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5話 テンプレ乙

戦闘シーンってむずかしいね。心折れそう。

なんか三者視点の方が書きやすいので、戦闘シーンはそうした。

主人公気持ち悪い。だがそこがいい。

あー喉が乾いた、腹が減ったああああ!


そりゃなんぼチートでも、動けば腹は減るし喉は乾くよなあ~。

俺は周りに転がる元・人狼だったグロ画像を見渡す。

異世界ものネット小説で、中には人型でも魔物の肉食っちゃうやつもあるんだけど、流石にちょっと俺には無理ですわ。

かと言って、その辺に生えてる訳の分からんキノコ食うのもなあ。

チートつって、毒とか大丈夫なのかどうか分からんし。

状態異常無効のスキルとかも無かったしなあ…。

こりゃ早いとこ森抜け出して人里に辿り着かんと、まじで異世界来て早々に飢え死にとか有り得るな。


そういや索敵スキルで、範囲広げて人間のいる場所検索とかできねえのかな。

ちょっとやってみよ。

俺は声を出さずに「索敵」と念ずる。

頭の中で俺を中心とした半径1kmにいる赤い点(敵)と黄色い点(敵以外?多い)が表示される。

だけど1kmくらいじゃ、この点の中に人間がいるんかどうかとかはっきりしない。

思い切って、範囲100kmまで広がれ!と念じてみる。

すると、マップ上に無数の点が現れる。

おお、範囲指定ありか。こりゃ便利ね。

ついでに黄色い点は非表示でと念じてみるとその通りになり、赤い点がマップ上に表示される。

と、マップの端っこ辺りに結構沢山(200~300くらい?)の緑の点が集まってる場所がある。


うし、緑は人間と見た!

何でもいいから、とにかく食い物と水分けてもらおう。

俺はチートを活かして、人狼どもには目にもとまらぬであろう速さで緑点に向かってひた走る。

これ、車より遥かにスピード出てね?

体感で300~400km以上出てるような。

だって俺が走った後の風圧で、木の枝とかがバキボキ折れてる音が後ろから聞こえてるし。

ふと後ろを見ると、俺の走った後の地面に溝が出来てるし。

まーいっか。はいはいチートチート。


10分程進んだくらいか?

出しっぱなしにしていた索敵マップに不自然に動く点がある事に気付く。

一つの緑点が、何個もの赤点に囲まれた状態で、人里に向かって移動している。

え、これどういう状況?

まあ、とりあえず助けにいっとくべき展開だろこれ。

あわよくば美少女的な?

助けたお礼に飯食わせてもらって、その後私を抱いて的な?

テンプレ展開キタコレ的な!?

ぶへへへ(下衆笑い)、そうと決まったら全速全開で助けに行っちゃうよおおおおおおおおおお!


更に速度を上げた俺はほんの数分でその光景に辿り着いた。

中学生くらい?の女の子が地面に蹲ってて、その周りすぐ傍をあの人狼たちが取り囲んで下品な笑いを上げている。


ぬおおおお、美少女(未確定)に害を為すとは不届き千万だコラ!

うーし、とりあえず死んどけお前ら。

そしておれのDT卒業の為の踏み台となれい!

てかJCでDT卒業とか、やばくね俺?

ぐははは、悪いなア〇ネス。

悔しかったら、異世界に転生して児〇法を制定してみやがれい!



