表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
中二病を極めた私、異世界魔法を凌駕する  作者: 氷高悠
第2章 第3話「臨海合宿に出掛けた私、青春を謳歌する」
56/80

03 海辺のアリス

 そうして水着を買いに出掛けてから、早数日。

 いよいよ私たちは、臨海合宿の当日を迎えた。


 大きめのカバンに、旅行用の荷物を詰め込んで。

 戸締まりを確認すると、私たちは学園へと向かう。


「それにしても……海に行くのに、集合はいつもの教室なんだね」


 そういえば、どうやって海まで行くんだろう?

 元いた世界では、修学旅行のときはバスを使っていたけど。


 バス。

 思い返すと、あれは地獄だった。


 みんながわいわい盛り上がっている中、逃げ場もなく座席に座り、ただ眠っているふりをするだけの無為な時間。苦痛以外の何物でもなかった。


 だけど――今日の合宿は違うぞ!

 私もかつてのリア充たちのように、リーリカやユピと楽しくお喋りしながら、目的地までの旅を楽しむんだから!!


 ――――と、思っていたのに。


 集合時間から、僅か十数分後。

 私たちは既に、海に到着していた。


「……あーあ。せっかくのお喋りタイムの夢が……」


 オルタナギアの旅先への移動は、それはそれは簡素なものだった。


 先生の描いた、巨大な魔法陣の上に乗って。

 空間転移の呪文を唱えたら――ほら、着いた!


 もう気分は、どこ○もドアだよ。

 旅先に向かう風情なんて、あったもんじゃない。


「なーに、暗い顔してんの? アリス」


 がっかりしている私の顔を、ひょこっとリーリカが覗き込んでくる。

 つり目がちな目でまっすぐこちらを見て、歯を剥き出しにして笑っているその姿は、なんとも無邪気でかわいらしい。


「ほらほらー。昨日まであんなに、楽しみにしてた海じゃないの! もっと盛り上がろうよ!!」

「う、うん……そうだね。そうだよね!」


 リーリカの言葉に、私はぐっと顔を上げて、海辺へと駆けて行く。


「ほら、ユピも!」

「えっ!? ユ、ユピは海からの照り返しに強くな――」


 ちょっと引き気味なユピの手を引きながら、私の後を追ってくるリーリカ。

 そして――私たちは三人で、目の前に広がる大海を見る。


「うわぁ……すっごいきれい!」

「オルタナギアの中でも、この辺は特に、海が澄んでることで有名だからね」

「うん。確かに、とっても素敵な海なの」


 元いた世界で行った、数える程度の海経験を思い返しても。

 ここまで青く澄み渡った海なんて、見たことがなかった。


 草原や山もたくさんあるし、オルタナギアってなんだかんだで、きれいな自然が残っている風土なんだな。

 大自然の神秘を肌で感じながら、私は噛み締める。


 あのぼっちだった自分が、友達と仲良く、美しい海に遊びに来ている喜びを。


「ほら、皆さん! 集合してください!!」


 先生の声に、私たちは慌てて整列する。

 全員が集まったのを確認すると、先生はこほんと咳払いをした。


「海に来てはしゃぐ気持ちは分かりますが、皆さん節度を持った行動を心掛けてください。臨海合宿の意義は、そもそもは海上戦の訓練を――」


 くどくどと先生が何か言ってるけど、多分私も含めて、みんなうわの空。


 そりゃあそうだよ。

 こんなにわくわくする海を臨みながら、真面目に話を聞くなんて……できるわけがないってば。


「……と、前置きが長くなりましたが。今の皆さんの頭は、海で遊ぶことでいっぱいでしょう」


 先生はそう言って、もう一度咳払い。

 そして、にっこりと微笑んで、言った。


「まずは自由時間としますので、思いっきり遊んで、リフレッシュしてきてください。ただし、羽目を外しすぎてはいけませんよ?」


 やったぁ!

 私たちはみんな揃って、歓声を上げる。


 自由時間は、一時間半。

 こんなところでぼやぼやしてる場合じゃないや。


 私はリーリカとユピと連れだって、更衣室へと急ぐ。

 少しの時間ももったいない。


 早く着替えて、この海でのリア充時間を、満喫するんだから!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