


 そう言って私は、水着に着替えたリーリカを眺める。


 赤いサイドテールの髪に、勝ち気そうな瞳。

 そんな快活な印象のリーリカが選んだ水着は……花柄のビキニ。


 チューブトップの扇情的なトップスに、小さなリボンのついたかわいらしいボトムス。

 スタイルも抜群なリーリカだから、まるで水着モデルがそのまま抜け出してきたようにすら感じられる。

 同性の私ですら、思わずドキッとしちゃうほどだ。


「絶対それ、男子に見せちゃだめだよ? 言い寄られて困っちゃうと思うから」

「別に言い寄られても、フるだけだからいいけどね。だってあたしには、アリスがいるんだもの!!」

「……楽しそうなの、二人とも」


 そうしてわいわい盛り上がる私たちを、ちょっと離れたところから見ている……ユピ。

 バスタオルを巻いたまま、ほっぺたを真っ赤にさせている。


「ほーら! ユピも早く、それを取って!!」

「わっ!? ちょっと、リーリカぁ!!」


 リーリカに強引にバスタオルをはぎ取られたユピは、慌てて手で水着を隠そうとする。

 だけど――ようやく諦めがついたのか、おそるおそる両手を後ろに回した。


「わぁ。ユピ、かわいいね!」


 私は思わず、感嘆の声を上げてしまう。


 ネイビーブルーのトップスには、フリルがふんだんに散りばめられていて。

 ボトムスを覆い隠すように伸びているパレオは、童顔なユピとは対照的に、どこか大人っぽい。

 人波以上に胸が大きいことも相まって、なんというか……色っぽいなぁ。


「くっ……こっちもあたし史上、最高と言わざるをえないわ!」

「リーリカ。一体いくつ『最高』があるのさ」

「この世のかわいい女子が存在する数だけ、あたしの『最高』は増えていくのよ!」


 妙なテンションで力説するリーリカに、私は思わず笑ってしまう。

 さっきまで恥ずかしがっていたユピも、つられて笑う。


 ああ……私たち、海に来たんだなぁ。

 開放感と爽快感を覚えながら、私はぐっと大きく伸びをした。


 これからの自由時間を精一杯、満喫しなくっちゃね。

 なんたってこれは、私の人生初の、充実した旅行イベントなんだから!


「おっと。なんだか盛り上がってるねぇ、後輩諸君」


 そんな私たちの後ろから。

 聞き覚えのある声が聞こえてきた。


 その声に、リーリカはピシッと、笑顔を凍らせる。


「うちも混ぜてちょうだいよ。そのかしましガールズトークにさぁ!」

「きゃっ!?」


 そう言って、思いっきりリーリカに飛びつくと。

 その困った先輩――キサラさんは、猫みたいに口を歪めて笑った。


 相変わらずどうなっているのか分からない、ネコ耳みたいにセットされたピンク色のヘアスタイル。

 金色に煌めく、真ん丸な瞳。


 そんなキサラさんは、真っ黒なビキニを着ている。

 すらっとした体型をしているキサラさんなので、その大人っぽいセンスの水着は、ばっちりと似合っている。


 ただし……黙っていたらの話だけど。


「キサラさん、離してください! 暑っ苦しいですよ!!」

「なんだよー。自分だってさっき、アリスたちにやってただろ?」


 確かに。


「それとこれとは別です! とにかく、離れてくださいってば!!」

「えっへっへ。いいじゃんー、減るもんでもないし。ってか、リーリカの肌、すべすべだねぇ。思わず触りたくなっちゃう」


 言いながら、実際にぺたぺたとリーリカの露出した肩に触れるキサラさん。

 言動すべてが、なんだか親父くさいですよ。


 そんなキサラさんのボディタッチに、リーリカは顔を真っ赤にして怒る。

 自分はしょっちゅう、私やユピにやってるくせにね。

 やっぱり自分がやるのと、やられるのじゃ、なんか違うのかな。


「もぉ! キサラさん、やめてくださいってば!!」


 強引にキサラさんを引き剥がすと、リーリカは自分の胸元を手で覆い隠す。

 攻められて涙目になってるリーリカはレアだなぁ。これはこれでかわいいから、ちょっと写真にでも撮っておきたくなっちゃう。


「なんでだよぉ、リーリカ。アリスとはあんなに、いちゃいちゃしてたじゃんー。うちとも、いちゃいちゃしてよぉ」

「いやです。キサラさんのことは、確かに剣士として尊敬してますけど、そういう相手じゃないので」

「じゃあアリスは?」

「そういう相手です」

「そういう相手って、どういう相手!?」

「……言わせないでよ、アリス。恥ずかしいなぁ」


 なんでそこで、ますます顔を赤くして、下を向くかなぁ!?


「あーあ。やっぱりまだまだ、うちはアリスに敵わないかぁ」

「なんの勝負をしてるんですか、キサラさんは……」

「もちろん、リーリカを振り向かせる勝負っしょ」


 きっぱりとそう言って。

 キサラさんは猫みたいな口元のまま、不敵に微笑む。


「うちはまだ、リーリカとパーティを組むことを、諦めたわけじゃないからね? どんなにリーリカがアリス一筋だとしても……うちがその気持ち、ぶった切っちゃうから。そして最終的に、リーリカはうちのことを……」

「天地がひっくり返っても、そんなことはありえません!」


 かんかんと照りつける太陽に届きそうなほどの声で、リーリカが叫ぶ。

 そんな、いつもどおりの二人のやり取りを見て――私とユピは揃ってため息をついた。


「なんか……海に来たって感じがしないね」

「なの。普段見てる光景と、全然変わらないの」



 私の人生初の、充実した旅行イベント。

 最初っから、なんだか前途多難だったりして……。

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