目覚めた後。
昨日……
『えっ?団長達にお礼に行きたい?』
『はい』
『団長でしたら、この地図のですね。ここを真っ直ぐ行って、少し複雑な道ですがここはずっと左に……』
「えっ?そうして細かく説明受けた上に地図ごともらったから今朝お屋敷にやってきたの?」
するとシノちゃんは笑顔で首を縦に大きく振った。マジですかアードさん……あの人、他人の個人情報を何だと思っているんですか。まぁ、シノちゃんなら確かに大丈夫だろうけど……
「それで、ここに来てからどうしたらそうなるのかな?」
今、シノちゃんは昨日会った時とは違ってボロボロの布ではなく。とっても可愛らしいメイド服を来てました。
しがも、フレアさん達とは違うミニスカートのフリル付きのタイプ……この手の趣味の人にすっごく心当たりがあるんだよなぁ……
数時間前……
『……おっきなお屋敷』
『きゃぁああ!なんでこんな可愛い子が家の前にいるのかしら!天使?精霊様のお導き?』
『――!?――ー!!!!』
『はっ!この子ならこの間衝動買いしたメイド服が……』
『あっ…あの……』
『うちに用なの?じゃあ行きましょう!直ぐに着替えましょう!』
『いゃぁあああ!?』
それを聞いた私はシノちゃんを連れてダッシュで廊下を進みある部屋に駆け込んだ。
ミキもバッチリ横に付いてきている、この顔はエルさんと同じ面白そうな事を見つけた時の顔だったけど、とりあえず今は無視して部屋に入った。
「誘拐じゃないですかテナさん!?」
「違うわリリアちゃん!新しいメイドを雇っただけよ!」
あぁもう!私とシノちゃんが入って来た当たりからツッコミを入れられる事が分かってましたね!完璧な切り返しをしてくれましたよ!そんなキリッとした顔で断言しないでください!
「それにシノちゃんには今朝の内にちゃんと許可をとったわ」
「えっ?シノちゃん、OKしたの?」
「はい、ですからこの服を着てるのですが」
確かに、そう言えば全く抵抗なく着てる。てか、こんなデザインのメイド服がこの世界にあったんですね。こんな可愛らしいメイド服物語の中でしか見たことありませんよ私。
そしてシノちゃんもなぜかとてもにこやかな笑顔だし、私ったらびっくりしていきなりテナさんに言い寄るなんて……
「すみません、テナさん私が……」
「それに!可愛い女の子をメイドとしてさらって来て何が悪の!」
「さらって来たと言う事実がですよテナさん!」
前言撤回!私はある意味間違ってなかった!見事に立ち上がってガッツポーズを決めているテナさんを見ていたら何だか疲れてきました、精神的に……まぁ、事情はどうであれシノちゃんがOKしたと言うのなら私がどうこう言う話しじゃないですし。寧ろ私としては嬉しい位ですよね。うん、前向きにとらえていこう!
「そうそう、ついでにリリアちゃんに似合いそうなメイド服も見つけてきたのよ」
「着ませんよ」
「大丈夫よ、リリアちゃんに似合う黒色だから」
「ちなみに生地の厚さはどれぐらいですか?」
「もちろん!肌が透けるような薄さよ!」
……一瞬の沈黙。予想と言うか、話しを進めていた時点で気づいてはいましたとも。
「さてシノちゃん。一緒に戻ってメイドさんらしく色々手伝ってくれると嬉しいな」
主に私が今この場から逃げ出す事とかを手伝ってくれると嬉しいな。
「は、はい……?」
「えー、リリアちゃんもう行っちゃうの?」
テナさん、あなたが今まさに持っている衣類とはけして言い難いメイド服と呼ばれた物がなければもう少しいたかもしれないんですけどね。
私はシノちゃんの手を繋いでテナさんの部屋から立ち去った、いまだに後ろに立っていたミキも手を引っ張って連れて行く。
「あれ……?」
何だか冷たい感じがする……
不思議そうにそう思っているとドアの影に隠れているルウちゃんを見つけた。けど、明らかに様子がおかしい。さっきから一歩も動かないままドアの後ろに隠れながら私達の方をのぞいている。
あと、なぜだか全体的に雰囲気が凄く暗い。てか、真っ暗ですよ、プルプルと震えながらこっちを見続けてますよ。
「お、おはようルウちゃん?」
挨拶ついでに聞いていい?何かあった?