side三者視点


一陣の颶風が人狼たちの傍らを吹き抜ける。

瞬きの間に首を失くした四つの亡骸が血の花を咲かせ、その場に崩れ落ちる。


漸く自らの脅威となる存在に気付き、威嚇の唸りを上げながら仲間の命を奪った青年の周りを取り囲む。

が、その行為は遅きに失して、更には致命的に間違っている。

彼らは一目散にその場を離れ、逃げるべきだったのだ。

相手は知覚すら困難な速度で動き、鉄の剣すら通さない自分たちの毛皮を紙の様に引き千切る化け物だったのだから。


四方から脅威に飛び掛る。

後方の狼は獲物の首筋に喰らいつかんと飛び掛る。

左右の狼は足を潰さんと低い姿勢から爪を振るう。

正面の狼は胴体に風穴を開けんと鳩尾に爪を振るう。


人狼は動物種の狼と同じく、群れで獲物を狩る事に長けた魔物である。

その連携の取れた攻撃は、不可避にして必殺。

囲まれれば、一流の冒険者とて単体での対処は不可能とされる程の戦闘術。

その獲物もまた、成す術もなくその身を引き裂かれる筈だった。


彼が異世界から現れ、この世界の常識を超えたステータスとスキルを持っていなければ。


飛び掛った人狼達は獲物の動きを認識できなかった。

その爪に牙に、身を裂かれる筈の獲物は消えていた。

目を離してなどいない。

今まさに八つ裂きになる運命だった獲物は目の前から突然消えて。

影が落ちる。

死は直上から降り注いだ。


落ちてきざまに反応の遅れた一匹の頭上に右手を固めた鉄槌で一閃。

爆散。


下から抉るように振るわれた爪を、体を半回転させて捌きカウンターで右拳一閃。

四散。


咆哮を上げながら首に噛みつこうとした牙を仰け反って躱し、小さく畳んだ左拳からショートアッパー。

飛散。


逃げようと背を向けた一匹を追い越しざまにラリアットをかます。

消散。


数瞬の間に新たに生まれる四つの首無し死体。


最後の一匹が爆散した瞬間、残りの人狼たちは漸く絶対不利を悟り、森の奥へと逃げて行った。


後に残されたのは

八つの首のない人狼の死体。

それを成した化け物。

そしてそれを眺める少女の呆けた顔であった。



side俺


俺TUEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!

ずっと俺のターン!もっと俺のターン!

この世界に来ての初戦闘は散々な出来だったが、その後のギャクサツで俺は自分のチートの威力を知った。

まずね人狼、君らの動き遅すぎ。

相手の動きから目を逸らさずに意識を集中していれば高AGIの恩恵か、俺にはスローモーションに見える。

視界外からの攻撃でも直感(S)スキルの恩恵か、はたまた別のステータス値のおかげか知らんが、大体何処からどういう攻撃が来るのか見なくても、感覚で察知できた。

あんまりにも容易に避けれるもんで愉しくなってきて、こっちから手を出さずに好きに攻撃させてみたけど、遅いわ分かるわで一発も当たんねーの。

俺強すぎワロタwww

んであの動作自在(S)スキルの所為か、体がもう思い通りに動く動く。

バトル漫画の主人公みたいな動作がね、もう自由自在なのよ。

今の俺なら言える。俺が、No1だ!


今更ビビって逃げたって遅せ~よ。

美少女を脅かした罪は万死に値するのは、変態紳士の会の常識。

一匹残らずミナゴロシに決まってんだろーが!


と、思ったけどまずは美少女の安全が優先か。

ちっ、今日のところは見逃してやろ。


うひひ、この俺もやっとDT卒業か。

フゥ、魔法使い目前にして滑り込みセーフだったぜ全く。

最初いきなり異世界に放り込まれた時には、まじでどうしてくれようと思ったけれど。

ああ、来てよかったよ異世界。

なんせJCでDTを…。

ぐふふふ。



sideカリナ


一体何が起こっているの?

目の前で起こっているのは現実?

それとも私はもう死んでいて、間際の願望を夢に見ているの?


人狼達が死んで行く。

両親を殺した憎き仇の人狼が。

熟練の冒険者でも尻尾を巻いて戦いを避けるCクラス魔物(モンスター)の人狼が。


その人は薄笑いを浮かべながら、まるで虫けらを踏み潰すかのように、残忍に、一方的に、軽々しく、恐ろしい魔物のはずの人狼達を倒していった。


物語の英雄?

超一級の冒険者?

女神さまの御使い?

それとも伝説の悪魔(ディモン)族?


