行って来ます。
ファイさんに会うため、王宮騎士団上部へ行った私達は王宮騎士団に入る事とファイさんに戦いを教えてもらう話しをした後死にかけながら帰ることになった。
あの後私は新しく、騎士団のメンバーとして沢山のお仕事に終われる事になった、まぁアルトさん達の方が明らかに私の倍以上あるお仕事をこなしてましたが……流石です団長さん、副団長さん。
そして、あれから数週間たった今日。
「それでは行って来ますねテナさん」
「はーい、二人共行ってらっしゃーい」
ほわほわとした笑顔で手を振りながら見送るテナさん。そのテナさんの隣では、ぐずっているルウちゃんを逃げないようにがっちりと腕の中に納めているミキの二人がいる。
「ルウも行きたい!」
「ルウちゃん様は今日は大人しく僕とフレアと三人で(強調)遊びましょう」
うん、ミキのやりたい事は大体想像がつくよ、三人で仲良くそういう未来風な事を楽しみたいんだねきっと。またフレアさんに逃げられないといいけど。
「ルウも行くー!」
「残念だがルウ、今日はただのお出掛けじゃないんだ」
私の隣にいたアルトさんがしゃがんでルウちゃんの目線の前に来るとなだめるようにルウちゃんの頭を撫でながらそう言った。なんだろ?心なしか心の中がほんわかあったかくなってくる光景だ、超和む。
「うぅー……じゃあルウは大人しく待ってます」
「うん、いい子だねルウ」
これがいわゆる、うつくしき兄妹愛って奴でしょうか?ふわふわのほんわか空気がこの広い玄関を埋め尽くしてます、この空間はまさに春真っ只中です、春爛漫と言うやつですよ。
すると私の着ているローブを整えてくれていたフレアさんが、立ち上がると最後にローブに付いているフードを私の顔を覆うように深く被せてくれた。
「はい、出来ましたよリリア様。フードはしっかり被って下さいね」
「ありがとうございます、フレアさん」
私の今の格好は夏物の薄手のワンピースの上に地面まで付くほど長い茶色のフード付きローブを着ている、ぶっちゃけ下のワンピースは全く見えない。ローブは元々フレアさんの若い時の物でサイズはちょっとブカブカ。悲しくなってきた……
「この時期その格好は暑いかもしれないけど頑張ってね」
「はい、じゃあ行って来ます」
そして、はいはーい。と言いながら手を振るテナさん達を横目に見た後、私とアルトさんは扉を開け出発した。
今日はアルトさんの提案でこの王都アリアナの街を案内してもらう事になっている。前の事件の時に気が付いたらしく、しっかり街を案内して私が迷子になるのを無くそうとか……すみません、言っておきますが私は別にに方向音痴な訳じゃないですからね!地図だってちゃんと使えますし、方角だって全部分かってるんですからね!ただちょっと道を覚えられないだけです!それだけなんです!
※
「あ、暑いですね……」
「日の月の第25日だからね、1年で一番暑い季節だし」
めちゃくちゃ暑い……
ブカブカのローブがここまで熱気を帯びるなんて、例えるのなら真夏に窓を締め切って空調もない教室に監禁された気分だ。自分で言ってなんだけど分かりづらいな。
「そのローブはやっぱりキツい?」
「あぁ…いえ、耐えられない程ではないので大丈夫ですよ」
私がこんな暑い日にこんな熱気のこもるフード付きのローブを着ている理由は一つ。この黒髪と黒目を隠すためだ。
街中で沢山の人に私みたいな異端者(私の場合設定だが……)なんかが見つかるとめんどくさい事になるかもしれないらしい。人によってはそれほど抵抗の無い人も多いけど、今回はむしろその少ない方の人に見つかると困るのだ。何を言われて何をされるか分かったもんじゃないと。恐ろしいのでもの凄く会いたくないです。
だから私はフードで隠している訳ですよ!ブカブカのフードは髪から目から顔のほとんどを覆い隠してくれます!暑いですが……
「少しずつ打ち解けていくしかないか」
「はい、頑張ります」
ポジティブだ私、日焼けしない為だとでも思うんだ!
それから私とアルトさんは話しながら街へと歩いて行った。馬車なんて使いません、道を知るんですから。私としては馬車酔いしなくてすむのでいいですが。
数分程経つと綺麗な街並みが見えてきました。アリアナは国の名前、そして私達が立っているここは王宮の見える王都、だからこの街の名前もまた王都アリアナ。あれですよ、名前が同じ県庁所在地みたいな物ですよ。
「王宮ってここから見えたんですねー」
「いつもは馬車だから見えないからね」
ちょっと新鮮。馬車の窓からだとよく見えなかったけど、今は街が凄く近い感じがする。街の建物は高いものが多くて色も沢山ある、基本的にはレンガ作りや石壁で新しく綺麗な物から古く簡素な建物まで様々だ。
「街の中心には店なんかもあるからまずはそこに……」
「行きましょう!アルトさん!」
私はアルトさんの腕の袖を掴んで軽く引っ張っろうとしたけど、そもそもアルトさんは今日は騎士団の制服ではなく白いシンプルなシャツを着ているので袖が掴めなかった。だから私はアルトさんの手を取ると真っ直ぐ走り出した。
私は今凄くウキウキしていた。




