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今直ぐ記憶から消してください!

全てのトラップを見届けた後、リタイアして立ち去って行った人がいなくなるとうっかり転んで最上階の窓からおちそうになった事を除けば、私達は無事にくろの塔の最上階から一気に一番したの1階まで下りた。

そこはファイさんや副長官さんが全体を指揮している場所。ちなみにしろチームであるアルトさん達が指揮している場所はしろの塔の1階ではなく逆の最上階。

光は上で、闇は下……と言うわけだ。


「さっきの爆発音はなんだクレイアード。シバかれたいのか?」

「既にシバいた後じゃないっすか!てか、なんで最上階なのにバレたんです!?」


私はチラリとファイさんの隣りでネコミミの付いたニット帽をかぶりながら目線をそらしているネリさんを見た。

絶対この人だ。その素晴らしい聴力でバッチリ聞いてたに違いないですね。


「問答無用と言う奴だクレイアード。責任をとって今から最前線に行くといい」

「長官俺がスッゴく弱いって分かって言ってます!?ってあぁああああああ――!!」


結局、アードさんはズルズルと何人かの騎士団の人達に引きずられながら演習の最前線と言う名の地獄へと向かっていった。

さようならアードさん。あなたの事は出来れば忘れたいので忘れていいですか?いいですよね。


「リリアもすまなかったな、私のせいとは言えあんな奴につき合わせてしまって」

「いえ、大丈夫でしたよ」


オカルト話よりトラップに付いての話しの方が多かったですし。まぁ、アードさんへの信頼だとか尊敬だとかの感情が物の見事に砕け散ったりはしましたが。


「リリアの蹴りはまるで幼少期からきたえていたかのように素晴らしいが、まだ戦場のど真ん中に出す訳にはいかないしな」


……幼少期から鍛えてたって言うか小さい頃から毎日毎日変人や変態や変出者に狙れ襲われては蹴ったり逃げたりの繰り返しで……あれっ!?まさか私のこの蹴り技はあいつらのお陰で身についた物なのか!だとしたらこの上なく不名誉だぁあ!いいのか悪いのか微妙な感じだよ!


「お主どんな人生歩んで来とるんじゃ……」


すると、私はふとさっきのネリさんとの会話を思い出してその場にいたファイさんに聞いてみた。もちろん、内容はネリさんの年齢について。一体ネリさんは何歳なんですか?と……


「あぁ、14だよ。ネリはこの間の誕生日で今は14歳だ」

「へぇー……」


あれ?それだとネリさんも私程じゃないけど年齢の割に結構低身長なんじゃ……


「お前儂に心の声がダダ漏れだと分かって言っとるのか?よーし、歯ぁ食いしばれよー」

「わぁああ!?ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」


腕を振り上げないでください!言葉のあやだったんです!本気でそうは思ってませんから!寧ろ私の方が年齢上の癖にネリさんより小さいですから!だからごめんなさいっ!!


「て、てか…ネリさんほとんど同い年だったんですね」

「ん…あぁ、そうらしいの」


するとネリさんは一応振り上げてた腕を下ろしてくれた。

しかし、ネリさん自体独特の雰囲気を持っているので年齢がよく分からなかったけど1歳しか違わないと分かるとなんとなく親近感すら湧いてくる。


「たく、そもそもなんでこうも身長が伸びんのじゃ。体が小さいと戦いづらくてかなわんと言うのに……」

「確かにあまり高い方ではないな」


そう言いながらファイさんはポンとネリさんの頭に手を置いきながらうーんとうねり始めた。


「ふむ、靴や帽子で多少の誤差はあるとしても大体149.5㎝と言った所か。安心しろネリ、まだ伸びる可能性はあるぞ」

「相変わらず無駄に正確じゃの……にゃっ!」


突然何かを思いついた様子のネリさんは自分の頭の上にあるファイさんの腕を掴むと、突然キランっと目を輝かせながら私の方を見てきた……えっ…ちょっ、まさかネリさん……


「おい、リリア。前々から気になっとったんじゃ」

「すみませんファイさん!私ちょっと用事が――!」


ある訳では無いですが強いて言うのならこの場から逃げ出すと言う用事がたった今生まれました!


「逃がす訳ないじゃろう」


ニヤリといつもの怪しい笑みを浮かべたネリさんはそんな事を言いながら私の動きを封じるように後ろから思いっきり抱き付いた。

あぁああああああ!?ネリさんに抱きつかれてまともな目にあった事が一度も無いんですけど!


「お主、測れ、身長」

「嫌・で・す」


何気に単語だけで脅さないで、恐怖が2倍、3倍と膨れ上がってるから!怖すぎるから!

するとネリさんに腕を掴まれたままだったファイさんは納得したような面持ちで言った。


「確かにな、15歳だと言うのにあまりに身長が低すぎるとなれば病気の可能性もあるからな、正確に測っておいて問題は無いだろう」

「私には大いに問題がありますから!止めてください!マジで止めてください!!」

「なんじゃ、いい加減諦めて大人しくなれ。にぁに、たかだか身長を測るだけじゃろうが」

「そこにコンプレックスがあるからここまで嫌がってるんです!」


なんて、私の必死の抵抗もつかの間。

ポンと、ネリさんによってファイさんの手が私の頭の上に乗せられた。

そして、ファイさんは私の最大のコンプレックスを小さく暴露する……


「……144.4㎝?」

「はっ?おい、お主確か150㎝ギリギリ無いくらいとか言っとらんかったか?」

「な、何言ってるんですか!144.4㎝って四捨五入したらギリギリ150㎝無いくらいじゃないですか!」

「四捨五入……」

「4で切り捨てだから確かにどの位で四捨五入しても150㎝にはギリギリならないな」

「じゃからって無理があるじゃろう。色々と」


止めて、それ以上言わないで……確かに多少(?)見栄を張ってましたが仕方ないじゃないですか144.4㎝って微妙すぎて言い表しづらかったんですから。

お願いですから言葉の綾として優しく受け止めてください……


「さ、さぁて。演習の作戦会議に戻るかの、ファイ」

「あ、あぁそうだな。その…気に病むこと無いからなリリア……」


その優しさが逆に痛い!!心が砕け散りそうですよ!もう既に死にそうです!

お願い無視して、スルーして。今の話しは無かった事にして、でないと私立ち直れません……


「まぁ、あれじゃ。なんじゃったらリリア、お主も見て見るか?」

「……何をですか?」

「今の戦況じゃ」


せん…きょう?




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