7話 どうしてこうなった\(^o^)/
1年半越しの更新。光陰矢のごとし。
何故かお気に入り増えてた。何故?
書きたくなったんで何となく更新します。
視界は***で埋まっている。
見渡す限りの***。
真っ赤に染まった***。
頭が半分無くなった***。
両手両足捥ぎ取られた***。
身体のいたる場所を齧り取られた***。
どの***も見るに堪えない苦悶と絶望に染まり切った表情をしている。
余り知らない顔も。
道端で見かけただけの顔も。
見知った顔も。
嫌だ。こんなのは嫌だ。
チートでハーレムで無双して。
前の世界で得られなかったものを得られると思ったのに。
前の世界で失った分だけこの世界で得られると思ったのに。
結局俺みたいな駄目人間はどんなチートを得ても結局失ってしまうばかりだって言うのか。
返り血と吐瀉物でドロドロに汚れた頬を涙が伝う。
悲鳴が聞こえた。
あの子とその妹の声だ。
全身のバネを弾いて、文字通り声のした方へと飛びゆく。
生きている。まだ生きている。
だったら間に合う。
間に合わない訳がない。
チート主人公だろ、俺は。
どうやら物語はほのぼのストーリーではなかったみたいだけれど。
ヒロインがいきなり***するほど糞ではなかったらしい。
今だ。今すぐに助ける。
奥の扉の向こうだ。
1秒もかからない。
ぶっ殺してやる。俺が全員ぶっ殺してやるから。
勢いそのままに扉を蹴り破って飛び込む。
そこには。
まずは金。そして飯だ!
俺のアイテムストレージには人狼の毛皮がそこそこある。
ぬっころした奴らの毛皮は全部回収してあるからな。
残った死体は最初の奴以外は全部放置だ。
正直めんどいです。
考えてみりゃ死体も金に代わるかもだし、回収してりゃ良かったかもしれんが、アイテムストレージの容量がどんくらいかも分からんしね。
てか何となく気分的にストレージに生のグロ死体を入れるのは抵抗がある。
なんか汚れそうじゃね?みたいな。
とりあえず教えてもらった雑貨屋兼宿酒場に行ってみて換金だな。
カリナたんは妹の傍にいたいらしく、単独行動だ。
さ、寂しくなんかないんだからねっ!
とりあえず治癒術師のオッサンには気をつける様に注意しといた。
本来こういう素材はギルドや商会などに売るのが一般的らしいが、デイン村みたいなド田舎にはそんなもんないので仕方ない。
てかどうせ毛皮売るんなら、さっきの治療院のおっさんに実力隠した意味ねーな。
ま、いいか。その場のノリだけで生きてるからな。生きてるって素晴らっシング。
デイン村は人口こそ少ないものの(人狼が移り住んで来る前はもっと多かったらしいが、被害&移住でぐっと減ったらしい)、食えないほど貧しいわけではない。
採取した花蜜は希少性もあって高値で売れるらしいし、土地がいいので小麦の出来と収穫量はまあまあらしい。
が、いかんせん昨今の魔物被害で外から来るのは花蜜と小麦を買いに来る武装隊商と人狼目当てに訪れた冒険者くらいで、旅人が寄る事などは滅多にないらしい。
冒険者は大体行ったっきりで帰って来るやつは殆どいないらしいが。
前は広大な花畑などが名物で、カップルで立ち寄る貴族などもいたって話だけど。
宿酒場に着くと、どうやら建物は一つだが雑貨スペースは中で完全に区切られているらしく、入口は宿屋&酒場スペースとは別個になってる。
看板には「雑貨・宿・酒場ノーティア」となっていた。
扉をくぐると中で、赤毛のソバカスっ子が店番している。
いかにも元気が取り柄、クラスでは真ん中よりちょっと上の可愛さって感じだ。
村に来た経緯なんかを喋ってると、名前はノイアちゃんと言うらしく、カリナたんと年が一個違いで仲良しさんらしい。
「へええー、お兄さん強そうに見えないけど凄い冒険者なんだね!カリナを助けてくれてありがとう!」
ちょいちょい会話に変な間が空くのは、やっぱ俺の格好のせいか。
どう見たって山賊か牙一族くらいにしか見えんからね。
「美少女のピンチは俺のピンチだからな。ところで、人狼の毛皮ってここで買い取ってもらえるか?」
「あ、大丈夫だよ。人狼は討伐推奨魔獣で、村から補助金も出てるんだ!」
ノイアちゃんの視線に尊敬の念が混じる。
ていうかすごく…照れます///。
ひと段落した後、俺はメニューの「アイテム」から毛皮を出した。
俺が一回羽織ったやつも問題なく買ってくれた。
ノイアちゃんは俺がストレージから出した22枚もの毛皮に唖然としていたが、そこは幼くとも商人の娘、すぐに気を取り直して、
「うわっ…すごい、こんなの初めて見た…。インベントリも持ってるし、タロウさんってほんと何者なの?と、とりあえず毛皮の方は損傷が激しいけど、カリナ助けくれたお礼ってことで今回に限って傷なしと同じ値段で買い取ってあげるね!」
おお、気前が良いねぇお嬢ちゃん。
てか、ノイアちゃんの独断でそんなん決めてもいいのかいな。
とか思ってると、俺の表情を読み取ったのか、アンナは
「ふふん、言っとくけどこの雑貨屋の事はお父さんからあたしに一任されてるからね。仕入から目利きまで、なんだって一人前にできるんだから」
と、薄い胸を張って威張る。
毛皮と討伐報酬で小さめの金貨が13枚に大きい銀貨が2枚になった。
これ全部で132万エルムだと言う。
金貨 =大銀貨10枚= 10万エルム
大銀貨=小銀貨10枚= 1万エルム
小銀貨=大銅貨10枚=1000エルム
大銅貨=小銅貨10枚= 100エルム
ていう構成で、宿酒場の一食分の代金が400~500エルムで、一泊したら部屋によって3000~4000エルムとの事。
1エルム=2円くらいの感覚か?
