表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
中二病を極めた私、異世界魔法を凌駕する  作者: 氷高悠
第1章 第6話「パーティを組んだ私、ゴーレム討伐に挑む」
35/80

03 アルミラの森の異変

「はぁはぁ……さすがに、疲れてきたわね」


 もう何十体目かも分からないゴーレムを打ち倒したところで、リーリカはぺたんと地面に座り込んだ。

 ユピも『ピルピッドユピ』にもたれ掛かって、くってりとしている。


「アリスぅ。あたしたちの現在地って、どの辺り?」


 リーリカに言われて、私はオルタフォンを取り出す。


『オルタフォン』。

 オルタナギアにおける連絡用端末で――いわゆるスマートフォンに酷似した形態をしている代物。

 ルミーユ学園の生徒には全員支給されており、アルミラの森のマップについても配布されているのだけど……。


「うん。もうすぐ最深部……シルバーゴーレムのいる場所に、到着するよ」

「他のパーティは、どうしてるの?」

「ほとんどのパーティは、私たちより遅れてる。今のところトップなのは――私たちと、もう一組」

「どこのパーティなのよ、同率一位なのは?」


「『チェリミル』」


 私はよく知ってる二人の顔を思い浮かべながら、そのパーティの名を口にした。

 魔法使いのチェリルと、斧使いのミルミー。


 ――負けませんわよ、アリス。


 チェリルの闘志に燃える瞳を、思い出す。

 さすがはチェリル。口先だけじゃないってことだね。


「そうと聞いたら、休んでる場合じゃないわね……っ!」

「そうなの。このままシルバーゴーレムのところまで、一気に行くの!」


『チェリミル』の名前を聞いて、リーリカとユピも気合いが入ったらしい。


 そうだよね。

 ここまで頑張って、負けたくないもんね。


「よし。それじゃあ、二人とも。ボスキャラを倒しに……行くよ!」




 生い茂る草木を掻き分けて。

 私たちはアルミラの森の最深部へと辿り着いた。


 そこにあったのは、円形に広がる更地。


 先ほどまでの森が嘘だったみたいに、だだっ広く開けた戦闘領域(バトルフィールド)

 そこに――一体の巨大なゴーレムが、倒れ伏していた。


「アリス、あれって……」


 リーリカが息を呑む。

 私はこくりと頷いて、唇を噛み締めた。


 その巨大なゴーレムは……全身が銀色に発光している、明らかにこれまでのゴーレムとは異なる個体。

 つまり、このゴーレムこそが。


 この森の支配者――シルバーゴーレム。


「そんな……『チェリミル』に先を越されちゃったの?」


 ユピが今にも泣きそうな顔で、声を上げる。


 そうだよね。

 さっきまでの状況を思うと、ユピが言うとおり……『チェリミル』が私たちよりも早く、シルバーゴーレムを倒したって考えるのが当然だ。


 だけど……。


「……違う気がする」


 骸と化したシルバーゴーレムに近づきつつ、私は呟く。

 シルバーゴーレムの背中には、まるで巨大な拳で撃ち抜かれたような、大きな風穴が開けられている。


 チェリルの魔法によるものには見えない。

 ミルミーの斧の一撃では……多分こうはならない。


 じゃあ、一体誰が?


「きゃあああああああ!?」


 そうして逡巡していると、甲高い悲鳴が響き渡った。

 それと同時に、巻き上がる土煙。


 私はハッとして、顔を上げた。


「チェリル!?」


 砂埃が霧散した先に倒れ込んでいたのは、チェリルだった。


 幸い、大きな怪我こそしていないようだが、愛用の真っ黒なローブはあちこちが擦れている。

 あのチェリルがここまでぼろぼろになるなんて……生半可な相手とやり合ったとは思えない。


「アリスちゃんたち、逃げて!」


 そんなチェリルのそばに駆け寄ってきて、大声で叫ぶのは――ミルミー。


 ビキニアーマーにミニスカート、かわいらしいおへそを露出したラフな格好のミルミーは、斧をかまえたまま正面を見据えた。


 その肩やお腹には、痛々しい擦り傷が刻まれている。


「ミルミー! 何があったの? あっちにシルバーゴーレムが……」

「ボクたちは何もしてないよ! 一番に森の最深部についたときには、シルバーゴーレムが倒れてたんだ。そして――こいつに襲われた!!」


 その言葉が終わるか終わらないかのタイミングで。

 爆音とともに、ミルミーの足元が爆ぜた。


 かろうじて飛び上がり、それを回避したミルミーは、無骨な斧を頭上へと持ち上げる。


「行っけぇぇぇ、ボクの『ハンマーダンパー』!!」


 ミルミーの斧『ハンマーダンパー』が、凄まじい勢いで振り下ろされた!


 ――――ガキンッ!!


「あっ!?」


 鈍い音とともに、斧がくるくると回転しながら、森の方へと弾き飛ばされる。

 そして、ミルミー自身もまた……中空を舞い、チェリルのそばへと落下した。


「ミルミー!!」


 私たちは慌てて、二人が倒れているところへと駆け寄る。

 ユピがそっと二人の口元に手を当てて、こくりと頷いた。


「二人とも息はあるの。気を失ってるだけみたい」


 その言葉に、私はひとまず、ホッと胸を撫で下ろす。


「だけど一体、何があったの? あのチェリルとミルミーが、こんなになるまで……」

「ちょ……っ!? アリス、ユピ! あれ!!」


 リーリカが、私とユピの肩を揺する。


 それと同時に――ズシンと。

 大地が砕けん勢いで、大きく震えた。


 先ほどミルミーが、『ハンマーダンパー』を振り下ろした先。

 そこからぬっと、姿を現したのは――。



 全長五メートルは超えている、巨大な金色のゴーレムであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