ルウちゃんは私の全身を一通り見回すと、最終的に私が掴んでいる2人の手に視線をむけた。
「リリアお姉ちゃんが……」
「えっ?私?」
「リリアお姉ちゃんがハレムですけすけで修羅場ですっ!?」
一体どうしたのルウちゃん!?ちょっとまって!ハレムってまさかハーレムの事じゃないよね、大体今の状況でハーレムなんて全く関係ないもんね。あっ!まさかルウちゃん知らない女の子と私がミキと手を繋いでいて今まさに修羅場だと思ったの?大丈夫だよルウちゃん、ミキにはフレアさんという被害しゃ……じゃなかった、フレアさんという大好きオーラを贈り続けてる相手がいるよ。
けど、それなら私じゃなくてミキをじっくり見るはずじゃない?
「あのね、ルウちゃ……」
「うわぁあーん!リリアお姉ちゃんがぁあああ!!」
だからなんで私なの……?
「リリアちゃんハレムか、確かにいつかは完成しそうね」
「奥様ー聞こえますよーリリアに聞こえちゃいますよー」
よく分かんないけど、とりあえず。なんか勘違いなのかな?
※
シノちゃんはお屋敷のお仕事を教えてもらうためにやってきたサリアさんと一緒にキッチンに向かって行った。シノちゃんのお仕事は食器や水回り関係になりそうだとか、フレアさんの事もあるのでサリアさんは喜んでシノちゃんを向かえていた。といううか、このお屋敷は広い割には意外と人数は少ないようで。理由はアレだけどシノちゃんにまた会えたのは嬉しいかな。
「リリア、僕初めての後輩が出来たって事だよね」
「えっ?後輩?あぁ、そういえばミキって仕事してたんだっけ。忘れてた」
「心外だぁ!」
そんな事言われてもミキって大体フレアさんをストーカーしてるかルウちゃんと遊んでるかそんな感じなんだもん。てか私、ミキが仕事してる所どころかミキの仕事の内容でさえ知らない位なんだから。
「後輩と言うより先輩の方がしっくりくるんじゃない?」
「シノちゃんさんってそんなに凄い子なんですか?」
「凄いって言うか……」
シノちゃんはあの姿のせいで頑張っていたお仕事も、周りからの扱い方も変わっちゃったんだよな……それでもシノちゃんは頑張らなきゃって、必死に今でも過ごしてるんだ。
私はさっき見たシノちゃんの笑顔と、初めてシノちゃんに会った時の悲しそうで怯えていたシノちゃんを思い出した。
「笑顔が可愛い女の子だよ」
「む…確かにそれは凄いけど。ところでリリア」
「なに?」
「いつまで繋いでるの?」
そう言うとミキは私と繋いだままの手を上げて見せた。
……部屋から出るときに引っ張ったままだったんだ。
「あぁ、ごめん。放し忘れてた……あれ?」
「あれ?ってなに!あれって!怖いよ、僕の手になんかあるの!?」
「いや、なんかって方じゃないけどさ……ミキって、冷え性だったりするの?」
「ん?いや、別に違うけど?」
そっか、違うんだ……て事はこれが普通なのか?人と手なんて向こうの世界じゃほとんど繋いだ事なかったからあんまり知らないけど。
「えっと、なんで?」
「んー…?なんか、あんまり暑くないって言うか……違うと言うか」
「ほほぅ……」
なに?なんで今度はミキがニヤニヤしてるの?私なんか変な事言った?
「ちょっ…なに?」
「いやぁ、こりゃあまた面白い事が起きたなと」
「?」




