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そんな・・・

目が覚めると俺はベッドで横になっていた。


まったく頭が働かない。目は開いて意識もあるがまったく気力が出ない。ボーっと天井の模様を眺めている。すると、アーヤが部屋に入ってきた。


「あ、目が覚めたのね! 具合はどう?」


「あーーーー。今のとこ異常はないよ、俺はどうなったんだ?」発声チェックをした後に答える。


「ものすごい勢いでご飯を食べた後、急に倒れたのよ。そして2日間ずっと寝てた。食事に毒が入ってたのかもってすごい心配したんだからぁ」


アーヤの眉毛が見事に八の字になっている。会って1時間も経ってない人間をここまで心配してくれるなんて、やっぱりばあちゃんの子なんだな。そんなことを思いながら上体を起こす。


「たぶん、過労だと思う。いろいろ世話してくれたんだな、いつの間にか服が変わってるし。気絶している人間を着替えさせるの大変だったでしょ、ご飯も含めて本当ありがとう。」


この家族には感謝しかない。ここでお礼を言わないなんて、さすがに恥ずかしいとか人見知りではすまされないレベルだ。素直に感謝の気持ちを伝えると、アーヤの顔がみるみる赤くなる。


「べ、べべ、べつに着替えの時に裸を見たりとか、体を拭いたりとかはおばあちゃんがやったから! 私はあなたの体を持ち上げてただけで、何も見てないから!」


「そんなことまでしてくれたのか!? 迷惑かけたな」


「ま、まぁ、お礼はおばあちゃんに言ったほうがいいわね!」


そう言うとアーヤはそそくさと出て行ってしまった。だいぶ年下だと思うが、かわいいな!

異世界の方が良い思いできてない?現実はクソゲーとはよく言ったものだ。

リビングに行くとばあちゃんが掃除をしていた。


「ばあちゃん起きたよ~」


「目が覚めたみたいだねぇ、いきなりぶっ倒れて死んだかと思ったよ。」


「いろいろ迷惑かけてすいません!」


「謝られたってちっとも嬉しくないよ!謝罪するくらいなら礼を言うようにしてみな、見える世界が変わる。こんな歳にもなれば男の世話なんてどうってことないさ。アーヤにはちょっと早かったかもしれないけどねぇ!」イジワルな目でアーヤを見る


「ちょっとおばあちゃん!何言ってんのよ!」アーヤがまた顔を赤くする


俺もこの家族に恩返しがしたいと、ばあちゃんに尋ねる


「何か俺にできることないか? 何でもするぞ!」


「それじゃあ、荷車引いて水を汲みに行ってもらおうかな。おまえさんを拾った集落のちょっと先に川がある。遠いうえに重いから女だけだとなかなかキツくてねぇ。」


こんな俺向きの仕事、受けないわけがない!


「もちろんやるよ! こう見えて足腰には自信があるんだ!」


小中高とサッカーをやってたからか、太ももは一般の人よりかなり太めだ。大学では何もしてなかったのだが、スポーツテストで下半身を使う種目は軒並み平均以上だった。

日が暮れる前には戻ってこようと、昼食を済ませて意気揚々と出発する。


「気をつけて行ってくるんだよ!」ばあちゃんとアーヤに見送られる。


「わかってる!任せとけって!」最後にばあちゃんが何か言ってた気がするが、まぁいっか!


「おかえりなさい、エンシ・・・」俺もアーヤも、ばあちゃんの呟きを聞いてはいなかった。




暗かったのと気が滅入っていたのもあって、来たばかりのことは何も覚えていなかった。改めて見てみると自然が豊かで良い所だと思う。体感2時間くらい歩いたところにある川で水を汲む。行きと比べてかなり荷車が重くなった、歩くペースがかなり落ちる。


「あー、もうちょい体力付けときゃ良かったー!」と叫ぶ。いきなり運動して全然動けないことに驚く、大人あるあるだ。


あぁ、夕方になってしまった。ようやくクルトの街が見えてくる。うん?様子がおかしい。


「そんな・・・」


目にした光景は燃え盛るクルトの街だった


俺は荷車を置いて駆けだす

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