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中二病を極めた私、異世界魔法を凌駕する  作者: 氷高悠
第1章 第5話「一躍有名人になった私、パーティを組む」
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06 そのラインの、向こう側

 楽しい三人でのお出掛けを終えて。

 食事と風呂を済ませた私たちは、寝間着に着替えてそれぞれのベッドに腰掛けていた。


「今日はありがとうなの。二人とも」

「これからはもう、あたしたちに遠慮したりしないでよ? なんたってあたしたち、友達なんだからさ」

「うん、なの!」


 ネグリジェ姿で体育座りをして、抱き締めた枕に顔を埋めているユピ。

 その顔からはもう、昼までみたいな不安そうな表情は窺い知れない。


「ユピも、明日から頑張る! 三人でゴーレムを討伐できるように、なの!!」

「そうこなくっちゃね。あたしが前線で剣を振るって、ユピが弓で後方射撃。隙を見つけて、アリスが強烈な魔法をぶち込む……うん! なんかいけそうな感じがする!!」

「気がするんじゃなくって、絶対いけるんだよ」


 言ってから、私は自分の言葉に驚く。

 引っ込み思案だった自分が、まさかそんなことをさらっと言っちゃうなんて。


 だけど――リーリカとユピが一緒なら。

 私はどこまでだって、いける気がするんだ。


「森の深層部にいるシルバーゴーレムを倒したチームが、表彰されるんだったよね?」

「おっ。アリスさんってば、一番を狙っちゃう感じですか~?」


「うん。だって私たちは、最高のチームなんだから」


「あははっ。そうこなくっちゃね!」

「ユピも、こうなったら一番を狙っちゃうの!」


 三人で笑いあう。


 オルタナギアに来て知り合えた、大切な二人の友達。

 順位だとか勝ち負けだとか、昔はどうでもよかった私だけど。

 リーリカとユピと一緒だったら――全力で頑張ってみたい。


 三人で一緒に、どこまでも走ってみたい。


「あ。そういえば、パーティ名はどうしよっか?」

「パーティ名?」


 ああ。そういえば授業で言ってたっけ。

 パーティを組んだら、当日までにチームの名称を考えとくようにって。


 チームの結束を高めるためとか、表彰のときに使うためとか、色々あるんだろうけど……すっかり忘れてたなぁ。


「あたし、いいの思いついたよ。名付けて『ラブラブ☆アリス連盟』!」

「何それやめて」

「『アリスに噛みつき隊』とかも、悪くないと思うの」

「悪いよ。二人とも、いちいち私の名前を入れないでってば。恥ずかしいから」


 なんで二人揃って、してやったりな顔してるかなぁ?

 センスとしては壊滅的だよ、それ。


 そもそも、私の名前を入れようって発想が違うと思うんだよね。


 私たちは対等な立場。

 ゴーレム討伐のパーティであると同時に、友達同士なんだから。


 ――――あ。そうか。


「ねぇ。『フレンドライン』なんて、どうかな?」


『フレンドライン』。

 友達という名の線。


 ――どのラインを超えたら友達で、どこまでがそうじゃないのか。

 そもそも、そういう線引きができるものなのかも、よく分からない。


 だけど……少なくとも、リーリカとユピは友達だって。

 胸を張って言えるから。


『フレンドライン』の向こう側にいるって、断言できるから。


「いいんじゃない? 『フレンドライン』」

「うん。ユピも賛成なの」


 リーリカとユピが口を揃えて言う。

 私はもう一回、口の中でその名前を唱えてみる。


『フレンドライン』。


 ――うん。

 なんだかとっても、しっくりくる!


「じゃあ、あたしたちのパーティ名は、今日から『フレンドライン』に決定ね。剣士のあたし、魔法使いのアリス、そして弓使いのユピ……この三人で、学年一位を目指して頑張ろう!」

「うん!」

「が、頑張るの!」


 誰からともなく、私たちは手を伸ばし合う。

 そして、重ねた三つの手を、天高くかかげて。


「『フレンドライン』! レッツゴー!!」




 ゴーレム討伐訓練まで――あと二日。

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