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どんな人です長官さん。

「ファイ・クライアン?」

「そうだ、王宮騎士団上部長官ファイ・クライアン。」

「……」


そんな凄そうな人がなぜ私なんかに会いたいというのだろう?


ミキとフレアさんの色々な事があったあの日から5日たった今日。私、アルトさん、エルさんは王宮騎士団上部に向かう馬車の中にいる。

ちなみにこの馬車は四人乗りだ、アルトさんとエルさんが二人並んで座ると狭いので、私の隣にアルトさんがいてエルさんは私達の前に荷物と一緒に座っている。


「長官さんですか。」

「恐らく王宮騎士団で最も強い権力者だな。」

「……」


本当になぜ私が呼ばれたのだろう。やっぱり前の事件が何か関係しているのかなぁ?

思えばこの5日、長官さんに会う為に色々な準備をしてきた。しかも結局アルトさんは5日間外に出してはくれなかったし……


「ていうか、騎士団の団長と副団長が両方出かけていいんですか?」

「あぁ、問題無いよ。そこそこ優秀で変な趣味をした部下がいるから。」

「そんな優秀な部下さんの秘密を暴露しないであげて下さい。」

「……」


優秀で信頼してるんじゃないんですか?しかも変な趣味って言い切っちゃってるし。

それから、気になる事がもう一つ。


「……あのアルトさん。もう一つ聞いていいですか?」

「なんだ?」

「なんでエルさんは今日そんなにテンションが低いんですか?」

「……」


さっきから一言も喋ってないですよ!?大丈夫なんですか?ずっと「……」だし、いつものエルさんでは有り得ない光景なんですが。


「エルさん大丈夫ですか?」

「んー…多分……」

「そこまで憂鬱なのか。」

「すっげえ、会いたくない……」


全然大丈夫そうに見えないんですけど。エ、エルさんがそんなになってしまうような長官さんって一体……?


「どんな人なんですか?」

「どんな人か。うーん、まぁ強い人ではあるよ。」

「ふむふむ。」


予想通りですね。


「もうあれは完璧人間だねぇ……」

「あぁ、成る程。」


これも予想通り。長官さんって言う私のイメージにあってます。


「あと超好戦的。」

「はい?」

「自分より強い人に笑顔で戦いを挑むような人だよ。」

「えぇ!?」


強くて完璧人間で超笑顔で戦う好戦的な長官さん♪ってどんな人だぁあああああ!!


「ひ、一言で言えばどういう人なんですか……?」

「「変人」」


もう嫌。私が出会う人、“変”が付く人ばっかりな気がしてきた。








長官さんに会うのに憂鬱なエルさんと溜め息を付いているアルトさん、そして馬車酔いし始めた私。

気持ち悪い……

だが王宮騎士団上部までは後少しらしい、我慢だリリア。私なら出来る!しかし王宮騎士団上部の建物が分からないと具体的にあとどれぐらいなのか分からないなぁ。


「王宮騎士団上部ってどんな所何ですかね……」

「あれ、リリアちゃん。アルトに聞いてなかったの?」

「何をですか?」


すると、私達の乗った馬車はゆっくりと止まり始めた。私は王宮騎士団上部を確認するため窓からその建物を見上る。


「王宮騎士団上部はさ。」

「あれって……」


私が見上げたそれは、まるで絵本や映画に出て来そうな大きな、大きな。


「王宮にあるんだよ。」


お城だった。



     ※



お城と言う存在は、まぁ女の子なら誰でも憧れる物の一つな訳で。かく言う私も子供時代に少なからず憧れを抱いた。そのお城が目の前にあるのだが……


「素直に喜べねぇ。」

「えっ?何か言ったリリア?」

「いえ何も。」


要はお城と言う存在にときめいてしまう乙女心があるけど、それが長官さんに呼び出されたからと言う理由のせいで素直にときめけない現代的な考えをしてしまう私がいる訳なんですよ!