てかあいつら、結構いい金になるんだな。
一匹10万円て。1000匹狩れば、1億円。
異世界人生イージーすぎるだろ。
ていうか片田舎の雑貨店によくこんな大金置いてたなと思ったが、人狼討伐を推奨している関係で村の財政から補助金的なやつが出てるんだとか。
毛皮売却時の差益は村と店で半々らしい。
つっても一辺にこんなに持ってきたのは初めてらしい。
村にいる冒険者は大体が警護の為に雇われた奴らで、村に襲撃があったりした際に追い払うのが役目になってるとの事だ。
俺みたいに人狼を積極的に大量に狩ったりする奴は皆無らしい。
それもその筈で、鑑定だと人狼のランクはCってなってたが、基本十匹前後の群れ単位で動いて、危なくなったらすぐ仲間を呼ぶあいつらは同ランクの冒険者パーティだとまず太刀打ちできないらしい。
一般的に一人前と目される冒険者ランクがDから、一流と目されるのがBランクからで、Bランク冒険者が4~5人でパーティ組んでやっとこ2~3匹を同時に相手できるってくらいの話だ。
俺みたいに一人で何十匹も狩る様な奴は、Aランク上位の冒険者でも難しいんじゃないかとノイアちゃん。
まあわたくしチートですしおすし?
そんくらい当たり前的な?
おおっと?
ノイアちゃんの目に?
今夜抱いて的な?
メッセージが?
んー?
良いではないか?
良いではないか?
苦しゅうないぞ?
とか思ってたらジト目で「何か変な事考えてます?」と突っ込まれたので、口笛吹いて誤魔化しました。
俺はとりあえずその金で雑貨店で売っている服や必需品を買った。
革製のチュニックとズボン、麻の下着をそれぞれ3枚ずつ、その他に歯ブラシ(豚の毛製)やタオル数枚、石鹸、水筒などを買っておく。
暖かいので要らないかとも思ったが、一応外套も買っておく。
しめて2万エルムピッタリだった。ちょっとオマケしてくれたらしい。
着る前に体洗いたかったけど半裸でうろつくわけにもいかないので、濡れタオルで簡単に拭かせて貰って服を着た。
その後、お金も含めて買ったものを全部インベントリに収納した。
今更だけど、クソ便利だなこの能力。
正確にはインベントリスキルじゃなくて、メニューの中の一機能なんだが。
収納してる間は時間経過もほぼ無いぽいし。
手持ちの中でこの能力が一番チートじゃね?
もし地球帰ったら、引越し屋起業するか。
さて、当座を凌げるだけの金を手に入れたし、服も手に入れた。
じゃあ次は腹ごしらえだな!
つーことで、そのまま隣の宿酒場に入る。
中に入るとザ・ファンタジー酒場って感じ。
そこそこ広く、10人くらい座れそうなカウンターに4人掛け丸テーブルが10個くらい並んでる。
カウンターに村人らしきオッサン2~3人が座ってビール(エール言うらしい)飲んでて、カウンター傍のテーブルには冒険者ぽい男2女2のパーティがメシ食ってて、他のテーブルにも冒険者らしい厳めしい奴らがメシ食ってる。
カウンターの中で調理してた店主ぽいおっさんがこっちを見て、怪訝な顔をしながら話しかけてきた。
「見ない顔だな。旅行者でもないみたいだし、冒険者でもなさそうだな。何者だ?」
警戒度MAXだな。
まあ人狼で村人にいっぱい被害出てるみたいだし、おいら手荷物も一切持ってないし、怪しく見えて当然か。
「いや、その怪しいニンゲンじぇなくて、森でカリナちゃん助けて、きき、来ました」
おいらの安定したカミカミっぷりにいきなり激昂するおっさん店主。
くそっ!どうせチートくれるんなら、ついでにコミュ障も治しとけよな!
