表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
中二病を極めた私、異世界魔法を凌駕する  作者: 氷高悠
第2章 第3話「臨海合宿に出掛けた私、青春を謳歌する」
55/80

02 買い物に行こう!

「というわけで、リーリカ。ユピ。買い物に出掛けよう!」


 授業がすべて終わり、帰寮するタイミングになったところで、私は意気揚々と告げた。

 リーリカとユピが顔を見合わせてから、きょとんとした顔でこちらを見る。


「買い物って……何を買いに行くの?」

「決まってるじゃない。臨海合宿に備えて、水着の調達だよ!」

「アリス……なんだかいつもとテンションが違うの」


 ちょっと呆れたように、ユピがぼやく。

 一方リーリカはといえば……。


「あたし史上、最高だわ! すっごい、素敵な提案!!」


 瞳に星を散らしながら、鼻息を荒くして私の前に躍り出た。


「アリスとユピが、水着に試着するところを見れるなんて……ああ! あたしが水着を見繕うから!! 二人とも、色々着てみてね! そう、色々と!!」

「あ、う、うん……」

「……なんだかものすごく、心配なの」


 自分で言い出しといてなんだけど。

 リーリカの高すぎるテンションに、一抹の不安を覚える私なのでした。




「……ねぇ? なんだかユピ、元気ない?」

「えっ!? そ、そんなことないの!」


 商店街に行く道すがら。

 なんだか心なしか、いつもより俯きがちなユピが気になる私。


「ひょっとして、買い物に誘ったの……迷惑だった?」

「そ、そんなことないの! ただ、ただ……ユピは」


 人差し指同士を擦り合わせて、ためらいがちにこちらを見るユピ。


 そして、ギュッと目を瞑って。


「ユピは……海に行くのが、とっても苦手なの!!」


 必死に声を張り上げて、言った。


 私とリーリカは、思わず顔を見合わせる。


「そうだったの、ユピ?」

「それで臨海合宿の話が出てから、元気なかったんだね」

「ユピにはヴァンパイアの血が流れてるから……あんまり直射日光を浴びすぎると、くらくらしちゃうの。だから海に出掛けるのが、あんまり好きじゃないの」

「そっか。ごめんね、ユピ。私、そんなことも知らずに買い物に誘っちゃって……」


 友達の気持ちにも気付かず、はしゃぎすぎてしまった自分が、なんだか恥ずかしくって……思わずしゅんってなっちゃう。


 そんな私を見たユピが、慌てて両手を振った。


「ち、違うの! 二人と一緒に買い物に来れたのは、とっても嬉しいの。それに、苦手な海だって……この三人でなら楽しみたいなって、思ってるの」

「……ああ、もぉ! ユピってば、かわいいんだからぁ!!」

「ちょっ……!? リーリカってば、いきなり抱きつかないでなの!」


 そんなユピの制止なんて聞きもせず。

 抱きついたまま、ユピに頬ずりをするリーリカ。


 そんなやり取りがなんだかおかしくって……私は思わず、声を出して笑ってしまう。


「もぉ! アリスも、笑ってないで早く止めてなーのー!!」

「あははっ! ごめんごめん、ユピ」

「……ん? あー、アリスちゃんたちだー!」


 そうしてかしましく歩いていると、誰かの声が聞こえてくる。

 顔を上げて見ると、そこにはミルミーと、何やら紙袋を手にしたチェリルの姿があった。


「あ。チェリル、ミルミー」

「何やってんの、あなたたち。こんなところで?」

「そ、それはこちらのセリフですわ! 貴方たちこそ、何しにこちらにいらしたんですの?」

「ユピたちは、臨海合宿用の水着を買いに来たの」

「あ。ひょっとしてチェリルたちも、そうなのかな?」

「んっとねー。こっちはチェリルが着るコスプ……」

「ミルミぃぃぃぃぃ!!」


 火がついたように顔を真っ赤にして、チェリルがミルミーの口を塞ぐ。

 何、その慌てよう。


「えっと……ミルミー、今なんて言ったの?」

「み、水着! そう、水着ですわ!! わたくしたちも貴方たちと一緒で、臨海合宿に備えて買い物に来たんですの!」

「ほんとぉ~? なんかその割には、紙袋が大きくない?」


 確かに。

 水着にしてはやけに大きいね、その紙袋。


「こ、これはその! 水着をたくさん買ったから、こうなったのですわ!!」

「なんで水着をたくさん買うのよ。二泊三日なんだから、そんなにたくさんいらないでしょうに」

「ど、どれを買うか迷ったから、全部まとめ買いしただけですのよ? 何か文句でもあるんですの、リーリカさん!?」

「いや、文句はないけどさ……」


 チェリルの物凄い剣幕に、私たちは顔を見合わせて黙り込む。


 なんか釈然としないけど……まぁ、いっか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