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中二病を極めた私、異世界魔法を凌駕する  作者: 氷高悠
第1章 第5話「一躍有名人になった私、パーティを組む」
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01 一躍、有名人

 チェリルとの試合が終わって以降、私の周りに人が絶えることはなかった。


 寮のラウンジに行こうものなら、あっという間にみんなに囲まれて。


「アリスさん、私と友達になって!」

「アリスさん、サインちょうだい!」


 なーんて。

 気分はまるで、芸能人みたい。


「はいはいー。アリスと話したい方は、あたしを通してくださいー」


 そして差し詰め、こっちは芸能事務所のマネージャー。

 慣れた調子で周囲をさばくリーリカに、私は思わず苦笑する。


 そんな私に、とことこ寄ってくるユピ。


「アリス、とっても人気者なの」

「あはは……ここまで騒がれると、なんだか落ち着かないけどね」

「棺桶を貸してあげるの。あそこに入ると、静かでとっても落ち着くの」

「いや……棺桶はいいよ」


 狭そうだし、暗そうだし。

 多分、あそこで落ち着くのはユピくらいだよ。さすがはヴァンパイアのハーフ。


「はぁ。本当に、みんなミーハーなんだから! そんなに簡単に、アリスを渡してたまるもんですかっての」


 腰に手を当てて、深く嘆息するリーリカ。

 渡してたまるもんかって……渡すって、なんの話?


「……あ」

「うっ!」


 ふっと顔を上げると、たまたま近くを通りかかったらしい、見知った顔と目が合った。


 黒髪のボブカットに、銀縁眼鏡。

 この騒ぎの関係者――チェリルは、気まずそうに私の方を見る。


「……じろじろ見て。わたくしに、何か用ですの?」

「いや、用はないけど。挨拶でも、しようかなって」

「ふんっ! 自分が勝って有名人になったから、上から目線で挨拶してやろうって魂胆ですわね? その手には乗りませんわ!」


 いや、普通に挨拶したいだけなんだけど。

 よく分からない言い掛かりに戸惑う私。


「あんたも懲りないわね、チェリル! 勝負に負けたのはそっちなんだから、いい加減アリスに絡むのはやめたら?」

「リーリカさんには関係ないでしょう? 貴方はアリスさんの保護者ですの?」

「そうよ!」


 いやいやいや。

 おかしいおかしい。


「まぁまぁ。チェリルも、リーリカちゃんも、落ち着いてって」


 そうしていがみ合う二人の間に割って入ったのは――オレンジ色のポニーテールが特徴の、笑顔が眩しい少女。

 チェリルのルームメイト、ミルミーだ。


「リーリカちゃんが言うことも、一理あるよー? チェリルがアリスちゃん好きなのは分かるけど、あんまりしつこく絡むと、嫌われちゃうって」

「な……っ!? わ、わたくしがアリスさんを好きとか、そんなわけないでしょう!!」


 物凄い剣幕で怒るチェリル。


 好きじゃないって。

 そんなにはっきり言われると、凹むんですけど。


「~~もういいですわっ! 行きますわよ、ミルミー!!」

「はいはい。分かったよー」


 ふんっ! と私から顔を逸らして、帰っていくチェリル。

 なんだか試合をする前と、あんまり変わんないなぁ。私とチェリルの関係。


「――ありがとうね。アリスちゃん」

「へっ?」


 ボーッとチェリルを見送っていた私に、ミルミーがこそっと耳打ちしてくる。

 っていうかチェリルと一緒に帰ったんじゃなかったの?


「チェリルをきちんと倒してくれて、よかったよ」

「え? でも、ミルミーはチェリルのことを応援して……」

「もちろん、そうだよ? だけど、勝負なんて百パーセント勝てるわけじゃないから。負けるときは、さっぱり負けちゃった方がいいんだよ。中途半端に手加減されるよりは」


 リーリカと似たようなことを言って。

 ミルミーは目を細めて、笑った。


「負けた後は、そりゃあもう落ち込んでたけどさ。それはボクが、慰めてあげれば済む話だから。大事なのは、その後だしね」

「その後って?」


「同学年で負け知らずだったチェリルだから。アリスちゃんに勝つために、チェリルはもっと強くなろうって頑張る。そしてきっと、本当に――強くなる。それがチェリルにとっても、ルミーユ学園にとっても……一番大切なことだと思うんだよ」


「ミルミーは物わかりがいいわね。それに比べて、チェリルときたら……」


 隣で聞いてたリーリカが、わざとらしくため息を漏らす。

 そんなリーリカに、苦笑いしているユピ。


「でも、チェリルに限った話じゃないよ。アリスが来てから、ルミーユ学園が活性化してるような気がする」

「え? そ、そうかな?」

「確かに、そうなの。なんだかみんな、やる気に満ちてるように感じるの」

「アリスちゃんのおかげだね! みんなで一緒にレベルアップ。オルタナギアを救うためにも、すっごくいいことだと思うよー」


 三人から褒めちぎられて、私はカーッと顔が熱くなるのを感じる。



 私ってば、いつの間にそんな、たいそうな立場の人間になっちゃったの?

 あの、ぼっちコミュ障だった私が。

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