色んな可能性が頭を過ぎる。

そして最後に浮かんだ可能性が高いかも知れないと思い至る。

悪魔族は狡猾で残虐であり、その能力はあらゆる魔物を超えて頂点にあり、女神さまに反逆する恐ろしい種族であると聞く。

その姿は、総身が黒みがかっており、目は黒色の中に金色の瞳を有すると言う。


肌は黒くないが、彼の髪と瞳は漆黒の闇色だし、着ている服まで真っ黒だ。

それ以外は、中肉中背の普通の男の人に見えるけど、あの切れ長で吸い込まれるような眼。

悪魔族の様々な魔眼を持っていて、その中には魅了の魔眼もあるという。

あの眼に見つめられていると、胸がドキドキして顔が熱くなってくる。

いけない、もう魅了にかかり始めているのかもしれない。


もしかしたら悪魔の手先か、その亜種だったりするのかしら。

悪魔族は太古の昔に女神さまとその眷属に滅ぼされたけれど、実は生き残っていて極北の大陸で力を蓄えているという、まことしやかな噂もある。


きっと彼は私を助けたのではなく、ただ自分が私を食べたいが為に、人狼達から獲物を奪っただけなのだろう。

抵抗なんて考えられない。

人狼達ですら、手も足も出ない化け物が相手。

だったら私のする事は。

いやできる事は、ただ一つだ。



-side俺


美少女が起き上がってこちらを見ている。

仲間になりたそう…ではない。

心なしか、怯えきった目で見ているような。

あんれー?

ここは感涙にむせび泣きながら抱きついてきて、その成長途上の慎ましやかな膨らみを俺の胸板にこすり付けるシーンじゃないのー?

くそう、もうちょっと自重すべきだったか。

でも、あいつら(人狼)弱すぎて、苦戦する振りすんのも面倒そうだしなあ…。


仕方ない。

ここは「怖くないよ」「怪しい者ではないよ」と声をかけて安心させるしか。

が、相手は見た目JCくらいの子供とは言え、生物学上は立派なメス(多分、男の娘じゃない限り)。

くっ、10年近く家族以外とのコミュニケーションはネット掲示板上でしかしていない俺にはハードルが高すぎるっ!

が、このまま美少女と睨めっこしててもしょうがない。

陵辱スキーには怯える少女の視線はご褒美かもしれんが、生憎俺は和姦派な上に処女厨で理想の彼女の年齢は12~15歳だ。

ついでに基本黒髪ぱっつん派だが、生来のものなら金髪もアリ、ケモ耳、エルフ耳は大好物、褐色肌はうーん微妙、ダイナマイトバディより成長途上の慎ましさが至上だ。

おっと話が逸れてしまったな。

とにかくまずは異世界美少女とのファーストコミュニケーションだ。

何にしろ第一印象は重要らしい

ここはクールにニヒルに決めて、金髪JCのバージン(未確定)を頂いてみせる!


「あああああの、おで、あののタタス、タスケ、あなたをタシュ、タシュケニキタ」


ぐおおおおおああああ、噛んだだあああああああ!

憎い!自分のコミュ障が憎い!

そしてやっぱり無理だったDT卒業!

さよならリア充の俺!

こんにちは魔法使いの俺!

ぐおおおおおあああああ!


美少女はきょとんとした顔をしている。

まあ何言ってるか分かんないよねーそりゃ。



「あの…」



美少女が口を開く。

まるで鈴の音の様に耳ざわりのいい、高く澄んだ声。

そしてありがたい事に日本語だ。



「私を食べるのは構いません。

ですが、どうかこの薬を村に届けるまで待ってください。

妹が病に伏しています。

そしてどうか村の人には手を出さないで、私の体だけで許してください。

こんな頼みをあなた様が聞く理由がない事は承知しています。

ですが、どうか食べるのは私だけで許してください」



え、なんぞこれ。



きたあああああああああああああああああああああ!

そして、あわよくば。



ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!

JC(未確定)とJS(未確定)の処女(未確定)姉妹丼(勘違い)とな!となとな!


ああ…神よ!ここがエデンか!天上か!

うほほーい、うほほーい、うほほーい、ほい!


万歳!異世界万歳!

おめでとう、DTの俺。

こんにちは、非DTの俺。


みなぎってきた!

次話、酒池肉林(ロリコン祭り)

ア〇ネスさんは閲覧禁止。

嘘。ごめんなさい。

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