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伝える事は大事です。

「リリア様!」

「にゅわぁあっ!?」


えっ?何?何ですか?


「リ、リッリリア様!どこから見ました!?どこまで見ました!?」

「な、な、何をですか!?」


あれ!私帰還してる!ここフレアさんの部屋だ!そして……

私はフレアさんに触ってみる。


ペタペタ……

「あの…」

「すり抜けない!」


帰ってこれた!?私無事!ちゃんと触れる!もうすり抜けない!フレアさんが小さくない!そして私生きてます!息してます、心臓動いてます。

無・事・帰・還・☆!


「やったぁあああああああ!!帰ってきたぁあーー!」

「どこまで見ましたか!!」

「わぁあ!フレアさん!?だから見たって何を……」


バサッ…


「?」


フレアさんの言っていることが分からず頭にはてなを浮かべていると、私の足に何かが当たっていた。本だ、本がある、本があります。未だに開いている……あれ?開いている!?

私は凄い勢いでその本から視線を逸らした。


「フレアさん!この本は!……」

「はい?」

「中を見たら小さいフレアさん達が!」

「あぁ、大丈夫ですよ。この本は開いた後、一度閉じなければ効果がありません。」

「はぁあ、そうですか。」


よく分からないけど、とりあえず今は問題ないのか。なら少しは安心ですね。

それにしても……この本は一体何なんだろうか?確か私が中身を見たらいきなり森の中で…んん?


「まさか、魔術関係?」

「それよりもリリア様!一体どこからどこまで見たのですかぁ!」

「えっと…確かミキが何かを作るって言った所から……最後まで?」

「最後……」


するとフレアさんは、今にも倒れそうなほどふらふらしだしたと思ったら突然顔がカァアア…と赤くなった。


って、えぇ!?どうしたんですかフレアさん!耳まで真っ赤ですよ!私何か変な事言いましたか!?

……しかしよく考えてみれば、ここでフレアさんが真っ赤になる理由なんて一つしかなじゃないか。

私に見られては恥ずかしい物を見られてしまったと言う事だろう。だけどそれってつまり。


「もしかしてこの本フレアさんの……」

「うぅ……リリア様、それ以上言わないで下さい。」

「ミキとの思い出ですか?」

「言わないでと言ったのに!?」


あー、いやだってフレアさんが真っ赤な顔で「言わないで下さい」なんて可愛くお願いされたら誰でも言いますよ、イタズラしたくなるんですよ。可愛いもん。


「これも魔術ですかぁ。どういった物何ですか?」

「それは『memoryメモリー』と言いまして、記憶や思い出を保存したり見たり出来る魔術の本です。」

「見るって、じゃあ私がいきなり森にいたのは?」

「この本はまるで自分がそこにいるかのように記憶を頭に直接見せます。」


つまり、私が見ていたのはフレアさんの過去の思い出。小さいフレアさん達が私の体をすり抜けたのは、私がそこに存在していないから。この本が魔術で私に見せていただけ……

てかフレアさん。それを説明してくれたのは有り難いんですが自分で自分の恥ずかしい事の秘密をペラペラと喋っちゃってますよ?いいんですか?


「つまり私が見ていたのはフレアさんの大切な思い出だと。」

「はい」

「フレアさんとミキが子供の頃に交わした約束の思い出だと。」

「はい?」

「その思い出を大事にとっておくほどミキが好きだと。」

「はぃいいいい!?リ、リリア様!そう言う訳じゃなくてですね!」


やっぱり自分が自滅している事に気ずいてなかったんですね。だって、つまりはそう言う事じゃないですか。大事にして本にも保存して置くほどの思い出何ですよね。その思い出にミキがいるのなら…ねぇ……。


