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とある長官の思考

長官さん視点でお楽しみ下さい、まる。

「よいのか?帰ってしまったが」

「あぁ、今回はこれで十分だ」


今回は…な。リリアの騎士団への加入、週に一回の修行。これだけ出来ただけでも上出来と言えるだろう。


「君も御苦労だったなネリ」

「まったくじゃ!上乗せ報酬が欲しいくらいじゃ!」

「残念だが出せるのはスルメ位だな」


まぁ、それも悪くないんじゃがぁ。などと言うと思い出したら食べたくなったのか、ネリはハンモックに上がるとそこに貯めてあったスルメを掴み食べ始めた。

ネリの好みは相変わらずよく分からないな。


「文官、大丈夫か?」

「大丈夫じゃないですよ、長官あれほど料理はしないで下さいと言ったのに」

「茶葉作りは料理に入らないと思ったんだがな……」


何故だか知らないが私は文官に料理をする事を禁止させられている、私は美味しいと思うんだが…何がおかしいのだろう?


「とにかく文官は少し休むといい」

「はい、そうさせていただきます」

「にゃあー文官、戻ったら儂のスルメの追加注文をお願いするんじゃ」

「はい、分かりました」


文官はよたよたと立ち上がると扉から出て行った。おそらく最後の言葉は聞こえていなかったて思うがな、右から左に通り過ぎて行っていたんだなきっと。

私は机の引き出しから資料を出しペラペラとめくり目を通す。ネリが調べた情報が書かれている紙だ。


「ネリ、彼女の情報を調べてどう思った?」

「にゃー?どう思ったじゃと?」


資料にはリリアの情報が調べられている、しかし一人分の情報にしては大分量が少ない。その薄い資料の束が彼女の事がかなり隠されていると言うのを物語っている。


「そうじゃなぁ、一言で言えば“普通”じやな」

「普通か……」

「あの黒い容姿を覗けばただの女の子じゃ」


まぁそうだろうな。調べた情報だけなら私もそう思う。


「今日読んでみても同じ思いじゃ」

「流石だな、心を読む魔術師は」

「その言い方は止めてくれんかの」


そう言うとネリはスルメをくわえながらニタニタと薄気味悪く笑って見せた。おそらく面白がっているのだろう、そこまで嫌と言う訳では無さそうだ。


「魔術師より情報屋の方がいいのか?」

「それもじゃが、儂の魔術のメインは読む方ではなく視る方じゃ」

「あぁそっちか」

「確かに今回はアルトに邪魔され視るまでは行かなかったが……」


ネリは人の心を読み、視る事が出来る魔術師だ。

心を読むのなら相手と目を合わせれば読む事が出来るらしい、それを使いながらネリは情報屋として活躍しているのだ。そして心を視ると言うのは、相手が自分でも感じていないような心の奥まで視るということらしい。これをするには相手と目を合わせながら相手に触れなければならない。これが彼女の持つ力。


だがこの力はあまり人に知られてはいけない。これは相手が無防備な心だからこそできることなのだそうで、アルトとエルは高い集中力を保つことで心を視られる事も聞かれる事も防いでいる。だから相手を警戒させないように心を視るのがネリの技なのだ。


「にゃー、視たかったんじゃー……」

「邪魔されたのなら仕方ないだろう」

「じゃが、それにしても分からん」

「……何がだ?」

「お主がじゃよファイ」


空になった袋を投げ捨てながら私を指差すネリは笑うわけでも真剣なわけでもない、いつもと何一つ変わらない雰囲気で私を見つめていた。

私は椅子に座り坦々とネリ話しを聞く。


「儂にはあの普通の少女がお主の望む程の強さを手に入れるとはとても思えん。

確かにお主が育てるんじゃ強くはなるじゃろう、じゃがそれでもお主と同等かそれ以上と言う訳にはいかんじゃろ?」

「……ふむ」

「なのに、そこまで彼女を求める理由が儂には分からんのじゃ」


ネリの言っている事もあながち間違いではない。私はリリアに私の戦う相手になってほしいと言ったがそれならわざわざリリアでなくとももっと経験と高い身体能力を持った奴なら他に沢山いる。それでも私は彼女を選んだ。


「だが、君は一つ勘違いをしている」

「勘違い?」

「彼女は…リリアはおそらく私と同等か、それ以上の相手になるよ。必ずな」

「じゃが、彼女にそこまでの戦闘能力は無いはずじゃ……」


「リリアの強さは戦闘じゃない」


そう、強さとは何も力だけに限った物じゃない。心の強さと言う言葉だってある、彼女の強さも他にある。


「そこに私が戦いを教えるんだ、さらに強くなるさ」

「ふーん……」

「君は視ていたらどうだ?こっそり視るのは好きだろ?」

「止めてくれ、まるで儂がどこぞのストーカーみたいに聞こえるじゃにゃいか」


たがネリはそう言うと直ぐに、にゃはっ!と笑うとハンモックから降り立ち、楽しそうに言った。


「視ているだけなどお断りじゃ、魔術師は無理を可能性に変える者じゃぞ?それなのにそんな面白そうな可能性を大人しく視ているわけないじゃろ?」

「君ならそう言うと思ったよ」


これで、これからまた面白くなってきそうだ。


「しかしファイ」

「ん?」

「初めの調査の項目にスリーサイズは必要じゃったのか?」

「当然だ」


やるなら徹底的にだろ?




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