18.ぱふⅩぱふぱふぱふぱふぱふぱふぱふぱふ
ぱふぱふ(´・ω・)
吾輩はぱふぱふである。名前はまだない。
只今我が家(洞窟)に勇者さんが訪ねてきております。
何でも目的は魔王のようなのですが・・・
「それで? 貴方は何でぱふぱふちゃんを魔王だって思ってましたの?」
「いや、だって召喚した王様が魔王はこのモリノ森に居るって・・・」
召喚!? この勇者さんは召喚勇者さんのなのですね!
魔王に脅かされた世界を救う為、異世界から召喚された勇者! 王道ファンタジーです。
あれ? でも世界は平和・・・ですよね? 魔王なんて聞いた事も無いですし、魔物なんて見たことがありません。
あ、五十鈴さん達は別ですよ? あの人たちは魔物なんかじゃありません。
寧ろ魔物なんかと一緒にしないで下さいと言いたいです。
「はぁ、貴方騙されていますわよ。
確か光の王国に召喚されたのですわよね?」
「あ、ああ。昔、光の王国の隣には闇の王国があって、闇の王国が滅んでも魔王は虎視眈々と世界征服を狙っているって。それがこのモリノ森だって。
なぁ、騙されているってどういうことだ? つーか、あんた俺の事を知っているのか?」
騙されているって・・・
悪役令嬢さんの言葉に勇者さんは首を傾げます。
ああ、でもなんとなく悪役令嬢さんの言いたいことが分かったような気がします。
私が前世でよく見ていたネット小説であるのが魔王を倒すために召喚したと言うのは嘘で、実は召喚国が世界征服をするために召喚したと言うのが真実だったりします。
この勇者さんは見たところ中学生くらいの年齢みたいです。
英雄譚に憧れる年齢です。騙されても仕方ないのかもしれません。
「貴方を召喚した光の王国は勇者召喚をしたお披露目としてパーティーを開いたでしょう? その時に近隣国として水の王国から王子様と将来のお妃候補が招待されましたの。
私はその随員の1人としてパーティーに参加したのですわ」
「ああ、魔王を倒すための壮行会のパーティーの時か」
「光の王国は領土拡大の野心を持ってましたから、大方貴方はその為の使い捨ての兵士として召喚されたのでしょう。名目上は魔王を倒すための勇者として。
実は闇の王国は光の王国に滅ぼされたと言う噂もありましたが、この様子ではあながち間違いともいえませんわね」
「ええ!? そんな! じゃあ王様が言っていた魔王を倒して世界平和にするってのは嘘なのかよ!?」
「召喚された勇者が何も知らないのをいいことに出鱈目を教えたのでしょうね」
でもそれって召喚された方は堪ったものじゃありませんね。
ところで、何で近隣国に勇者を召喚したって知らしめたのでしょう?
「ぱふぱふ?」
「あら、ぱふぱふちゃん、何で勇者を召喚してパーティーを開いたか、ですって?」
私の身振り手振りで言いたいことを理解した悪役令嬢さんは答えてくれます。
「光の王国は顕示欲の強い国でもありますからね。勇者召喚をしたことで自分の国がこれだけの戦力を有していると知らしめたかったのでしょう。
事実、光の王国は他の周囲の四か国よりも軍事力は強いですから
私達水の王国でもそのように認識しておりましたわ。それがまさか魔王と偽ってモリノ森を支配するために召喚したとは思いませんでした」
「ぱふぱふ・・・」
なんか嫌な国ですね。
「嘘だ・・・俺は信じないぞ! そうやって俺を騙して後ろから斬るつもりだな!」
「呆れた。私たちの何処をどう見ればそんな考えに及ぶのかしら」
今勇者さんの目の前には悪役令嬢さんと私だけです。
戦闘力は全くの皆無です!
あ、外に居るぽちぽちが唯一の戦力かな?
「くそ・・・じゃあお前らの言っていることが正しいのか戻って確かめてやる!」
「あら、それはお止めになった方がいいわよ。多分戻ったら貴方始末されますわよ」
「え゛!? 始末って・・・殺されるってことかよ!?」
「当たり前でしょう。真実を知った貴方を何故光の王国は放っておくと思いますの?」
元々召喚は使い捨ての意味合いも強いですからね。
こうして実際に見てみれば勇者召喚って相手の都合を無視した誘拐だってのが実感できますね。
「それじゃあ、俺はどうしたらいいんだ・・・?」
「光の王国には戻らず、どこかでひっそりと暮らすのがいいと思いますわよ」
「そんな・・・」
勇者さんはがっくりと項垂れてorzのポーズをとります。
「な、なぁ。あんたの国で匿ってくれないか?」
「残念ですがそれは出来ませんわ。貴方が水の王国で匿えばそれこそ光の王国に戦争を仕掛けられる口実になりますわ」
「じゃあどうしたらいいんだ、俺・・・」
あ、そうだ。いいことを思いつきました!
「ぱふぱふ!」
私は項垂れている勇者さんを連れてある場所へ行きました。
「ほう、おめぇさんがオラの畑の手伝いをしてくれるだか?」
「は、はぁ」
勇者さんは状況について行けず戸惑っています。
私が連れて来たのは五十鈴さんのところです。
最近育てる作物を増やした五十鈴さんは手が回らず忙しいって言ってました。
そこで行くところが無くなった勇者さんが住込みでお手伝いをすれば五十鈴さんも勇者さんもwin-winです!
「何でこんなことになったんだろう・・・」
農作業着に着替えた勇者さんは畑の真ん中に立って呆然としていました。
ぱふぱふ。
ぱふぱふ(´・ω・`)