アニメ「ひぐらしのなく頃に」の放送中止事件に学ぶ、読み手のスタンス
アニメ「ひぐらしのなく頃に」は2006年に放映された話題作です。
リアルタイムで観ていた人も多いのではないでしょうか?
このアニメの内容については省略しますが、人と人の絆を描いた、良作だと思います。私は漫画のみで原作やアニメは見ていませんけどね。
このアニメを語るうえで外せないのが、「放送中止事件」です。
当時、16歳の女の子が斧で父親を殺害する事件がありまして。「作品が事件を想起させる」として視聴者への配慮を行った形ですね。放送局全てが放送中止をしたわけではないし、ファンのために有料アニメチャンネルが無償で配信するなどの救済措置を取られましたので、実際の影響はそこまで大きくなかったようですが。
さて。この事件となろうの読み手にどのような因果関係があり、どうして私が問題提起を行ったのか。それについて説明したいと思います。
まず、放送中止自体は「秋葉原通り魔事件」後の秋葉原であった、警官による包丁やカッターナイフ取り上げのような過剰反応と見ることができ、それなりに正当性が有る行動と考えることができます。正直なところ大した関連性も無いので、全く以って無駄な行動とも思いますが、「大衆に配慮しようとした」行動の筈ですよね。
よって、放送中止を積極的に否定するつもりはありません。
ですから私が問題にするのは、その後にあった自称知識人による「ひぐらし叩き」です。
こちらについては、一切の擁護ができないほど愚かな行動でした。
彼らは正義の行いをしたかったのではなく、自身の知名度を高めたかったとか、尻馬に乗って甘い汁を吸いたかったのだとか、とにかく自分の為だけに「ひぐらし」を何も知ろうともせず、感情のままに悪者にしたのです。
もしも彼らが真っ当な理性を持ち「ひぐらし」を叩いていたのであれば私もここまで言うことは無かったでしょう。
ですが彼らは「ひぐらし」のごく一部のシーンのみを抜き出して「ひぐらし」は殺人アニメだと酷評したのです。
「ひぐらし」に殺人シーンがあったことは否定しません。そこに大きなインパクトを与える演出があったのも確かです。ですがそれは推理小説が物語の冒頭で殺人現場を描写するような、殺人を否定すべき行為であると主張するシーンだったのです。最後まで「ひぐらし」をプレイしていれば、読んでいれば、観ていれば分かる事なのです。これについては「ひぐらし」の原作者様もブログで嘆いておられた事ですね。
私はこの事実をもって、「ひぐらし」を叩いていた自称知識人たちが間違っている、「ひぐらし」を見ようともしていないと言い切ります。もし見たうえで都合のいい部分だけを抽出して大衆を騙そうとしたのであれば、彼らは犯罪者予備軍のような、彼ら自身が殺人事件を金儲けのネタにした悪とも言えるでしょう。
さて、長々と「ひぐらし」放送中止事件について語ってみましたが、つぎはなろうの読み手のお話です。
昨今の感想欄を眺める限り、一部の方々の発言が、先ほど述べた自称知識人と同じ傾向にあるように思えます。
連載作品に限った事ですが、一話だけを抽出して作品すべてを語っている方がいるように思うのです。
抽象的な例えですが、物語上で主人公らが不利益を被る“負けパターン”に陥った時などに見られる、感想欄の炎上ですね。他にも単純に、自分から見て面白くない展開になった時に否定的な言動を取る方は多いです。
それら全てを否定するつもりがありませんが、「その場限りの」否定的な言動は、もう少し慎んだ方が良いのではないかと思います。中にはのちの展開のための布石であるなど、読者を驚かせるためのものかもしれません。
販売されている完結したプロの作品であれば最後まで読み進めていくこともできますし、読み終えてからの感想を書けます。ですがなろうの「連載中」の作品はまだ続きがあるのです。きっと作者は予想を裏切ってくれると信じましょう。
他にも、途中で読了宣言をする方について。
長く続いた連載があるとします。100話目ぐらいで主人公チームがピンチになって、テンプレ展開で乗り切ったとしましょう。新しい要素の無いありきたりな解決法で、ですね。
そこで「この展開は面白くない」なら許容範囲です。合う・合わないは仕方のない事です。
ですが「この一話でこの先を読む気が失せました」とかは、もう少し待てないですかね? ここまで楽しませてくれた作者でしょう、この先に面白いと思える展開を用意しているかもしれませんよ?
この親にしてこの子あり、一部が全部というのは極論だと私は考えます。
積み重ねてきたものを壊された感覚というのはあるでしょうし、そこまで面白さを積み重ねたからこそ許せないというのもよくある話です。
ですが、面白さを積み重ねてきた事実に蓋をしてまで否定するのはいかがなものでしょう?
良くない感情だけを残し、モヤモヤした物を抱えてしまうかもしれません。
だから。
ほんの少し、あるいは落ち着くまでの長い時間、猶予を持ってみませんか?
完結するまで待って、そのラストまでを一気に読んでみる事はできませんか?
私は基本的に、作品の最終的な評価は完結時に与えられるものだと思っています。
完結まで読んで面白くなかったが最終的な評価であれば、それは受け入れるべき終わりでしょう。
そもそも道中でモヤっとしたものを抱えて読むのが辛くなった作品であれば途中で読むのを辞めても仕方のない事ですが、途中まで「面白い、続きが読みたい」と思った作品を最後まで読まずに終わるのはもったいない事だと思えませんか?
最後に、作中のキャラの行動を以って作者様本人を馬鹿にする方。
これを書く方には「馬鹿だろオマエ」と言っておきます。
「小説家になろう」の利用規約には「作者への誹謗中傷の禁止」が書かれています。明文化されたルールとして、禁止されているのです。アカウント削除も辞さない意思があるなら話は別ですが、そうでないなら考え無しにもほどがあります。
つまりは通報案件ですよ。
馬鹿にするのは作中のキャラクターに留めましょう。貴方が馬鹿にするそのキャラは、作者ではありません。
マナーだとかモラルだとかを口うるさく言うつもりはあり……ますが、押し付けることはできません。
しかしこのエッセイを読んでみて、途中で読まなくなった小説を思い出した方。ブックマークを外した小説のある方。今一度、その作品を読んでみようという気になってもらえないでしょうか?
きっと、その中には「面白い」があるのではないかと思います。