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中二病を極めた私、異世界魔法を凌駕する  作者: 氷高悠
第2章 第2話「友達と先輩に取り合われる私、見てることしかできない」
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05 先輩と後輩の共闘

 ただ事ではない悲鳴によって、決闘は一時中断。

 私たちは全員、学園の門の方へと急いだ。


 そして門をくぐると、そこには――。


「な、何これ!?」


 私は思わず叫んでしまった。

 だってそこには、ありえない光景が広がっていたのだから。


 緑色の草原が広がっているはずのそこは、茶一色に埋め尽くされていた。


 ゴーレムの大群。

 見たこともないほどの数のゴーレムが、妖しく蠢いていた。


「なんですの、これは!? どうして学園の近くに、これほどのゴーレムが……」

「言ってる場合じゃないみたいだよー、チェリル」


 ミルミーがそう言って、ゴーレムの大群の中心を指差す。


「た、助けてええええええ!!」


 そこで悲鳴を上げているのは、私たちのクラスメートの一人。

 おそらく敷地外に出ていたところを、この異常事態に巻き込まれてしまったのだろう。

 早く助けないと、ゴーレムに……喰らい尽くされちゃう!


「いっくよぉ!」


 叫ぶと同時に、跳躍。

 先陣を切ってゴーレムの大群に突っ込んだのは、キサラさんだった。


「『ドグリィ』『マグレイド』――頼むぜぇ! この数は、しゃれになんないからさぁ!!」


 独り言ちながら、双剣を振るうキサラさん。


「あたしも行きます、キサラさん!」

「ボクも!」


 それに続いて、リーリカとミルミーも、各々の武器を携えて駆け出した。

 三人の攻撃により、一匹、また一匹と、ゴーレムが消滅していく。


 だけど――それじゃあ間に合わない。

 ゴーレムの数が、尋常じゃない!


「『火炎滅波(ファイアブラスト)』!」

「『火炎球(ファイアボール)』!」

「『火炎球(ファイアボール)』!」


 チェリルを先頭に、魔法使いたちがオルタナギアの魔法を繰り出していく。

 それにより確実にゴーレムは倒せているのだが、中心にいるクラスメートを助け出せるほどには、ゴーレムの数が減らない。


 このままじゃ、埒があかない。

 そう思った私は――大きく深呼吸をすると。


 ゴーレムの大群へと、まっすぐに突っ込んでいった。


「ちょっ!? アリス、何やってるの!」


 ユピの悲鳴にも似た声が聞こえるけど、振り返らない。

 襲い来るゴーレムと押し合いへし合いしながら、私は襲われているクラスメートのもとへと急ぐ。


「アリス、何やってるの! ゴーレムを減らしてからじゃないと、中心まで行くのは危険よ!!」

「それを待つ間に殺されちゃったら、どうするの! 私だったら、大丈夫だから!!」


 そう。

 なんてったって、私は規格外の魔法使い。

 オルタナギアの常識的にはありえない魔法だって、簡単に使えるんだから。


 たとえば、今の私が使ってる魔法は……。


堕天使の羽根(ドレスコード・ゼロ)

 戦いがはじまると同時に、自動的に発動。

 物理であろうと魔法であろうと、敵からの攻撃は自分に一切通らなくなる。


 自動発動型の、攻撃無効化魔法。

 これがある限り、私にはゴーレムの攻撃は一切通らない。


 だからこそ――みんなが戦っている中で、無策に突っ込んでいくなんて無茶ができるってわけ!


「ア、アリスさん……」

「もう大丈夫だよ」


 そうしてクラスメートのもとへ辿り着いた私は。

 クラスメートを庇いつつ、周囲を取り囲むゴーレムたちを見渡す。


「この状況なら……『あれ』がいいかな」


 呟いて、私は禁断教典『シュバルツアリス』の一ページを思い返す。


 そして、両手をクロスさせて突き出して。

 中二病な呪文の詠唱を、開始する。


「『さようなら』の言葉とともに、私は貴方に別れを告げた。離れた二人は、二度と触れ合うことはない。壁越しに最期のキスをして、後ろ向きに歩き出す私たち。それは静かな葬送曲(レクイエム)――『世界を切り取る(バベル・)唯一の塔(ウォール)』」


 詠唱が終わると同時に、私たちの周囲を、光のドームが覆った。

 煌めくプリズムのようなそれは、世界と自分たちを分かつ壁。


「グオオオオオッ!!」


 その壁に、一匹のゴーレムが触れる。

 瞬間――ゴーレムはどろどろに溶けて、その場に崩れ落ちた。


「これは防御魔法! この光が包んでいる限り、私たちには誰も近づけないよ!!」

「さすが、アリス! あたし史上、最高だわ!!」


 リーリカがぐっと、こちらに向かって親指を立てる。

 私もそれに、同じ仕草で応じる。


「だけどこれを発動している間は、他の魔法は使えないんだ。だから……」

「任せて。あたしだって、いつまでもアリスにばっか、頼ってられないもの」

「言うじゃん、リーリカ?」


 そんなリーリカの肩をポンと叩くのは……キサラさん。


「決闘は中断になっちまったことだし? これからどっちが多くゴーレムを倒せるか、競争しない?」

「アリスを賭けて、ですか?」

「うーん。それは一回、置いといてさ」


 子猫みたいに無邪気な笑みを浮かべて、キサラさんはパチッとウインクをした。


「うちについてこれるか、見せてほしいんだよね。うちに憧れてる後輩ちゃんがどんなもんか、お手並み拝見ってね」

「……望むところです」


 そんなキサラさんに、笑顔を返して。

 リーリカは『ルクシアブレード』をかまえた。


「行きますよ、先輩!」

「やられんじゃないよ、後輩!」



 ――――そうして、数十分後。

 キサラさんとリーリカを中心に、ルミーユ学園が全力を尽くしたことによって。


 ゴーレムの大群は、完全に鎮圧されたのでした。

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