「今、カリナって言ったな!あの子に何かしたのかっ!カリナは俺の親友の娘で、俺の娘の親友でもあるんだっ。もしあの子とマウラに何かしたのなら、生きてはこの場から返さんぞっ。おいジェイクっ、そいつを取り押さえてくれっ!」
いきなりブチギレする店主。えーなにこの人。
弁解する間もなく、冒険者パーティの中で一番体格の良いプレートメイル着た男が飛び掛かってくる。
いや俺メシ食いに来ただけなんですけどー!
「オラ、大人しくしろっつ……っっ!?」
男は俺の腰にタックル仕掛けて来るが、高ステータスの恩恵か、俺の体幹はビクともしない。
スピードとパワーとステータスが違うのだよ君。
「何だ、こいつ!?ビ、ビクともしねえ!?」
「ち、ちょっとジェイク、冗談でしょ…?」
「お、おいこいつマジで、化けた人狼なんじゃ!?」
「ジェイクどいて。拘束魔法を仕掛ける」
一体どういう状況だよ…。
メシ食いに飯屋入ったら、店主に尋問されるわ大男にタックル喰らうわ女魔法使いにバシバシ魔法喰らうわ周りを剣呑な冒険者に囲まれるわって…。
これキレていいよね?
キレるわー。
普段温厚な俺でも流石にこれはキレるわー。
だけど状況を打ち破ったのは、キレた俺のワンパンではなく。
「お父さん達っっっ!何やってるのぉーーーーーーーーーーーーーーーっ!」
キレたノイアちゃんの一喝だった。
大の大人5人が怒り心頭なノイアちゃんの前に正座させられていた。
ノイアちゃんの額に青筋が幻視できそうな光景だ。
ていうか少女に正座させられるとか、むしろご褒美ハァハァヽ(^o^)丿
「すまなかった、タロウ。まさか本当に人狼からカリナを救ってくれていたとは…」
と、ノイアちゃんの父親で、酒場の店長なおっさんノーギル。
「タロウ、俺たちが悪かった。しかし、ジェイクのタックル喰らってビクともしないとか、一体どんな体してんだよお前は」
「そうね。ビックリしたし、本当に人狼かと思ったわ」
「拘束魔法を無効化してた。人狼ではないけど、人間でもないと推測する」
「いやほんと何者なんだよ…」
と、冒険者4人組で、順番にリーダーで剣士のライ(褐色フツメン)、ローグで短弓使いのシーナ(健康的お色気系)、魔法士で黒ローブなフィオ(無口ツルペタ娘)、盾役のジェイク(デカい)、だ。
女子組はまあそこそこ可愛い部類だ。
もっかしてそもそも顔面平均偏差値が高いのかもしれんな。
カリナたんもマウラたんも、日本でデビューしたら妖精とか天使とか言われそうなレベルだしな。
野郎の容姿?それ誰に何の得があんの?
シーナはギリアウトだが、16歳でツルペタなフィオたんは余裕の射程圏内だ。
女は20を過ぎたら既にBBAなのである。
18を過ぎたらもう行き遅れである。
消費期限を過ぎて発酵を開始した危険物なのである。
ただしロリBBAに関しては意見が分かれるところである。
4人組は全員Bランクの冒険者パーティらしく、この街には最近警護の依頼で来たとの話だった。
俺みたいに真っ向から人狼の群れを狙うのでなく、村の外周をパトロールして人狼がいたら追い払ったりしているらしい。
他にもあと2,3組の冒険者グループが雇われてて、持ち回りでシフトを組んでパトロールしており、今日はこいつらの組が非番で休んでるとの事だ。
村からそこまで高額の報酬が出る訳ではないが、国からの要請によってギルドから派遣されているので特別手当が出るし、こういう町村防衛などの優先度の高い依頼をこなしているとギルドからの覚えも良くなり、ランクも上がりやすいらしい。
ライの割とどうでもいい話を聞きながら俺は、もしかしなくてもこの村がかなりの危機的状況にある事を察する。
もし人狼達が本腰入れて襲って来たら、おそらく戦える人間の数の差的に全滅必至だろ。
俺のマップによるサーチだと人狼の数100超えてるかんな。
これって、もし俺が一人で人狼どもを全滅させたりしたら…。
カリナ「素敵!抱いて!」
マウラ「大好き!」
ノイア「結婚して!」
フィオ「抱いてもいい」
幼女少女「ふええ抱いてぇ~」
っていう展開不可避じゃね?
こりゃあ明日から人狼狩り決定だな。
今の俺なら100匹くらい余裕で無双できるだろ。
何せ攻撃受けてもダメージ通らねーし、こっちが攻撃すりゃ一撃必殺だかんね。
ぶへへへへ、漲ってきたよー!
「あの表情、確実に邪な妄想をしている…」
「うん、性犯罪者の見本になりそうな顔だわ」
「シ、シーナ、お前気をつけろよ。何かあったら俺を呼べよなっ」
「ライ、呼んでもお前じゃ時間稼ぎにもなんねーよ。人狼の群れを単独で殲滅する化けモンだぞ」
おっといかんいかん。おいらの溢れ出る紳士性が外面に表れてたようだ。
昼飯を済ませた俺は、散歩がてら森に入って人狼を狩りに行ってみる事にした。