「そういえばフレアさん、私がこの部屋に来る前までその本見てましたよね?」

「あ、あれは…ちょっと訳がありまして……」

「思い出の中の小さいフレアさん。スッゴい笑顔だったなぁ~」

「それはですね……」

「ミキの事、好きなんですね。」

「……」


いくら恋とか愛とか分からない私でもこれぐらい気ずく。フレアさんは、ミキの事が好きだ。多分…いや確実に、まぁそれ以上の事や理由は私にはさっっぱり分かんないけど……

私は小さな溜め息をするとさっきより真っ赤になっているフレアさんに聞いた。


「本当はずっと好きだったんじゃないんですか。」

「……」

「それともミキが嫌いですか?」

「そ、それは違います!」


フレアさんは好きと言う事には何も言わない、いや言えないでいたのに嫌いだと言う事には必死に否定した。

ミキにはきっとそれだけで伝わるのにね……


「じゃあ、なんでミキを見てあげないんです。」

「っ!」

「フレアさんだって気ずいてるハズですよ。ミキはいつも本気です。」

「リリア様。」


ミキは言っていた、ずっと好きでいられるのは本当に好きだから。ちょっとでも見せてくれる素振りや言葉が全て愛おしいと。

でも、それでも拒まれてもずっと思いを伝え続けられるのは、ミキのフレアさんへの感情の大きさだろう。


「フレアさんがいくら嫌だとか嫌いだとか言っても好きだと伝え続けるはずです。」

「分かってます!」

「!……じゃあ、伝えて下さい、それかせめてミキを見てあげて下さい。ミキの眼もミキの思いも。」

「……」


私がそう言うとフレアさんは真っ赤になったまま下に俯いてしまった。私が下に落ちたままの本を拾おうとして本に触れた時、フレアさんは小さくつぶやいた。


「その本。」

「えっ?」

「その本を作ったのミキ君なんです。」

「これをミキが?」

「リリア様が見た思い出は私とミキ君が初めて会った時にした約束、それがその本なんです。」


あの時私が見た二人は確かに約束をしていた。それは分かっていたけど、まさかこの本だったなんて……ミキが絶対に絶対に作ると言った約束、それがこの本。


「リリア様はミキ君が等星だと言うのをご存じですか?」

「はい、知ってます。」

「ミキ君に初めて等星の誘いがあったのは実はミキ君が10歳の時何です。」

「じゅ、10っ歳!?」


若っ!完全に子供ですよね。個人に与えられる階級を15歳のミキが持ってる事自体凄いのにそれが10歳の時からだったなんて。


「ミキ君は私が夢見ていたその本の約束を果たしてくれたのが8歳の時。

すると数ヶ月後その本を気に入った凄い人が本を譲って欲しいと言ったんです。」

「……」

「ミキ君がその本をもう一つ作って渡したらその本が大きな事件を解決するのに使われて本の噂がどんどん広まっていきました。」

「だから等星への誘いが……」


『一つの分野で活躍した者。』ミキはそれが魔術だった訳だ。


「でもミキ君はずっと等星になるのを断ってたんです。」

「断った?等星への誘いをですか?」

「等星はミキ君の家の階級より断然上です。今までみたいに普通にいる事は出来ませんし、忙しくもなります。」


それならきっとミキはそんな位よりフレアさんといる事を望だろう。まぁ、ミキらしいっちゃあミキらしいが。


「だからミキ君は等星を断り続け、ついにはフローリア家の使用人になりました。」

「……」


それもミキらしい……のか?いやいや、だからといってそこまするなよ。一応貴族だろ。


「だからフレアさんはミキを突き放したんですね。」

「ミキ君は凄いんです。ちゃんと等星になって欲しかったから……」


これで話しの流れは読めた。


等星と言う大きな階級を与えられるはずのミキは今まで通りフレアさんと一緒にいるために、その階級の誘いを断った。

そしてフレアさんはミキの等星のきっかけを作ったけど、その等星を断る原因にもなった。

すれ違うのも無理ない。……けど。


「じゃあ、もうフレアさんがミキを突き放す理由は無いじゃないですか。」

「えっ!」

「フレアさんの望み通り、ミキは今はもう等星ですよ?」

「それは……」

「ミキは等星になった今でも使用人の仕事もフレアさんといる事も全て頑張ってますよ。


 だからフレアさん。」


私はフレアさんに語りかけながら立ち上がると、フレアさんの部屋の扉に手をかけた。そしていっきに開く。


「少しはミキの目を見て、二人っきりで話して下さい。」

「うわっ!」

「ミ、ミキ君!」


扉を開くと同時に扉の向こうから転けたミキ。私はミキをつかむとフレアさんの前に放り投げた。


「じゃあ、頑張って下さい。二人共。」



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