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第9話 実況プレイヤーペロ

 DTOプレイヤーのペロは実況プレイヤーであった。

 プレイ中もリスナーのコメントが見えるように実況動画の映像を視覚にリンクして、それを見ながらゲームプレイをしている。

 実況を始めた初期は全くリスナーがおらずコメントもなかったのだが、最近、あるプレイ(・・・・・)を始めてからリスナーの数は爆発的に伸び、コメントが面白いように増えていった。

 自分が実況している動画や配信した動画には広告が掲載され、再生数に応じて収入が得られる仕組みになっている。

 ペロは自分の口座に振り込まれた金額を見て驚愕した。


 こんな簡単に金が手に入るのか……


 ペロは俺の時代が来たと歓喜した。

 DTOには数多くの実況プレイヤーや動画配信プレイヤーがいるが、人気実況配信者の年収は噂では億単位だという。


 俺はDTOで人気実況者の仲間入りをしてやる――

 そして億万長者になるのだ――


 そんな野望を胸に秘め、ペロは今日もあるプレイ(・・・・・)をするための準備を始めた。

 今ペロのいる場所はホームタウンの北にある平原のさらに北にある魔狼の森というレベル41~50の中級者向けの狩り場だ。

 ホームタウンの王都から北に広がる平原はレベル1~10の初心者向けの狩り場なのだが、平原に隣接している魔狼の森は狩場のレベルが一気に跳ね上がり、初心者殺しの森として有名であった。

 何故こんなことになっているかというとホームタウンには東西南北に4つの出入り口があり、隣接する狩り場も4つ。

 北はレベル1~10、東はレベル11~20、南はレベル21~30、西はレベル31~40と狩り場のレベルが分かれているのだった。

 プレイヤーからは分かりにくいとフォーラムのスレッドでは散々狩り場レベルの修正要求がされているのであったが、ストーリー上の問題から未だに修正されずにいた。

 ペロはDTOの仮想世界で動画を録るためのドローン――複数所持しているうちの一つを北の平原の空に向けて飛ばした。


「んー、今日の獲物はどこかなーっと?」


 そろそろ実況配信時間だ。

 すぐに見つかればいいのだが……

 ペロは自分の視覚とリンクしてあるドローンをリモコンで操作して獲物を探した。

 ドローンのカメラとの視覚リンクは目が複数ある状態とでも言えばいいのだろうか。

 この感覚は生身の人間には説明しにくい。最初は慣れなかったが今では6台のドローンを同時に起動させて映像を処理出来るまでになった。

 ペロがドローンを飛ばしてからほどなくして――


「いたいた。ソーサラーの女の子とウォーリアの男か……ってこのウォーリアまるで原始人だな。超ウケる」


 ドローンのカメラが二人のプレイヤーの姿を捉えた。二人パーティーだろうか?


「ウォーリアの男は邪魔だな」


 どうにかして引き離せないだろうか――

 そう思っていると、ソーサラーの少女が怯えた表情で森の方に向かって走り出した。

 二人はパーティーではなかったようだ。

 そして都合のいいことにソーサラーの少女はペロのいる森に入って来た。

 良し、今日の獲物は決まった……そろそろ実況を始めるとするか。


「ハローハロー、皆さんお待たせしました。ドラゴンテイルオンライン実況プレイヤーのペロです。それでは今日もいつものように実況を始めるとしましょうか」


 実況が始まるのを待っていたリスナーからは「待ってましたー」「早く始めろ」「今日の獲物は?」なんていうコメントが並んでいる。


「皆さん、慌てない慌てない一休み一休み」


 ペロはコメントを見て返事を返す。

 リスナーペロの返事を聞いて「一休さんかよwww」「一休さんネタが分かるやつはおっさん」「ネタが分かるやつもおっさんだろww」「誰がおっさんだゴルァ」なんてコメントをしている。


「はいはい、ケンカしないケンカしない。今日の獲物はこちらです!」


 ドローンのカメラが怯えた表情で森を走る少女を映した。


 リスナーは少女の姿を見て「キターwwww」「かわいいww」「魔女っ娘(*´Д`)ハァハァ」などとコメントを書き込んでヒートアップしている。

 ペロはコメントを読んで気を良くし、ニヤリと笑った。


「それじゃあ早速狩りを始めましょうか! イッツショータイム!」


 DTOプレイヤーのペロ、クラスはアーチャー、レベルはカンスト、実況プレイヤー、そして――


 初心者を好んで狩るプレイヤーキラーであった。

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