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血清の鬼人

洞窟の中俺の存在に気づいていないゴブリンは死角から頭に岩を叩きつけ即死した。

首の骨が折れ、頭が垂れ下がるように体と繋がっている。

そのゴブリンの首に、俺は歯を立て血を吸う。

出来れば生きたままの状態のほうが美味しいんだが俺はまだそんなに強くない。

戦闘面で言えばゴブリンとどっこいどっこいだ。

こうして鈍器を持ち、不意打ちで戦いに挑まなくては無傷では勝てない。


血を吸い続けるとゴブリンは干からびていき、逆に俺は体が力でみなぎって行くのを感じる。

明らかに血の量は自分の腹の限界を超えているが、不思議と満腹とは感じない、まだまだいくらでも腹にいれられる。

ここが異世界だからだろう。それに困るどころかむしろ都合が良い。そのほうが俺はいくらでも強くなれるのだから・・・




★☆★


[■■■が劣化吸血鬼に覚醒進化しました]


[進化によりスキル【吸血奪取】を獲得した]


[スキル【吸血奪取】は外界スキル【スキル強奪】に統合しました]




俺と気付くとそこは広い洞窟だった。周りには誰もいない。あるのは壁と手をいくら伸ばしても届きそうにない岩でできたゴツゴツの天井。

しかしこの洞窟がデカイのではなかった。自分の身体が異形で子供ぐらいに小さかったのだ。

まるで何かヒト型の、しかし人ではない何かの子供になった感じだ。


そしてかなり空腹感が感じられる。

もし赤ん坊の姿になっていたのだったら、食べ物を探そうにも動けずに泣くだけしか出来なかっただろうが俺は自力で動ける。



俺がいた場所は広い広場となっていて、そこ以外は細い通路だった。幅は俺が横に並んで二人分、天井の高さも下がっている。

洞窟の通路を探索していると生物を見つけた。10センチぐらいのネズミだ。


そいつを見たとき俺は、

ーーー喉が乾くーーー

そう思ってしまった。

俺、頭がどうかしちゃったな、とも思ったが、俺の体は本能のままにネズミを捕まえて嚙みつく。


ネズミの血が口の中に拡がり甘い味を堪能させてくれる。

人間の自分だったらネズミを口にするなんてあり得ないことだっただろう。

まるで吸血鬼にでもなった気分だ。

いや吸血鬼でも良い、濃厚な血の匂いがこんなにも美味しそうに感じるのだから。


だが、そのネズミの小ささゆえにすぐに血を吸い尽くしてしまった。

空腹は収まらず、逆に胃に物を入れたからだろう、より一層腹が減ってきた。

まだ全然食い足りない・・・

俺は手に持っていたネズミの亡骸を捨て、血を求めて歩き始めた。



その後ネズミの巣を見つけ、そこにいたネズミの家族ごと捕食した。


仲間が血を吸われて死んでいくのにネズミたちはその場を動かなかった。むしろ俺の手に噛みついて攻撃してきた。


だがたかがネズミ、手に噛み跡がついただけで皮膚に傷をつける事すらできなかった。


その行動の理由は、最後の大人のネズミを捕まえた後に分かった。そのネズミの後ろには小さなネズミがいた。


自分たちの子供を守るために命がけで俺を追い返そうとしていたんだろう。

そう思いながら、最後の小さいネズミを手に取り・・・血を勢いよく吸った。


俺が聖人だったら見逃していたのかもしれない。だが俺はただの腹を空かせた生き物だ。

悪いが情よりも本能に従わせて貰う。

少し小さかったが成長しきったネズミより柔らかく美味しかった。

例えるならハムととベーコンぐらいの違いだ。僅かな違いだが口が飽き始めた俺には丁度良い口直しだった。

腹も満たされた俺は死骸が散らばるネズミの巣を後にし、今日はもう寝る事にする。

まだ会っていないが自分よりも強者に鉢合わせにならないように岩陰に身を隠すようにして目を閉じた。





[スキル【体当たり】を獲得した]


[初レベルアップにより、スキル【血の眷属】【血力強化】を獲得した]


チュートリアル終了します。以降、スキルは捕食後、レベルアップ後すぐに獲得します。


新作掲載中です。『神が勇者を殺すとき〜俺のチカラを返せ!〜』

よかったら読んでみてください。

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