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中二病を極めた私、異世界魔法を凌駕する  作者: 氷高悠
第1章 第5話「一躍有名人になった私、パーティを組む」
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02 パーティを組もう

「来週末の授業は、パーティによるゴーレム討伐訓練になります。それではこれから、二人~三人のパーティを組んでください」


 ガタンッ!


 私は動揺のあまり、椅子から転げ落ちそうになってしまう。


 二人~三人のパーティ? それを自由に組め、ですって?

 どうしてそんな、残酷なことを言うの!?


『はーい。それじゃあ○人組のグループを作ってくださいー』


 オルタナギアに来る前の、苦い思い出が脳裏をよぎる。


 グループ作り。それは、ぼっちにとっての死刑宣告。

 最後まで一人残されて、結局は先生と組む羽目になるばかりの人生だった。


 あー、トラウマが蘇ってくるー。

 頭を抱えて、私は机に肘をついた。


 ――そんな私の肩を、誰かが叩く。


「アリスさん! 私と、パーティを組んでくれない?」

「ふぇ?」


「あーずるい! わたしも!! わたしも、仲間に入れて!」

「俺も俺も!」

「僕も僕も!」

「ちょっとぉ! 人数オーバーになるじゃない。一番最初に声を掛けたのは、私なんだからね!」


 ……何これ。

 これまで見たこともない光景に、私は思わず首をひねる。


 なんだか、私の知ってるグループ作りと違うぞ?

 先生と組むんじゃなかったの、私?


 いつの間にかクラスメート全員が私を取り囲んで、自分が自分がと言い争う、地獄絵図と化してるんだけど。


「あーら、アリスさん。お困りのようね?」


 椅子に座ったまま硬直している私。

 そこに、クラスメートの波を掻き分けて――チェリルが近づいてきた。


「何を呆けているのかしら? ひょっとして、誰を選ぶべきか、悩んでいるのではなくって?」


 いや、そうじゃなくって。

 この大混乱の原因が自分だという事実に、ただただ唖然としてるっていうか。


「ふ、ふん。そんなにお困りなのでしたら……わたくしが貴方と、組んであげてもよくってよ?」

「はい?」


「か、勘違いしないでちょうだい! わたくしは別に貴方と組みたいというわけではないのだけれど……貴方が困っているようだから! 仕方なく! 組んであげると言っているのよ」


「チェリルは、素直じゃないよねー」

「ミルミーは黙ってて!」


 顔を真っ赤にして腕をぶんぶん振るうチェリルを、にこやかにあしらうミルミー。


「でもまぁ、ボクもアリスちゃんなら大歓迎! チェリルとボクと、三人でパーティを組もうよ」

「あ、えっと……」

「すとっぷ、すとーっぷ!」


 そんなミルミーの誘惑を、打ち消すように。

 リーリカが私の腕を取って、自分の方にぐいっと引き寄せた。


「絶対だめ! アリスはあたしのものなんだから」

「ちょっ、リーリカ……近いって」


 リーリカの小ぶりな胸の感触が腕に伝わってきて、なんだか気恥ずかしい。

 だけどリーリカときたら、そんなことこれっぽっちも気にしてない様子で。

 さらに私の腕に身体を寄せてきた。


 そして――上目遣いに私を見て。


「アリスは……あたしと一緒じゃ、いや?」


 うわぁ。なんて小悪魔フェイス。

 同性だけど、抱き締めたくなるほどかわいい。


「アリス……」

「い、いやなわけな――」


「ちょっとお待ちなさい! リーリカさん、先に声を掛けたのはわたくしですわよ? 横入りはずるいですわ!!」


「順番とか関係ないでしょ! 誰を選ぶかは、アリスが決めることなんだから」

「ちょ、ちょっと二人とも、落ち着いてなの……」


 リーリカの後ろからひょこっと顔を出し、ユピが眉をひそめる。

 ミルミーも同じく、「やれやれ」と肩をすくめてるし。


 ……やっぱりこれ、私の知ってるグループ作りと違う。


 そうだよね。

 オルタナギアに来て、私は変わったんだ。


 今の私は、冴えないぼっちの有栖田(ありすだ)真子(まこ)じゃなくって、一年生トップの実力派魔法使いアリス。

 もう、売れ残りになる心配なんてないんだ。

 むしろみんなから、引っ張りだこの状態なんだ。


 そう考えると、なんだか感慨深いものが……。


「とにかく、アリスはあたしと一緒になるの! さんっざんアリスをいじめてきた、あんたになんか渡さないんだから!!」

「い、いじめてなんていませんわ! リーリカさんがなんと言おうと、学年一・二の実力を誇るわたくしたちが組んだ方が、絶対にいいに決まってますの!!」

「何よ!」

「なんですの!」


 ――――って。感慨に耽ってる場合じゃないや。


 エスカレートしていくリーリカとチェリルの言い争いに、クラスは若干というか、かなり引いちゃってる。

 さすがに止めないとまずそう。


「アリス」


 そんな私のそばに、ちょこちょこと寄ってきて。

 ユピはがくいっと、裾を引っ張ってくる。


「この事態を収められるのは、アリスしかいないの。どっちを生涯の伴侶に選ぶか、決めるときなの。リーリカか、チェリルか、どっちなの?」

「生涯の伴侶!?」

「ごめん、つい言い過ぎたの」

「ついって、レベルじゃないでしょ……びっくりするよ」


「だけど、少なくともこの件について、アリスは結論を出す必要があるの。アリスが決めないと、二人とも絶対に納得しないの」


 どうしてこんなに事が大きくなってしまったんだ……。


 思わず頭を抱えたくなるけれど。

 きちんと言わないと。私の正直な気持ちを。


「リーリカ! チェリル!」

「え?」

「はい?」


 ぎゃんぎゃん言い争いをしている二人に向かって、私は思いきって声を張り上げた。


 そして、椅子から立ち上がり。

 二人のことを、まっすぐに見つめて。



「私が……私がパーティを組みたいのは……っ!」

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