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第14話 VSプレイヤーキラーペロ その3

 ペロの高速射撃スキル「クイックショット」で胸を貫かれ、地面に倒れながらもアックスはすぐに立ち上がろうとした。

 しかし、ペロがその好機を見逃す訳がなく、追撃の矢「バインドショット」を放った。

 バインドショットの効果は敵を地面に縫いとめて動けなくするといったものだ。


「くっ」


 アックスは足に力を入れるが硬直してその場から動けない。

 ペロはそれを見て勝利を確信して笑った。


「あはは、今の俺の演技、助演男優賞ものじゃありませんでした? 皆さんアシスト感謝です。それじゃ、とどめといきますか!」


 ペロはカメラの向こうにいるリスナーに対して感謝の言葉を述べた。

 アックスの隠れている場所が分かった理由――

 それは――

 ペロはドローンを複数所持しており、森のいたるところにドローンを監視カメラのように配置していたのだ。

 鬼ごっこと称したプレイヤーキルをする時には、リスナーもこの複数配置されたカメラの映像から狩りの対象のプレイヤーを探して楽しむ趣向をしていた。

 アックスを見失ったペロは普段やっているように複数のカメラの映像を展開して、リスナーに協力してもらいアックスを探し出したのであった。

 障害物のある森というアーチャーにとって不利な地形もペロにとっては有利にしか働かない。


 ペロはとどめを刺すべくアックスに弓矢を向けた。

 アックスの足は自由を奪われているが、手は動くため武器での攻撃は可能だ。

 しかし、アックスとペロは距離がやや離れているため両手斧では攻撃が届かない。

 アックスは腰のハチェットを抜いてペロに投げつけた。

 しかし、ハチェットは明後日の方向に飛んでいき、ペロには当たらず……


 仮に当たったとしてもそのダメージは微々たるものだ。

 こんな攻撃で自分を倒せるわけがないだろうと、ペロはアックスのその行動を見て呆れてため息をついた。


「あんたさぁ、見苦しいよ。いさぎよく殺されたらどう?」

「…………」


 アックスはペロを睨みつけたまま問いかけには答えず、戦意を喪失した様子は見られない。

 ペロはやれやれといった様子のオーバーなリアクションをした。


「最後に言うことある?」

「そこは危ない。どいたほうがいいと思うぞ」

「ん?」


 アックスの言葉にペロは首を傾げた。

 命乞いでもしてくれればリスナーも盛り上がるだろうと思って聞いただけだったのだが――


「いつから俺のハチェットがウォーリアの投擲武器だと錯覚していた?」

「なん……だと……?」


 バキバキバキバキ


 背後の音に気づいたペロはハッとして振り返り、そして目の前に倒れてきた《《それ》》を見て慌てた。

 何故?

 このオブジェクトは破壊不可能のはず――


「ぎゃあああッ!」


 しかし気づいたときにはもう遅い。


 グシャ


 ペロは回避することが出来ず、倒れてきた木に押し潰された。


「さっき投げたハチェットのスキルはトマホークではない。ハーベストスイングだ」


 破壊不可能のはずの木が倒れてきた理由。それは――

 アックスはサブクラス「木こり」の伐採用のハチェットを手に装備して伐採スキル「ハーベストスイング」を発動させ、そしてスキルが発動した状態で木に投げつけたのであった。

 DTOの世界で木は破壊不可能オブジェクトではない。

 通常攻撃や攻撃スキルで破壊することは不可能であるが、木こりの伐採スキルを使用することでアイテム化出来るのであった。

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