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高専の常識は世間の非常識  作者: シャバゲナイト老婆
メインエピソード
24/37

初秋と高専生


 あんなに長かった夏休みも無常に終わりのサイレンが鳴り響き、学校が始まる時期になった。

 夏の暑さは未だに残っていて、残暑を体全身で感じている。だが、天気はTHE秋晴れと呼ぶべき晴れ具合で、最近は雨の日も少なく、暑ささえ慣れてしまえばとても過ごしやすかった。まあ、暑さってのは慣れないから毎年毎年苦しんでいるわけだが。

 夏休みの宿題はとりあえず始業日の教科だけ終わらせた。宿題の量が多い数学が残っているが、これに関しては気にしないでおこう。気にしたら負けだ。

 顔を洗い朝ご飯を食べて学校に向かう。

 約1か月ぶりの登下校は、つまりは約1か月の間運動していないことと同義になるため、僕には十分すぎるほどの運動だった。学校に到着するころには身も心も汗だくだった。ようするに身も心も疲れたのだ。そのままである。工夫もクソもない。

 教室に入ると、夏休み明けあるあるの1つが僕を待っていた。髪を切った人もいたし、髪を染めた人もいた。

 夏休み明けの教室は、やっぱりどこかけだるい雰囲気が流れていて、ここにいると自分もけだるくなってしまう。というよりも僕は明確な嫌な気持ちを持っていた。この気持ちをずっと味わうよりは、いっそのことけだるくなった方が良いのではないだろうか。

 まあ、つまりは、僕は部室に行きたくなかった。といっても、修繕部としての活動はないのだから部室に行かなければいいだけの話なのだが、しかし行かないという訳にもいかないのだろう。高専祭のバンド関係のこともある。

 放課後までに気持ちを整理しておくか。

 僕はクラスのけだるい雰囲気の中で1人、覚悟を決めていた。


 放課後になった。

 結果から言ってしまうと、やっぱり気持ちの整理がつかなかった。別に喧嘩をした訳ではないのに、なぜだろうか。

 とりあえず部室の前にまで来たものの、やはり中に入る気は起きない。扉の前で立ち止まってしまう。

「なに扉の前で立ち止まっているんですか。早く中に入ってくださいよ」

 僕はあまりにも易々とばれてしまったのでビックリして気が動転したが、声の主が叡智であることは簡単に分かった。

 叡智が扉を開けてでてくる。叡智は気まずくないのだろうか。

 部室に入ると僕以外の幽霊じゃない部員は全員そろっていた。幽霊じゃない部員、という言い方がとても懐かしく感じた。部室の奥に16インチぐらいのモニターがあった。そこには部室の入口が映し出されていた。

「扉の前に監視カメラを設置したんで、先輩が扉の前に立って悩んでいるところをずっと見てましたよ」

 もう何でもやり放題である。今に始まったことではないが。

「なんで部室に入らないで扉の前で立っていたの?」

彼がニヤニヤしながら聞いてくる。たぶん彼も分かっているのだろう。僕だけ省かれている感じがする。

仲間はずれだ!

「まぁ、今さっき聞いたんだけどね」

「そうですか」

 どうやら一連の流れは部内に知れ渡ったようで、僕もまた、合宿中に僕がいないところで発生していたイベントとかを聞いた。

 そのイベントの中に彼の名前に関するイベントがあったようだ。彼が名前を名乗らなくなった経緯、そして彼の本当の名前がなんなのか。僕は聞いた。

 それはどこにもありがちな話で、どこかが由来のデジャブを感じさせるよりも、もっとありがちな話だった。

 要約すると、ただ親が嫌いで親の付けた名前を名乗りたくなかったのだそうだ。本名は下野しもつけだそうだ。

 なんだか名字も少しまどろっこしくて嫌だな。

 僕の個人的な感情。

 そんな感じで、僕達はある意味でフェアな状態に戻った。僕だけなんの秘密も明かさないのはフェアじゃないのかもしれないが、まず秘密がないので仕方がない。つねに丸腰で生きる人生である。男の中の男である。

 アホともいう。

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