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高専の常識は世間の非常識  作者: シャバゲナイト老婆
メインエピソード
13/37

高専生と相談


 次の日になったら、僕は登校してすぐに教室に行かずに部室へと向かった。なにか深い用があったわけではなく、ただ単に用事がないからである。

 部室には先輩と彼がいた。

「彼は競技に出ないの?」

「僕は午後の駅伝に出るだけだからそれまで暇かな。ウォームアップするから実際は駅伝より少し前から暇じゃなくなるけど」

「先輩はやっぱり出ないんですか?」

「当たり前だ」

「叡智は何かにでてるんですか?」

「今はヴァリーボールに出てるよ」

 無駄に発音がよかったので一瞬なんて言っているのか聞き取れなかったが競技の中から一番近いものはバレーボールだろうと消去法で導き出した。普通に言ってくれないものか。 これだから高学歴は。すーーーーーぐそうやって自慢する。

 ただの僻みだった。

「そういえば叡智さんがキーボード持ってきてたよ」

 彼がそういって指さした方向には叩く場所が64個あるタイプのキーボードが置いてあった。中古品とは思えないほどに綺麗なそのキーボードは、自転車で登校した僕には持って帰るのも一苦労な物であった。

「これ持って帰るべきだと思う?」

「持って帰るべきだと思う」

「先輩はどう思います?」

「持って帰るべきだろうな。私はいつも部室にいるから部室で弾かれると、うるさい」

「先輩って最近になって部室に入り浸るようになりましたね」

「そりゃあ快適すぎる環境だからな。エアコンもあるし布団にソファにテレビに冷蔵庫にパソコンもあるしWi-Fi回線まで通っている」

 そう言われてしまうと確かに快適すぎる環境だ。家よりも快適な環境かもしれない。IHもあるため3食作ることも可能だ。

 ふと、僕の頭の中にビリビリピカピカと弱い電気が走った。

何か少し嫌な予感がする。

青春まっただなかの麗しき女の子が、とても女子力が低そうな行動をしているような予感がした。

「もしかして何ですけど。」

「なんだ?」

「先輩ってここに住んでます?」

「たまにな。電気は1日中通っているから巡回の人にさえ見つからなければ大丈夫だ。それに私は1人暮らしだ」

 ああ、やっぱり。それならいつも部室にいる訳だ。先輩も高専生とはいえ年齢が19歳と1人暮らしを始めてもおかしくない年齢だ。だからといって部室に住むのはいかがなものだろうか。女子力的にどうなのだろうか。

 そうしていると叡智が部室に戻ってきた。

「いやあバレーボールは得意じゃないですね。あ、能登先輩おはようございます。いや、おそようございますの方が適切ですね」

 確かに時刻は11時を過ぎていたのでおはようには遅い時間帯だ。

「バレーボールはどうだったの?」

「2回戦で敗退しましたよ。やっぱり私は野球の方が性に合っていますね。それよりもバンドの話ですよ」

「別に今じゃなくても休息をとってからでも大丈夫だよ」

「じゃあ少し寝さして貰いますね」

 そういって叡智は布団を出して眠った。


午後1時頃に目を覚ましたようだ。

「おはようございます」

「お腹空いたな」と先輩。たぶん叡智が起きたタイミングを狙っての発言だろう。

「学食に行きますか?叡智はお腹空いてる?」

「そうですね。行きましょうか」

 パソコンでネットゲームをしていた彼も参加していたギルドのメンバーに別れの挨拶をして抜けた。

「僕も行くよ」

階段を降りて食堂へと向かう。

 今日は先輩と彼が定食を頼んで僕と叡智はカレーを頼んだ。2日連続でカレーだ。

「それでですね」食卓に着いてすぐに叡智が話をしだした。

「報告が2つあるんですよ」

 やけにもったいぶって叡智が話し始める。

「ですyo!」

 ……。

 そういうの要らないから早く始めてほしかった。しかし言えない。なぜならキーボードもらっちゃったから。返してと言われたら泣いちゃう。

「まず1つ目ですが、高専祭でオリジナルソングを演奏することになりました。私が作詞作曲をします」

 相変わらず既に決定事項であるというような口調で話している。実際、覆す気はないので決定事項になるのだが。

「僕は音楽のことよくわからないんだけど1人で作詞作曲できるの?」

「私が手伝うから安心しろ」と先輩が言った。

 それって安心できるのだろうか。作る人が少ないよりは多いほうが良いか。

「それでもう1つはですね。夏休みに合宿をすることにしました」

 これもまた決定事項なようだ。夏休みは出費が多くなりそうだ。

「合宿地は私の別荘に行きますよ。周りには建物がないんで音を出しても問題ないんですよ。もちろん海もありますし。ラブラブパコパコな展開になっても大丈夫ですよ」

「女性がそういうこと言うのやめなさい」

「まだパコパコしか言ってないですよ。先輩はむっつりスケベなんですから」

 納得いかない。絶対納得いかない。納得なんてしてやるものか。僕のどこがむっつりスケベなんだ。こんな明鏡止水な僕の心のどこにスケベ要素があるのだろうか。

 プリプリと怒っていても誰も気にも留めようとしない。話は無情にも円滑に進んでいく。仕方がないので僕は抗ってみる。

「逆にどういう意味でのパコパコがあるの」

「セックスですよ」

「いやあ、その潔さはもはや素晴らしいよ」

「という訳で合宿あるんで。詳しくは追って連絡しますね」

 という割と大きめな発表を食事中に言われてしまったが、どうせ決定事項なのだからいつ言っても一緒か。

 その後、演奏する曲を決めた。僕が提案した曲は冗談半分だったのだが、思ったよりも好評で演奏することになってしまった。それに加えて、彼が提案したバンドといえば定番のJ-POPと、叡智が提案した今期の覇権をとったアニメのオープニングを演奏することになった。自分でアニソンを馬鹿にしておいてアニソンを演奏するのかよ!と思わず突っ込みを入れたらオープニングが好評で、円盤も歴代でも申し分ないほど売れているから問題ないですよ。と力説されてしまった。叡智もたいがいアニメオタクである。

 高専にもごく少数アニメを一切みない人もいるが、ごく少数なのでもはや誤差である。四捨五入したら0である。

 体育大会も何事も無く終了し、僕はキーボードを練習しながら高専生活を過ごしていった。

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