11.ぱふⅩぱふ
ぱふぱふ(`・ω・´)
吾輩はぱふぱふである。名前はまだない。
別れは突然訪れます。
悪役令嬢さんが我が家に来て1ヶ月。彼女にお迎えが来たのです。
先日見事我が家の番犬になったぽちぽちが家(洞窟)の外で吠えています。
何事かと外に出てみれば、煌びやかな衣装を纏ったイケメンと、綺麗なドレスを纏った女性、後は護衛と思われる騎士の皆さんが我が家を包囲しています。
ぽちぽちは唸り声を上げて彼らを威嚇しています。
「王子様!?」
声を上げたのは悪役令嬢です。
するとあのイケメンが悪役令嬢を追い出した諸悪の根源ですか!
「アーマリン、こんなところにいたのか。君を迎えに来たんだよ」
は? この王子様なんて言いました?
自分で追い出しておきながら迎えに来た? ふざけているのですか!
「何を今更。私はユーリ様に意地悪をし国を追い出された身です。今さら国に戻るなどと・・・」
「すまない。僕が間違っていた。やっぱり僕には君がいないと駄目なんだ」
「・・・隣にいらっしゃるユーリ様は宜しいのですか? 私の代わりにご婚約為されたはずでは?」
「ああ、確かに君を国外追放して彼女が僕の新しい婚約者になった。だが・・・それが間違いだったと今になって気が付いたんだ。
幼いころから王妃になるために勤しんできた君と違って彼女は市井の生まれだ。急に王妃になる勉強をしたところで簡単には見に付かない。
それどころか、貴族の常識すら覚えようとしないで贅沢な暮らしを始める始末だ」
「王子様、酷いですわ。そんな私がいいと仰ったではないですか。貴族らしくない、自由奔放な私が好きだと」
あー、恋は盲目とよく言ったものです。
恋をしていた頃はユーリ男爵令嬢の貴族らしからぬ所が珍しかったのでしょうね。
いざ悪役令嬢さんが居なくなって今さらその違いに気が付いたのでしょう。
「王子様、貴方様は王族です。一度宣言したことを撤回することはできません。私はこのままこの森で過ごしていきます。
どうぞお引き取り下さい」
「ぱふぱふ!」
そうです! 今さら悔いたって悪役令嬢さんは渡しません!
「そんな・・・!」
王子様はこの世の終わりかと言うような顔をしています。
自業自得です。
そもそも、悪役令嬢さんを連れ戻すのに何故ユーリ男爵令嬢も一緒なのでしょう。
常識を疑います。
「あら、ぱふぱふですの! かわいい~! ね、王子様、こんな女よりこのぱふぱふを連れて帰りましょうよ」
カッチーーン!
こんな女? 悪役令嬢さんをこんな女呼ばわり!?
今確信しました。
この男爵令嬢は悪役令嬢を追い出すために策を弄した転生ヒロインです。
悪役令嬢が意地悪をしたとしても王子様に水増しで過剰報告をしていたに違いありません!
たった今から、王子様とも共、敵・認・定です!!
そんな私の怒りが伝わったのか、森が急にざわつき始めました。
ぱふぱふ!
ぱふぱふ(#・ω・)ムカッ!!