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ネリさんの魔法。

空気の悪さのせいでファイさんとネリさんにずっと手紙を渡せずにいた私は、ちょうどその時ファイさんに用があってやってきた文官のレイさんに助けられてなんとか2人に手紙を渡すことが出来た。

本当にありがとうございますレイさん。そんなレイさんは上からの手紙を破いたファイさんを問い詰めてます。


「長官、いくらなんでも上からの手紙を破くなんて……どう返事するんですか」

「どうにかだ……」

「たまたま機嫌が悪かったんじゃ、ちょっとは見逃してやれ文官」

「あなたですよね、勝手に直接手紙を長官に渡したのは?」

「んにゃ?にゃんの話しじゃ?」


ネリさんはそう言っているけど、私は私が部屋に入った時にネリさんがファイさんに手紙を渡していた所を見ましたからね。

機嫌が悪いファイさんにそんな手紙を渡したらどうなるか、ネリさんなら分かってたはずですよね?

手紙を渡すにも渡せずにいたあの辛かった時間を返してください。


「そんな事より、手紙には細かい事はリリアに聞いてくれと書いてあるが?」

「えっ、私?」

「この手紙にはこの間の事件の真実と頼みたい事があるとだけ書いてあるが……なんの事なんだ?」

「あぁ、それはファイさんにではなくネリさんにです」

「にゃ?儂か?」


私がそう言うとファイさんの隣りで「そんな事」と言われていろんな意味で疲れきっているレイさんもネリさんへの依頼だと聞いて真剣に私の話しに耳を傾けた。

そして自分が関わると分かったネリさんはニヤニヤと薄い笑みを浮かべると私の目の前に来た。


「なんじゃ、儂に用があるのなら手っ取り早く済ませよう」

「あぁ、はい。では説明を……」

「いや、説明はいらん。お主は警戒せずに儂を受け入れるんじゃ」

「……はっ?」


あの…ネリさん……一体何を?何故だんだん私に近づいて来るんですか?そして何より何故ちょっと楽しそうなんですかっ!?


「楽しくないわけがなかろう。久し振りに使うからの、これ」

「い、一体何を……」

「ネリ、『こうなったら自力で調べてみせる!』…とこの間意気込んでいたんじゃなかったのか?」

「にゃーに、視るのはその事件の時の記憶と心だけじゃよ」


だ・か・ら、なんの話しなんですか!私をガン無視して話しを進めないで!視るって何!記憶やら心ってどういう事なんですか!

ネ、ネリさん?近いですよ、怖いですよ?そんな怪しい笑みで私を見つめながら近づいて来ないでください……


「じゃーかーら、警戒するなと言っとるじゃろうが」

「無理ですって!」

「じゃあこれでどうじゃ?」


ネリさんはそう言ってまたニヤリと笑うといきなり私に抱き付いて来た!?

しかもそのまま床に押し倒してくれました!密着状態なんですが!小さな体のネリさんでも私を押し倒す事って出来るんですね、何故押し倒したのかは全く意味不明ですけどね!


「な、なななっ!?何をするんですかネリさん!」

「どうじゃ警戒する暇もないじゃろう?」

「そうかもしれませんが!とにかく離れてください!」

「まぁ待て、あとはもう。目を合わせるだけじゃから……」

「何がっ……!?」


その時、ネリさんの綺麗な黄色の目が一瞬光り輝いた。その光は以前、ミキが魔法を使った時の光によく似ていると思っているとそのままネリさんの目は私の目を捕らえるように見つめ続ける。

私とネリさんの目が合ったのだ、ネリさんに押し倒されて密着したまま……

そんな驚きの状況だった私は私とネリさんの横で話している2人の会話の内容を聞くことは出来ませんでした。


「今回はまぁ…随分大胆な作戦をしたものだ」

「いいんですかあれ、ほっといて……」

「別に構わんだろ?一応女同士だしな」

「確かにそうですが……」


そんな会話など全く聞こえずに必死にネリさんとの密着状態の恥ずかしさに耐えながらネリさんと目を合わせ続けたけど、しばらくするとネリさんが目を閉じてスッと私から離れてくれました。

……で?結局何だったんですか今の?


