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第38話 サブクラスについて説明しよう

 アックスがオウカとの会話を終えてしばらくするとピロンという音とともに『メールを受信しました』というポップアップメッセージが浮かび上がった。


「早いな」


 オウカが製作に必要な素材のリストをメールで送ってくれたのだろう。

 フレンドから送られたメールはGMからのメールと違ってその場で受け取ることが出来ず、街や村に設置されているポストから受け取る仕組みになっている。

 アックスは農村に設置されているポストまで行き、オウカからのメールを受け取った。

 そしてメニューから受信したメールを選んで開く。


「なるほど……」


 オウカの送ってくれた素材リストを読み、内容を確認するアックス。

 ほとんどの素材は簡単に入手出来そうであったが一つだけ入手の難しいものがあった。

 しかし、入手が困難という程ではなく二人だけでは難しいだろうというレベルである。

 アックスはこれは自分も手伝う必要があるなと考えた。


 素材リストを見ながらあれこれ考えているとカエデたちがインスタンスエリアから戻って来た。

 皆の表情は一様に笑顔である。


「ただいまー」

「おかえり。その様子だとどうやらクリアしたみたいだな」

「うん。みんなのおかげで楽勝だったよっ! みんなお疲れ様でした」


 カエデが振り返ってパーティーメンバーに感謝の言葉を言い、アックスも「協力ありがとな」と伝えた。

 すると「どういたしまして」「こちらこそ」「ありがとうございました」と返事が返ってきた。


「それじゃ、パーティー解散するね」

「お疲れ様でしたー」


 パーティーを解散させると協力してくれたプレイヤーは再びレベル上げに戻っていった。


「それじゃ、クリアの報告をするために俺たちも街に戻るか」

「うん」


 アックスたちは依頼のクリアを報告をするために冒険者ギルドに戻った。

 報告を無事に終えるとカエデとリリーの冒険者ギルドで受けられる依頼のリストが解放され、納品依頼が受けられるようになった。


「お兄ちゃん、そろそろ石の斧から卒業したい」

「そうですね。私もレベルが上がってきたので木の剣から卒業したいと思っていたところです」

「そのことなんだが――」


 アックスが自分の知り合いのプレイヤーが装備を作ってくれることになっていると説明すると、カエデとリリーは「やったぁ」と嬉しそうにした。

 その様子に勘違いしているといけないので一応言葉を付け足す。


「ただし、素材は持参しないといけないけどな。人に製作を依頼する時は自分たちで素材を用意するのが礼儀だから覚えておくように」

「はい。分かりました」

「はーい。ところでお兄ちゃんのサブクラスは? 何か作れるの?」


 カエデはアックスのサブクラスが何なのか尋ねた。

 サブクラスは大きく分けて採集クラスと製作クラスに分かれている。

 サブクラスはメインクラスと違い、いくつでも取得することが出来るシステムである。

 しかし、いくつでも取得することが可能な反面、必要な装備や材料もその分多くなりインベントリを圧迫することになる。

 それでサブクラスを二つか三つくらいしか取得していないプレイヤーが多い。

 アックスはよくぞ聞いてくれたとばかりに自分のサブクラスを堂々と答えた。


「俺のサブクラスは採集クラスの木こりと園芸師だ。だから装備は作れない」

「そうなんだー。装備作れないんだ? なんか地味だね」

「失礼なっ!」


 カエデはイメージから率直に感想を述べ、アックスが言い返す。


「木こりで伐採した材木は武器や防具、建築物の材料になる。園芸師は料理の材料になる農作物を育てることが出来るんだぞ」


 製作クラスがサブクラスの花形であるなら採集クラスは縁の下の力持ち的なポジションである。

 採集クラスはたしかに地味かもしれないが製作クラスのプレイヤーからは感謝される存在である。


「それに俺はオウカに装備を作ってもらってるから製作する必要はないんだ」

「オウカさんってわたしたちの装備を作ってくれる人?」

「ああ、そうだ。二人とも会ったらちゃんとお礼を言うんだぞ」

「はーい」

「分かりました」


 戦闘クラス、採集クラス、製作クラス。この三つのクラスに優劣はない。

 VRMMOではメインクラスの派手な戦闘やモンスターのグラフィックがクローズアップされがちであるが、サブクラスによる戦闘支援がなければゲームは成り立たなくなってしまう。

 製作してくれるプレイヤーは装備や回復アイテムを生み出すNPCではなく同じ人間である。

 アックスは二人に戦闘を支援してくれるプレイヤーへの感謝の気持ちを忘れてほしくないと思った。


「それじゃ、オウカから製作に必要な素材のリストを預かっているからお前たちも見てくれ」


 そう言ってアックスはメニューからメールを選び、素材リストを二人に見せた。

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