12.ぱふⅩぱふぱふ
ぱふぱふ(#・ω・)ムカッ!!
吾輩はぱふぱふである。名前はまだない。
只今絶賛修羅場中です。
突然やってきた王子様。自分で悪役令嬢さんを追い出したくせに戻ってこいなんて迫ってきました。
おまけに転生ヒロインのユーリ男爵令嬢は悪役令嬢さんをそっちのけであたしを連れて帰ろうとしています。
私はそんな2人に怒りを覚えました。
そんな私の怒りが伝わったのか、森が急にざわつき始めました。
不意に辺りに大きな影が差します。
みんなが何事かと空を見上げればドラゴンさんが降り立ってきました。
「グルァァアァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
「なっ!? エンシエントドラゴン!?」
「ひぃぃぃぃぃ!?」
「「「「わぁぁぁぁぁぁぁあっぁあっぁぁ!?」」」」
そして新たな来訪者・森のくまさんこと赤ヘルムさんも現れました・
「ゴアァァァァァァァァァ!!」
「ブ・ブラッドベアまで・・・!?」
「あひぃぃぃぃぃ!?」
「「「「こ・殺されるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」」」」
「なんだ? 森が騒がしいので来てみれば何で人間がこんなにいるんだ?」
「おめえら、ぱふぱふを怒らしたべ。滅多な事で怒らねぇぱふぱふをこうまで怒らすとは・・・」
「どうするどん? こいつら皆豚の餌にしてやるどん?」
気が付けば美濃さん、五十鈴さん、武田さんの3人も来ていました。
「な・・・ゴブリン、オーク、ミノタウロスまで・・・」
「何なのこれ!? あたし聞いてないよ!」
「「「「ぶくぶくぶくぶくぶくぶく・・・」」」」
王子様は驚きっぱなし、男爵令嬢は腰を抜かしてお漏らし、騎士様たちはパニックになって泡を噴いてます。
「ぱふぱふ!」
さぁ、捌きの時間です! 覚悟してください!
「待ってください!」
捌きを下す瞬間、止めたのは悪役令嬢さんです。
「皆さん、待ってください」
悪役令嬢さんの声に私の怒りが静まります。
「ぱふぱふちゃん、私の為に怒って下さってありがとう。だけど私戻ります」
「アーマリン!」
「グルゥ!」
「ゴァァ!?」
「ガルルルル・・・」
「わぁあ!?」
思わず王子様が声を上げますが、ドラゴンさん、赤ヘルムさん、ぽちぽちによって再び委縮してしまいます。
「ぱふぱふ!?」
どうしてですか!?
私はそんな王子様を余所に悪役令嬢さんに問います。
「大丈夫ですよ、ぱふぱふちゃん。何も王子様に惚れ直したとかじゃありませんから。
本当は戻るつもりはありませんでしたけど、この王子様やユーリ様を見ていれば多分このままだと王国は駄目になってしまいます。
そうなれば王国に居る家族や市民の皆様に害が及んでしまいます。そうならないためにも私は一度国に戻ります」
「ぱふぱふ・・・」
「ふふふ、ぱふぱふちゃんも私の家族ですからまた尋ねてきますよ」
「ぱふぱふ!」
はい! 悪役令嬢さんは私の家族です! いつでも来てください!
「貴女が戻ってきても何もできることなどありませんわ」
「あら、もし私に害を為そうとしているのでしたらそれはお止めになった方が宜しいかと。
この場にいる方々が黙っているとでも?」
「ひぅ!?」
気丈にも振る舞っていた男爵令嬢でしたが、ドラゴンさん達に睨まれ再びお漏らしをします。
と言うか、お漏らししたことが広まれば男爵令嬢の立場も危ういのでは?
良く虚勢を張れますね。
「それではぱふぱふちゃん、皆様、またね」
悪役令嬢さんは王子様達を引き連れて王国へ戻りました。
もちろん、道中悪役令嬢さんに失礼のないように王子様達に釘を刺しておきます。
「ぱふぱふ・・・」
悪役令嬢さんが去った後、寂しい気持ちが溢れ出しました。
「ぱふぱふ、オラ達じゃ慰めにもならねぇが、お前さんは1人じゃ無いべ」
「ぱふぱふ」
五十鈴さん、ありがとうございます。
大丈夫です。離れても悪役令嬢さんは家族ですから。
ぱふぱふ。
ぱふぱふ(´;ω;`)