「王宮にあるって言っても、王宮の敷地に建ってるだけだよ。」

「じゃあ、王宮騎士団上部は?」

「あっち、あっち。」


エルさんは相も変わらないテンションでお城の横にある建物を指差した。

うん、でもねエルさん、私にはその建物も十分お城に見えるんですけど。多少の違いはあれど豪華という点に関しては二つともいい勝負ですよ。


「あそこに、私達今から行くんですよね?」

「行かないのか?」

「俺は行きたくないんだからな。」

「エルの事はどうでもいいが、行くしかないだろう。」

「おいおい、俺の扱い酷くない?」


うわー…めちゃくちゃ緊張する。例の長官さんに会うのですら不安なのに、あんなお城(私にはそうにしか見えない。)に入るんだもん。


「うー…よし!覚悟はでしました!」

「そうか。じゃあ行こう。」

「はい!」

「あれ?やっぱり俺は無視?おいおい、アルト置いてくなよ。」



     ※



首が痛い。

た、建物の内装がデカすぎる。上ばっかり見上げてたから首がぁ……


「アルトさん。ファイ・クライアンさんは一体どこにいるんです?」

「……さぁ?」


『さぁ?』って、長官さんに呼ばれたのにその長官さんが何処にいるか分かんないんですか。

まぁ、そんなこんなで私達は長官さんを探して王宮騎士団上部の中庭を探している。


「って普通に中庭にいるような人なんですか!?」

「執務が嫌いな人だからな。」

「じゃ!」


……『じゃ』?

その声は私達の直ぐ近くにあった木の上から聞こえてきた。


「じゃあ。」

「女の子?」

「……ネリか。」


女の子は可愛らしく木の上から頭を出してにっこり笑って見せた女の子は、細くて長い銀髪ツインテールに特徴的な猫目を輝かせて私達を見ていた。


「あら可愛い女の子。」

「じゃあ!」

「ネリお前本性表せよ。」

「あぁ?なんじゃエル。儂の猫被りに何か文句が?」

「いや、猫被りって言っちゃってるからな。」

「しまった!儂としたことが!」


すると、女の子はするんと木から降りると服の内側から袋をとりだし、さっきとは明らかに違うニヤニヤと見透かすような笑みで袋をこじ開けた。ちなみに服装はなぜかゴスロリ、似合ってはいるが…なぜ?……

しかしまるで別人なんですけど。さっきまで可愛い女の子でしたよね?


いや、少なくとも女の“子”ではなかったようだ。人間には明らかに違う箇所があった。

それは頭のツインテールと一緒に付いている黒い猫の耳、言い直すとネコミミ。そして後ろの方でゆらゆら動いている猫の尻尾。ゴスロリには合っているし可愛いけどコスプレイヤーという訳じゃなさそうですが。


「別に猫被りではないぞ!『じゃあ』しか言っておらんじゃろうが!」

「態度がおかしいんだよ、態度が。あと笑顔。」

「いいから長官の居場所を教えてくれないか?」

「にゃあ?なんじゃ、ファイならそこにおるぞ。」


ネコミミの少女はそう言ってさっきまで自分がいた木の上を指差した。


「……なんだネリ。せっかく高みの見物というものをしておったのに。」

「にゃは!止めておけ、止めておけ。お主には一番似合わぬことじゃ。」


木の上から聞こえたその声は男性のような女性のような声でハキハキと落ち着いた雰囲気だった。


「よく来たなアルト、エル、待ちくたびれたぞ。」

「すみません長官。なかなか見つけられませんでしたので。」

「ファイ・クライアンさん……」


私が静かにそう呼ぶと、木の上の長官さんは一気に木から飛び降り腰まである長い髪をなでた。王宮騎士団の制服より濃い青色をした制服を身にまとって私の前に立つ。


「あぁ、私がファイ・クライアン、君に会いたかったよ。」

「じょ、女性えぇっ!?」



こんな女性です長官さん。

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