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長官さんへ郵便配達。

いつも通りの騎士団の廊下、いつも通りの資料の束。そしていつも通りの……


「はぁあ…通れない……」


いつも通りの私。

ため息を付く私の視線の先には数人の騎士団の人達。何かを話したり相談したりしながらこちらにゆっくりと歩いて来ている。もちろん全員男性。


「早く行って欲しい……」


男性恐怖症。最近はあんまりなかったからもう大丈夫かと思ったけど……やはり、駄目な物は駄目なようでした。

現状を説明すると資料の束を運んでいたら向かっている方向にあの方々を見かけた途端すぐさま壁際に隠れて動くに動けないまま今に至ります。


「そういえばいつからだっけ?」


私がここまで男性を怖がるようになったのは。

小説や漫画のヒロインとかだと幼い頃なんかにきっかけがあってってのがよくあるけど、例えば男性に襲われた過去があるとか。


私の幼い頃と言えば……

この顔と身長のせいで変態やロリコンどもに追いかけ回され。誘拐だとか言う犯罪行為にたびたび巻き込まれたり。終いには教師までもがあっちの方の種族だった事も。

……あれー?まさか私ってこの程度ですんでいるだけ奇跡だったりするの?なんか色々おかしいよね私。


「思い出さない方がいい気がしてきた」

「まぁ、誰でもそう言う事はあるよね~」

「思い出したら思い出したで傷口を抉るだけといいますか」

「うんうん。で?それなんの話し?」

「……なんでいきなり話しに入って来てるんですか。エルさん」


私の隣りにはいつの間にか騎士団の制服を着てにこにこ笑っているエルさんがいた。

慣れました、慣れましたとも。この程度のドッキリ登場、もはやびっくりする私じゃないんですよ。落ち着いてその状況を大人な、大人な感じで受け入れられます。


「あっ、副団長。そんな所で何してるんですか?」

「ぎゃぁあああ!?」


突然、さっきまで向こうにいた騎士団の方々がひょっこりと現れました。そう、突然、目の前に何人もの男性が……

それを確認した瞬間私自身もびっくりするぐらいの速さでその場から走って逃げ出しました。

持っていた資料の束だけはなんとか放り投げずにすみましたが、明らかに不自然な反応をしてしまいました。

あの方々からしたらエルさんに声を掛けただけなのになぜかいきなり近くにいた女の子が猛ダッシュで悲鳴を上げながら逃げてくなんて態度をとられたんですよ?

すいません、本当にごめんなさい。でも私にだってどうにもならないんですよコレは!


「相変わらずの面白さだねリリアちゃん」

「人を久しぶりにあった近所の面白い犬みたいに言わないでください!」


私がダッシュで走っているとさっさとあの騎士団の人達と別れたエルさんがまたいつの間にか隣りを走っています。

いつ来たんですか?何ですかその笑いをこらえた震えは?


「あれが大人ねぇ……ぶっ」

「ああぁぁ!?笑うなぁあああ!」


それは言わないで!

私もさすがにさっさのは無理があったかなとか思ってるんですから!いきなりこんな展開になってそれが塵になる程砕かれるとは思ってなかったんですから!

っていううかなにげに人の心を読まないでください!あなた超能力者ですか!私の思っていた事がよく分かりましたね!


「そう言えばリリアちゃん今日は確か……のわっ!?」


エルさんの短い悲鳴を聞いた直後、背筋に凍りつくような寒気がはしりました。

まさかと思ってすぐさまその場に止まりエルさんの悲鳴が聞こえた方をたしかめました。

エルさんはものの見事に転んでいました、こんな何もない廊下でエルさんが転んだ理由は一つです。

その長いお足を盛大に前に出してエルさんを転ばし、にっこりと黒い笑顔を見せている彼。

王宮騎士団団長、アルト・フローリア様です。


私の身体が無意識に震えだし身の危険を知らせています。今すぐ逃げたい欲求をなんとか抑えるのがやっとです。

そしてアルトさんはあの笑顔のまま、ゆっくりと言い出しました。


「廊下は走らない」

「「……ハイ」」


ブラックオーラ再びです……


「それに、リリアはそろそろじゃないの?」

「えっ!?」


私は騎士団の制服から懐中時計を取り出して時間を確認した。この懐中時計は騎士団の制服を貰った時に一緒に渡された物で、蓋には騎士団のマークがついている銀色のデザインだ。

で、時間を見るとすでに予定の時間を数分過ぎてた。

これだと、今日は全力疾走だなぁ……

全力疾走以外の選択肢は無さそうなのであきらめてため息を付くと、アルトさんが持っていた手紙を差し出した。


「じゃあ、よろしくね」

「はい!」


その手紙を受け取ると、私はもうとっくに起きあがれるのに倒れたままブツブツとアルトさんに文句を言っているエルさんの横を通り過ぎて歩いていく。さっきあぁ言われたので走らないように、且つ急ぎ目の早歩きで騎士団の正門を目指す。


今日は週に一度、王宮騎士団上部の長官であるファイさんの所へ行く日だ。騎士団から歩きで王宮を目指す。そして今回の目的はもう一つ、ファイさんの所には基本的にネリさんが一緒にいる、だから今日はネリさんにあの事を聞かなきゃいけない。


「よし、行きますか」




     ※




「断る」

ビリビリ……

「……」


目の前でファイさんの手によって破かれていく手紙。もはや解読不可能なほど破かれて紙切れと化しています。

えっと、一応言っておきますが私がアルトさんから預かった手紙は私の手の中にしっかりと守られてます、死守です。こんな状況では絶対に渡せません。


「あの、長官さん…何を……」

「あぁ、すまんなリリア。気にするな」

「いやいや!気にしますよ!

今から手紙を渡そうとしている人が目の前でいきなり手紙を破いてたら渡せる物も渡せませんよ!」

「にゃはっはは!相変わらずじゃの!」


大体何ですかその手紙は!誰からの手紙をそんな風に破いたんですか!


それから私は地面に落ちた紙切れを見渡すと殆どビリビリになっちゃっている中で破いていない紙があった。といううかよく見たらそれはさっき破かれた手紙の封筒だ。

ファイさんの隣りにいたネリさんがその封筒を拾い上げて書いてある文字を読み出した。


「にゃんじゃ?『ファイ・クライアン昇格の知らせ』か。アイツらも懲りないの~」

「昇格?」


ファイさんが昇格って……でも確かファイさんは既に王宮騎士団上部での最高権力者だったはず、だから長官以上に昇格ってのはおかしいような?


「要は、騎士団辞めて王宮に来いってことじゃ。ファイは全くその気はないがの」

「当然だ、ここを離れる気は一切無い」


どうしてファイさんが昇格の話しを蹴って、ここを離れるのを断り続けるのかは知らないですが、察するにその手紙が何度も届いているのでいい加減イラついて破いたと。

こちとらそのせいで渡すタイミング完全に失ったがな!どうするんだこれ……


「じゃあ、そろそろ始めるか」

「……はい」


私、今日中に渡せるのかな?この手紙……




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