「おいファイ、随分面倒くさい事になっとるぞ」

「ほう、殆どの物に関心を示さないお前がそこまで言うのか」

「教会と異端者が絡んどる」


ネリさんのその言葉を聞くとファイさんはピクッと少し反応してネリさんに真実な目を向けて聞いた。


「ネリ、詳しくは馬車で聞こう。今すぐ行けるか?」

「あぁ、アルトの屋敷じゃ」

「分かった。文官後は任せたぞ」

「はい」


……今この場で一番今の状況を理解出来ているはずなのに出来ていない人間がまさにここにいるんですが。


「あの…なんで教会や異端者って……?それになんでアルトさんの屋敷が……?」

「いるんじゃろ、そこに異端者のシノという奴が」


……。…………?………―――!?(訳:「私まだ説明してませんよねぇええええ!?」)




     ※




訳も分からず馬車に乗せられ、揺られること数十分。やっとネリさんからさっきの事について説明をされたのだけど……


「どこまで視たんですか……?」

「さぁの~、どこまでじゃったかなぁ~」


さっきからずっとこの調子なんですけど!私的にはこの間の事件、後半からかなり恥ずかしい事が連発していたので誰にも知られたくなかったんだけど……この人絶対何か視ましたよね!?でなきゃこんな風にはぐらかしたりしないですからね!


「で?一体ネリは何を視たんだ?」

「にゃんじゃ、ファイもリリアのあんな秘密やこんな秘密を知りたいのか?」

「ああぁぁあああ!?やっぱり視たんじゃないですか!」


あんな秘密やこんな秘密って具体的にどれですか!もう殆どの秘密が恥ずかしすぎてどれの事かも分かんないんですけど!


そんな私達に若干呆れながらファイさんはもう一度ネリさんに話し掛けた。


「……いいから早く事件の事を話せ」

「つれないのう。まぁいい、儂が視た事を話そう」


それからネリはこの間のシノちゃんとの事件の事をファイさんにも説明した。

4人の男性の事、真っ黒な修道服を着た藍と紫の事。事件の後の治療の話しに入ろうとした所で私がネリさんの口を抑えて黙ってもらったりもりたけど、なんとか全部説明し終えるとネリさんは本題であるシノちゃんの容姿の事に付いて話し始めた。


「じゃが、そのシノと言う娘。おそらくただの異端者じゃないぞ」


ネリさんのその言葉を聞くと、確かにシノちゃんのあれは私なんかとは全く違ってはいたと思った。

私の黒髪や黒い目は何かの異常でたまたまこうなったと言えば納得出来なくもない。

……まぁ私のはおかしくはないんだけど、向こうでは。


でもシノちゃんのは違う、赤い目や白髪はそうでも。あの羊のような角は何かの間違いでたまたま……なんて言えるような物じゃない。明らかにおかしいんだ。

そんな事を考えているとネリさんの言った言葉の意味を知っているのか、ファイさんはネリさんに確かめるような言い方で訪ねる。


「ネリ、それはつまり……」

「あぁ、おそらく儂と同類じゃろう」

「同類……?」


私がそう疑問に思っていると私達を乗せていた馬車はアルトさんのいる騎士団の前で止まった。

それから数分間待っているとアルトさんをファイさんが連れてきてそのままフローリア家のお屋敷まで聞くタイミングが無く、到着してしまった。


「相変わらず、馬鹿みたいな広さじゃのう」

「そうなのか?私にはよく分からんが」

「長官、あなたの家を基準にしないでください」

「いやアルトさん。ここも十分広いですからね」


全員の感覚がバラバラなんですが。このお屋敷を広いと感じるのは私とネリさんだけですか。

そういえば、ネリさん今相変わらずって言った?


「ネリさん、ここに来た事あったんですか」

「にゃ?あぁちょっと知り合いがいての」

「知り合い?」

「そうじゃ、久し振りに奴の様子でも見ておくか」


ネリさんの知り合いって一体……?




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