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高専の常識は世間の非常識  作者: シャバゲナイト老婆
メインエピソード
33/37

父親と高専生

 高専祭も無事に終わって僕は叡智の家に帰宅した。

 もう僕達は汗をかきすぎて汗のせいでスマホがダメになってしまうほどだったので、とりあえず打ち上げの前にお風呂に入って汗を流すことになった。どうやら夜通しで打ち上げをするらしい。明日は学校なのに大丈夫なのかと思ったが、それよりも今は高専祭が無事に終わった充実感が体の中に溢れていて細かいことはどうでもいい。

 昨日と同じ部屋にいるとメイドさんが入ってきた。

「旦那様がお呼びです」

「え」

「旦那様がお呼びです。お風呂で」

「え」

「お風呂で」

「え」

「bathで」

「いや、英語にしなくても分かりますよ」

困惑している僕は「え」としか返事ができなかった。状況を整理できない。僕は何かお父様の逆鱗に触れるようなことをしただろうか。うわあ、めっちゃ行きたくない。しかもよりにもよってお風呂とか、最悪のケースとして沈められる。窒息死だ。

 ここで僕が「もうこりごりだよ~トホホ」と言っておけば終われるのだろうか。いや、終われるわけがない。もしこれがギャグマンガだったら終われていた。でも、これはラブコメだから。追われないのだ。でも一応言っておく。

「もうこりごりだよ~トホホ……」

「?」

 メイドさんは首をかしげる。どうかしたんですか?とでも言いたげだ。

 恥ずかしい。話を戻そう。僕はメイドさんに聞く。

「それって行かなくていけないヤツですよね」

「そうですね」

「わかりましたすぐ行きます」

 僕は下着の替えとお風呂上がりにいつも着ている、新幹線がプリントされているパジャマを急いで用意して屋敷の主人専用のお風呂場に吹っ飛んでいった。

 高速で脱いで扉を開けるとそこには湯船に浸かっているお父様がいた。

「ああ、能登君だね。まぁ入りたまえ」

 僕はかけ湯をしてお風呂に入る。

 ザバーッ。

 チャッポン。

 不要な擬音だった。

 フー。

 僕がお風呂に入って一息つくとお父様は僕に話しかけた。

「どうだね」

 どうだねって何がどうなのだろうか。とりあえずあたりさわりのない返事をしなければならない。と考えていたらどうやら話の途中だったようでお父様はさらに話をはじめた。

「学校生活は順調にいっているかね」

「はい」

 お蔭様でと言おうとしたが、特にお蔭になっていないような気もしたので、はいとだけ返事をした。

「娘が2人お世話になっているよ」

「いえいえそんな」

「いやいや、最近は下の娘が学校から帰ってきても部活の話ばっかりするんだよ」

 てっきり僕はこの親子は仲が悪いと思ったのだが、そうではないようだ。先輩から聞いた話だとお父様は仕事に一生懸命で家庭にはノータッチの仕事人間だと思っていたのだが。

「それでだね、能登君」

 お父様は少し間をおいて、言った。

「娘を嫁に貰ってくれないか」

「え?」

 まったく予想がつかない発言である。

「いや、もちろん君が未成年なのは知っている。君が18歳になってからでいいさ」

 いや、問題はそこではないですよ。お父様。

「いったいなぜ?」

 僕は思っていたことが口に出てしまった。敬語とか吹っ飛んだ。お父様もこれを聞いて更に補足説明をするように話始めた。

「私は父親らしいことをできないから、せめてできる限りは娘達のサポートをしてあげたいんだ。あの子達は心のよりどころが絶対的に足りないんだ。それは家という場所で絶対的な心のよりどころを作ってあげられなかった私の責任でもある」

「だから僕と家庭を作って心のよりどころを作ってあげようということですか」

「そういうことだ。勿論君が死ぬまで働かないで過ごせるようにしてあげることも可能だ。なんなら私の仕事を継がないか」


 僕は即答する。

「遠慮しときます。まだ僕はそんなことを出来る余裕はないです」

「そうか」

「結婚までは無理ですけど僕は心のよりどころを作ることに協力しますよ。僕達には縁がありますから。ただの部活が同じとかの関係ではなくて、もっと深い、これから生涯ずっと関わっていくような関係なんですよ。だから安心してください。僕を信じてください。後悔はさせませんから」

 自分で言っていて少しはずかしかった。でも、どんな形でも僕が叡智や先輩を絶対に守ることを伝えたかったのだ。

 お父様もそれをわかったようで、横から見たその顔はどこか笑っているようだった。

「そうか。やっぱり君を選んで正解だったよ」

 お父様は少し黙った。

「じゃあ僕はもうあがるよ。さっき風俗に行ったから、お風呂はもうはいったんだ」

 そう言ってお父様はお風呂から出ていった。

 えええええええエエエエエエエエエエエエエエエーーーーーー!!!!!!

 僕の人生一番の衝撃がそこにあった。

 なんだよ、この人風俗帰りかよ。さっきのは、ようするにあれか。賢者タイムか。なんだこりゃ。お父様が一番エロじゃねえか。

 だが、きっとこれは冗談で、お父様も自分で言っていて恥ずかしかったのだろう。


 

 お風呂からあがって部屋に戻る。

 下野や叡智、先輩は別のお風呂に入っていたので、僕はお風呂で待っているお父様のところへ行くときに、お風呂からあがったら叡智の部屋に来るように言われていた。

 お風呂からあがると大分眠たくて、これは打ち上げしてもすぐに寝る自信があった。

 叡智の部屋に行くと静かで、誰もいないのではないかと思った。が、ソファまで行くとそこには眠っている3人がいた。どうやら眠たかったのは僕だけではなかったようだ。この季節は布団をかけないで寝るには若干肌寒いが、この、温度が常に一定に保たれた部屋なら風をひく心配はないだろうし、なにより起こすのに気がひける。

 僕はゆっくりと部屋から出て電気を消した。

「おやすみなさい」


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