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高専の常識は世間の非常識  作者: シャバゲナイト老婆
メインエピソード
19/37

管理人さんと高専生

 僕達がいろいろと海ではしゃいで別荘に戻ると、すでに別荘の管理人がいた。その人は見た感じ若い女性で、年は20歳弱といったところだろうか。

 その人はキッチンで晩御飯の下ごしらえをしていた。時刻は午後5時過ぎをさしていた。僕達が家の中に入ると扉の音がキッチンにまで聞こえたようで、管理人さんがパタパタと僕達の前に現れた。

「初めまして。私の名前は周防。よろしく。何かアレルギーとかあったら言ってね。聞くだけ聞いといてあげる」

 管理人さんは周防という名前らしい。やや珍しい名字だ。

 僕も挨拶をする。

「能登といいます。叡智さんとは修繕部のクラブメイトな関係で学年は2年です」

 と簡素に自己紹介を済ませたが、ここでも彼は自分のことを彼と名乗っていた。理解できないこだわりだ。ここまでくると彼の本名はいったいなんなのか気になってきた。名前が下ネタとかなのだろうか。確かにそれは名乗りたくない。

 というか自分の名前が下ネタって最悪じゃないか。本名がうんこちんちんの助とかだったらショックで一生立ち直れない。絶対親を恨む。

 海に入ったままでは体に不快感が残るのでシャワーを浴びることにした。礼儀正しくジャンケンで順番を決めたので僕が最初に浴びる。おっと、ここでレディーファーストの文化云々の話をしてはいけないよ。というかそもそも、レディーファーストの文化があるならダンディーファーストの文化があってもいいのではないか。

 男女差別だ!

 お風呂は広くて、浴槽の部分だけでも四畳半はあるのではないのだろうか。浴槽がスクエア型なのはお金持ちの証拠である。それと円形。

 お風呂には、いかにも高そうなシャンプーとボディウォッシュがあったが、なんだか使うのは気が引けたので半プッシュだけ使った。

 いい匂いがした。

 シャワーが終わってもいい匂いが続いていた。

 高級品最高!

 浴室から出てリビングに向かうとそこには誰もいなかった。

 ドッキリかと思って辺りを見回したが周防さんから「みんな部屋に戻ってますよ」と言われた。

 ちょっと恥ずかしかった。

 2番目にシャワーを浴びる予定の先輩の部屋の前で軽くノックし、「シャワー終わりましたよ」と言ってから僕は自室に戻った。部屋にあったベッドに横になると寝そうになる。気温もちょうどよく、ベッドはフカフカで、シャワーに入ったことによって高くなった体温も徐々に下がっていき、まあつまり、結局寝てしまった。これは誰でも寝てしまう条件だ。


 しばらく寝ていたが、彼が僕をベッドから叩き起こしたので無情にも目が覚めてしまった。

「やあ、気持ちよく寝ていたようだね。晩御飯ができたそうだよ」

「おう」まだ眠さが若干残っている。

「あ、もしかして女の子に起こして欲しかったかい?伝えておくよ」

「そんなことはないし、間違った情報を勝手に流さないでくれ。情報は嘘を発信する側も悪いけど、実は嘘を広める側の方が悪いんだよ」

 ベッドから起き上がって部屋を出てリビングに向かう。リビングには僕と彼以外の全員が席に座っていた。どうやら周防さんも一緒に食べるようだ。テーブルの上にはカレーが人数分並べられていた。

「すいません。寝てしまって」

「気にするな」先輩は返答する。

 僕も席に着き、いただきます、と挨拶をしてからカレーを食べる。

 ……ん?

「これ何て料理ですか?」

 カレーの味が若干特徴的な味をしていて、たぶんだがカレーではないのだろう。

「ハッシュドビーフですよ」叡智が答える。続けて、

「食べたことないんですか?」

「カレーならたべたことあるんですけどね」

「カレーとは全然違いますよ。一番大きな違いは、ハッシュドビーフはドミグラスソースを使うところですかね」

「へえ」

 納得した雰囲気をだしたものの、ドミグラスソースを食べたことが無いのでだから何だという感じである。

 食事をしてしばらくはリビングでテレビを見ていた。

「温泉入りたくないですか?合宿といえば温泉に全員で入るのが定番ってアニメで見ましたよ」と叡智がいった。

「温泉なんてあるの?」

「いや、ないんですけどね」

 じゃあなぜ言ったのだろうか。

 そんな叡智の発言もここで終わってしまい、修繕部部員は旅の疲れからか、特に何かをする訳でもなくダラダラとすごしていた。

「もう寝るか」先輩が言った。時間は午後10時だった。

「そうですね」彼が言った。

「明日も早いですしね」叡智も続けて言う。

「明日って早いの?」

 別に明日に個人的な用事があるわけではないので心配事は無いが、今回の合宿の予定を一切聞いていないので毎日が驚きの連続である。

「はい、明日は釣りに行きますよ」

「朝何時ごろ?」

「そうですね。船は朝8時ぐらいに出発するんですけど、船乗り場まで時間がかかるんで6時には起きたいところですね」

「早いっすね」

「そうか?私はいつもこれくらいの時間に起きているぞ。ラジオ体操もあるしな」と先輩が眠そうな声で言う。

 この人は19歳なのにラジオ体操に行っているのか。いや、行ってはいけないということでは無いのだけれど、抵抗とかないのだろうか。しかも確か先輩は学校か借家に住んでいる、レアケースの1人暮らしだったから1人でラジオ体操に行っていることになる。やっぱり先輩は一味違うなあ。

「彼は何時に起きてる?」

僕は仲間が欲しかったので彼に聞く。でもこのパターンはどうせ彼も早起きしているパターンだろう。頭が良い人は朝に早く起きて勉強する的な話をテレビでみたことがある。

「僕は朝6時くらいかな」

 ほらやっぱりだ。

「寝るのが」

 毎日が予想外の連続である。

 結局明日は6時に起きることになったので、僕たちは寝ることにした。

 僕は自室に戻る。窓から月の光が入ってきて、夜なのにあまり暗くない。いつもの家よりも暗くないので眠れないと思ったが、旅の疲れは予想外にも僕の体に蓄積していたようで、ベッドに入ってすぐ寝てしまった。

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