血清の鬼人9
モンスターを潰し&爆食いしながら進むと、道の行き止まりに辿り着いてた。
いや、正確には行き止まりの壁には一つのドアがある。つまりここでいったん区切りというわけだ。
その扉をちょこっと開け、そこから中を覗き込むと案の定モンスターが居た。
首から下が無く、髪の毛の一本一本が自我を持ったように動き回るヘビをしているゴルゴンだった。
その大きさは3メートル、髪の毛のヘビでさえ俺の半分の大きさはある。
ドアから覗く俺をゴルゴンとヘビがその縦に裂けた瞳孔で睨みつけてくる。
いわゆるヘビ睨みというやつなのだろうか。視線だけで俺の身体は硬直して動けない。
捉えられた獲物、そう思わせるほど奴と俺の実力の差が大きかった。
挑めば十中八九・・・いや、100パー勝てずに殺されるそれほどヤバイ相手だ。
しかし俺は無意識に、せめて髪の毛のヘビ1匹だけでも・・・いつ間にかそう考えていた。
本能からなのだろうか、もちろん勝てると思っちゃいない。
だけど俺は強くなりたいのだ、食ってスキルを得て強くなる。そしていつか勝ちたいのだ、いつも俺の一歩先にいたあいつに・・・。
俺は扉からゆっくり中へと入る。
さっきまで扉の外から少しの間観察したが、ゴルゴンは俺を襲って来る様子は無かった。
推測だがこのゴルゴンは行動範囲が制限されているのだろう。
ここから先に行こうとする者を倒す為の守護者であり、他のモンスターとは違ってダンジョン内を闊歩できないようだ。その方がこっちとしては都合がいい。
俺はゴルゴンに慎重に近づく、するとある程度まで近づくとゴルゴンがゴォォーーン!、と声を上げて本体の目からビームを撃ってきた。
俺は【脱兎】【逃げ足】を使い飛び退く。
ゴルゴンが放ったビームは、俺が立っていた地面を撃ち、石を形成した。
ですよねー。ゴルゴンと言ったら石化攻撃だもんね。当たったら石化して動けなくなって終わりだわ。
しかも目からビーム攻撃は速い。撃つまでの時間も、その速度も、逃げるときに素早くなる効果の【脱兎】【逃げ足】を使ってなきゃ終わってたわ。
さあ、どうしようかね。